本州~九州、フェリー全航路まとめ【2024年版】 所要時間と価格、格安利用術を徹底紹介!

関東・関西・山口から

本州と九州の間にはさまざまな会社のフェリーが就航しています。全てのフェリー航路と所要時間、格安利用術などを比較しながらまとめてみましょう。

広告

7社10航路

まずは、本州~九州間のフェリー航路を一覧表にしてみました。7社10航路があります。

旅客運賃はオフシーズンの最低運賃、車両運賃は4m~5mの乗用車の最低運賃を示しています。いずれも時期により価格は変わります。

運航本数は1日あたりの標準的なスケジュールを示していて、時期や曜日により減便や増便がおこなわれることもあります。

本州~九州間のフェリー全リスト
航路 運航会社 所要時間 運航本数 旅客運賃 車両運賃
東京
新門司
オーシャン
東九フェリー
32時間 1往復 20,200円 47,410円
横須賀
新門司
東京九州
フェリー
21時間 1往復 14,000円 42,000円
大阪
新門司
名門大洋
フェリー
12時間30分 2往復 7,590円 24,640円
泉大津
新門司
阪九フェリー 12時間30分 1往復 7,590円 24,640円
神戸
新門司
阪九フェリー 12時間30分 1往復 7,590円 24,640円
大阪
別府
フェリー
さんふらわあ
12時間 1往復 12,990円 35,640円
神戸
大分
フェリー
さんふらわあ
11時間30分 1往復 9,250円 35,640円
大阪
志布志
フェリー
さんふらわあ
15時間 1往復 11,640円 42,560円
神戸
宮崎
宮崎
カーフェリー
13時間 1往復 13,100円 35,500円
徳山
国東
スオーナダ
フェリー
2時間 5往復 3,450円 13,950円

※運賃は大人1人の最安クラスの最低価格を表示。クラスや季節により変動する。車両は4m~5mの乗用車。
※運航本数は1日あたりの標準的な運航本数。路線により欠航日あり。

さんふらわあ大阪南港

広告

多彩な航路

本州側の発着地は東京、横須賀、大阪、泉大津、神戸六甲、神戸三宮、徳山の6都市7港。九州側の発着地は北九州(新門司)、別府、大分、国東(竹田津)、宮崎、志布志の6都市6港です。

長距離フェリーが多く、比較的距離が短いのは徳山~竹田津航路くらいです。四国~九州間にも短距離航路がありますが、ここでは省略します。

順にご紹介していきましょう。なお、運航本数は時期や曜日により異なります。車両運賃は4~5mの金額を表示していて、旅客1人を含みます。

東京~新門司

東京と九州を結ぶフェリー航路の老舗が、オーシャン東九フェリーです。東京~新門司港を、徳島経由で結びます。所要時間は32時間です。

使用船舶は12,000トン級の大型フェリーです。2等洋室の相部屋と、2人用・4人用個室があります。船内設備として大浴場などがあります。レストランはありませんが、自由に使える「オーシャンプラザ」というスペースがあり、メニュー豊富な自動販売機が多数並んでいます。

運賃は2等洋室で20,200円。車両運賃は47,410円。安く乗るには、WEB事前決済割引で乗用車2,090円引き、旅客990円引きになります。学割は約20%割引(16,940円)で、学割証の提示で適用されます。

北海道方面への豪華フェリーに比べると、シンプルな車内設備です。往復とも夜18~19時ごろに出て、翌々日の5~6時ごろに着きます。出発時、到着時とも時間を有効活用しやすい時間帯です。

オーシャン東九フェリー

広告

横須賀~新門司

2021年に登場したのが、東京九州フェリーの横須賀~新門司航路です。1日1往復しています(日祝運休)。所要時間は約21時間です。

新日本海フェリーと同じSHKグループです。使用船舶は2020年に就航した新鋭船「はまゆう」「それいゆ」の2隻が主力。15,515トン、28ノットの大型高速フェリーです。新日本海フェリーの「すずらん」「すいせん」17,400トンで運航することもあります。

「はまゆう」「それいゆ」の場合、ツーリストAからスイートまで8種類の客室があり、船内設備としてレストラン、大浴場、スクリーンルーム(シアター)、サロン、スポーツルーム、キッズルームなどを備えます。国内屈指の豪華フェリーといえる設備です。

運賃は時期により異なり、ツーリストAの場合、14,000円~18,000円。車両運賃は42,000円~48,000円です。

往復割引10%、学生割引20%などの割引があります。学生割引は学生証の提示で適用されます。

往復とも午前0時ごろの出発、21時ごろの到着です。午前0時ごろならば、仕事を終えて自宅に帰ってクルマに乗ってからでも間に合うので、サラリーマンには使いやすそう。いっぽう、ファミリーには少し厳しい時間帯かもしれません。

横須賀港は横浜横須賀道路横須賀ICから5kmほどなので、アクセスはそれほど苦になりません。徒歩旅行者の場合も、京急横須賀中央駅から1.2kmなので、歩ける範囲です。

東京九州フェリー
画像:東京九州フェリーニュースリリース

首都圏~九州航路の比較

首都圏と九州とを結ぶ、オーシャン東九フェリーと東京九州フェリーを比較すると、東京九州フェリーのほうが安くて速くてレストランもあり、一般旅行者には使いやすいでしょう。

ただ、東京九州フェリーは繁忙期料金が高めに設定されていて、繁忙期の旅客運賃はオーシャン東九フェリーと同水準、車両運賃はそれより高くなる場合もあります。

繁忙期でも、旅客のみなら東京九州フェリーでいいと思いますが、車両の場合は、横須賀フェリーターミナルは東京からやや離れていて、高速道路料金もかかりますので、それも考慮に入れて選ぶとよいでしょう。

続いて、関西~九州間の航路をみてみましょう。

広告

大阪~新門司

大阪南港と新門司港を結びます。名門大洋フェリーが毎日2往復を運航しています。

使用船舶は15,000トン級の大型フェリーです。2021年から2022年にかけて、新造船「フェリーきょうと」「フェリーふくおか」が投入されました。

使用船舶によりますが、エコノミー、ツーリストからスイートまで各船9種類の客室を備えています。レストラン、浴室、シャワールーム、キッズルーム、ゲームコーナーなどの船内設備があります。

「きょうと」「ふくおか」には大部屋のエコノミーはなく、全個室タイプとなっていて、ツーリストが最低ランクです。いっぽう、従来船の「フェリーおおさかⅡ」「フェリーきたきゅうしゅう」には大部屋のエコノミーが残っています。

運賃は時期により異なり、エコノミーが7,590円~10,010円。ツーリストが8,910円~11,330円です。車両運賃は24,640円~28,600円です。

早期購入割引20%、WEB割引10~30%、復路割引10~20%、学生・シルバー割引20%などの割引があります。学割は学生証の提示で適用されます。

大阪・新門司発とも同時刻で、17時発と19時50分発の2往復体制です。到着は05時30分と08時30分です。新造船「きょうと」「ふくおか」による運航は19時50分発(2便)で、到着時刻の使いやすさからも一般旅行者には2便がおすすめです。

大阪の発着地が南港なので、クルマも鉄道もアクセスがしやすいです。鉄道の場合は、ニュートラムのフェリーターミナル駅下車すぐです。

名門大洋フェリーきょうと

広告

泉大津~新門司

大阪府の泉大津港と新門司港を結びます。阪九フェリーが毎日1往復しています。新日本海フェリーや東京九州フェリーと同じSHKグループです。上下とも17時30分発の06時到着です。所要時間は12時間30分です。

使用船舶は16,000トン級の大型フェリーで、2014年就航の「いずみ」と「ひびき」の2隻です。スタンダードからロイヤルまで9種類の客室があります。最安値のスタンダード和室は大部屋タイプです。

船内設備として、レストラン、大浴場、ゲームコーナー、カラオケ、キッズルームなどを備えます。

旅客運賃はスタンダード和室で7,590円~10,230円。車両運賃は24,640円~28,600円です。

ネット割引20%、復路割引10~20%、学生・シニア割引20%などの割引があります。学割は学生証の提示で適用されます。

泉大津は阪神高速湾岸線の泉大津出口からすぐで、自動車アクセスは良好。鉄道の場合は、JR和泉府中駅、南海泉大津駅から連絡バスがあります。

神戸~新門司

神戸港六甲アイランドフェリーターミナルと新門司港を結びます。阪九フェリーが毎日1往復しています。所要時間は12時間30分です。上下便とも、日~木が18時30分ごろ発、07時ごろ着。金~日が20時発の08時30分着です。

使用船舶は16,000トン級の大型フェリーで、2020年就航の「せっつ」「やまと」の2隻体制です。スタンダードからロイヤルまで9種類の客室があります。最安値のスタンダード和室は大部屋タイプです。

船内設備として、レストラン、大浴場、ゲームコーナー、カラオケ、キッズルームなどを備えます。

価格や割引は、泉大津~新門司航路と同じです。

神戸六甲アイランド港は、阪神高速湾岸線の六甲アイランド北口出口からすぐで、大阪方面からの自動車アクセスは良好です。

鉄道の場合は、六甲ライナーアイランド北口駅が最寄りですが、約2kmと距離があります。阪神・阪急御影駅、JR住吉駅との連絡バスがあるので、そちらを利用した方がいいでしょう。

阪九フェリーせっつ

広告

関西~新門司航路の比較

関西から新門司へは、大阪南港から名門大洋フェリー、泉大津と神戸六甲から阪九フェリーが出ています。価格水準は同じで、フェリーの大きさや船内設備も互角です。

発着時刻も18時前後は3社ほぼ同じ時間帯で、名門大洋フェリーの19時50分発がやや遅め、という形です。

そのため、旅行者自身の都合にあわせて、三つの港のうちアクセスしやすい発着地の便を選ぶといいでしょう。

広告

大阪~別府

大阪南港と別府国際観光港を結びます。フェリーさんふらわあが毎日1往復しています。上下とも日~木が19時ごろ発、7時ごろ到着。金・土が20時ごろ発の08時ごろ到着です。所要時間は約12時間です。

使用船舶は17,000トン級の大型フェリー「さんふらわあ くれない・むらさき」で、いずれも2023年春に就航したばかりの最新鋭船です。プライベートからスイートまで、じつに20種類近くの客室があります。最安値がプライベートベッドという洋室の相部屋です。

船内設備として、レストラン、大浴場、ラウンジ、キッズコーナーなどを備えます。

旅客運賃はプライベートベッドで12,990円~18,990円。車両運賃は35,640円~46,640円です。

WEB割引、復路割引、学生割引、JAF会員割引(いずれも5~10%)などの割引があります。学割は学生証の提示で受けられます。弾丸割引(現地0泊)や、舟遊割引(往復で大分・別府と志布志の航路を利用)は復路が50%割引になります。

大阪南港のさんふらわあのターミナルはATC近くにあり、最寄駅はニュートラムのトレードセンターです。フェリーターミナル駅ではないのでご注意を。

別府国際観光港はJR別府駅からバス15分です。別府大学駅からは1.4kmです。

さんふらわあくれない
画像:SHKラインプレスリリース

神戸~大分

神戸港六甲アイランドフェリーターミナルと西大分港とを結びます。フェリーさんふらわあが毎日1往復しています。上下とも日~木が19時ごろ発、06時半ごろ到着。金・土が20時ごろ発の07時半ごろ到着です。所要時間は約11時間30分です。

使用船舶は11,000トン級の大型フェリー「さんふらわあ ごーるど・ぱーる」です。ツーリストからスイートまで9種類の客室があります。最安値のツーリストは大部屋です。

船内設備として、レストラン、大浴場、ゲームコーナー、キッズルームなどを備えます。

旅客運賃はツーリストで9,250円~15,990円、プライベートベッドで12,990円~18,990円。車両運賃は35,640円~46,640円です。

WEB割引、復路割引、学生割引、JAF会員割引(いずれも5~10%)、弾丸・舟遊割引(復路50%割引)は大阪~別府航路と同じです。

最低価格は大阪~別府航路より安いですが、同水準のプライベートベッドや乗用車運賃は同額です。

神戸港六甲アイランドフェリーターミナルは、阪神高速湾岸線の六甲アイランド北口出口からすぐ。鉄道の場合は、阪神・阪急御影駅、JR住吉駅との連絡バスがあります。

西大分港はJR西大分から徒歩10分。JR大分駅からのバスもあります。

広告

大阪~志布志

大阪南港と鹿児島県の志布志港とを結びます。フェリーさんふらわあが毎日1往復しています。上下とも月~土が18時ごろ発、08時ごろ到着。日が17時ごろ発の08時ごろの到着です。所要時間は約15時間です。

使用船舶は11,000トン級の大型フェリー「さんふらわあ さつま・きりしま」です。ツーリストからスイートまで約10種類の客室があります。最安値のツーリストは大部屋です。

船内設備として、レストラン、大浴場、ゲームコーナー、キッズルームなどを備えます。

旅客運賃はツーリストで11,640円~21,550円です。車両運賃は42,560円~56,560円です。

WEB割引、復路割引、学生割引、JAF会員割引(いずれも5~10%)、弾丸・舟遊割引(復路50%割引)は大阪~別府航路と同じです。

大阪南港のさんふらわあのターミナルはATC近くにあり、志布志航路は第2ターミナルの発着です。別府航路とは場所が少し離れていて、シャトルバスでの移動です。最寄り駅はニュートラムのトレードセンターで、フェリーターミナル駅ではありません。

志布志港はJR志布志駅からタクシーで5分。タクシー支援事業で、志布志港~志布志駅間を200円で利用できます(2025年3月まで)。

志布志港~鹿児島中央駅前を結ぶ高速シャトルバス「さんふらわあライナー」があり、フェリー利用者は期間限定で無料で乗車できます。所要時間は約2時間です。

さんふらわあさつま志布志港

広告

神戸~宮崎

神戸三宮フェリーターミナルと宮崎港とを結びます。宮崎カーフェリーが毎日1往復しています。上下とも19時10分発が原則で、日曜神戸発のみ18時発です。到着は宮崎着が08時40分、神戸着が07時30分です。所要時間は約13時間です。

使用船舶は14,000トン級の大型フェリー「たかちほ」「ろっこう」で、2021年から2022年にかけて就航した新鋭船です。ツーリストからプレミアムまで5種類の客室があります。

船内設備として、レストラン、大浴場などを備えます。

旅客運賃はツーリストで13,100円~14,750円です。車両運賃は35,500円~38,250円です。web割、とく割、超とく割など、格安プランが豊富に設定されています。

神戸三宮フェリーターミナルは、JR三ノ宮駅から約1.5km。バスで10分ほどです。宮崎フェリーターミナルは、JR宮崎駅から約3.5km、バスで13分です。

フェリーたかちほ

徳山~国東

スオーナダフェリー(周防灘フェリー)が、山口県徳山港と、大分県国東市の竹田津港とを1日5往復しています。所要時間は2時間です。

文字通り周防灘を横断するフェリーで、中国地方と東九州をつなぐショートカットルートです。

使用船舶は725トンの中型フェリー「ニューくにさき」です。船室にはマス席と椅子席があります。レストランやカフェはなく、自販機コーナーが設けられています。

旅客運賃は燃料調整金込みで3,450円。車両運賃は13,950円です。往復割引(車両のみ)復路20%、学生割引20%などとなっています。

本州・九州間のフェリー利用術

以上が、本州・九州間を結ぶフェリーの全航路です。短距離航路は徳山~国東間だけで、関東・関西~北九州・東九州間の長距離フェリーがメインです。

新規就航の東京九州フェリーも含め、この数年で一気に新造船への更新が進みました。新造船は個室主体で、大部屋をなくしてしまった船もあります。

大部屋にかわって普及しているのが「カプセルタイプ」とも呼ばれる簡易寝台の客室で、快適性はアップしていますが、そのぶん価格もやや高くなっています。したがって、格安旅行なら、従来船の大部屋タイプを狙うの一つの方法かもしれません。

関西~九州航路では、新門司、別府、大分発着は瀬戸内海航路で、大きな揺れの心配がありません。一方、宮崎、志布志発着や、東京~九州航路は太平洋を進みますので、天候によっては多少揺れることもあります。(鎌倉淳)

広告