ヨーロッパの主要国で、Yahoo! JAPANのサービスのほとんどが遮断されます。Yahoo! ニュースも見られなくなり、旅行者は不便になりそうです。
4月6日以降に遮断
ヤフーは、イギリスと欧州経済領域(EEA)で、2022年4月6日以降に大半のサービスを中止すると発表しました。ポータルサイトのYahoo! JAPANや、ニュースサイトのYahoo!ニュースなどが、これらの地域から閲覧できなくなります。
ただし、Yahoo!メール、Yahoo!カード(クレジットカード)、電子書籍サービスebookjapanについては提供を継続します。
EEAには、EU加盟国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの3カ国が参加しています。これにイギリスを加えると、スイスと旧ユーゴ諸国の一部などを除くヨーロッパのほぼ全ての国が領域に含まれます。
このため、ヨーロッパの多くのエリアで、在留邦人や日本人旅行者は、Yahoo! JAPANやYahoo!ニュースが見られなくなります。
GDPRが原因か
ヤフーは、サービス提供中止の理由を「利用いただける環境を継続的に提供することが困難になったため」としています。明確な理由は明かされていませんが、EUの厳しい一般データ保護規則(GDPR)が原因とみられます。
ヨーロッパからの利用者は、Yahoo! JAPAN全体のアクセス数の1%程度に過ぎないそうです。わずかな利用者のためにGDPRを守るためのコストを考えると割にあわず、違反して制裁金を課されるリスクまで考えると、サービスを遮断した方がいいという判断になったようです。
Yahoo!メールやクレジットカードが存続するのは、利用者への影響が大きいためだそう。いずれも、きちんとした情報管理が必要なサービスのため、規則遵守しやすいという側面もあるのかもしれません。
海外旅行はできるけど
Yahoo! JAPANを見られなくても海外旅行はできますが、旅行中には不便を感じる人が多いのではないでしょうか。とくにYahoo!ニュースは、日本の情報に手軽に接することができるので、海外旅行中の待ち時間にスマホで見てしまいがち。これからのヨーロッパ旅行では、そうした使い方ができなくなります。
使うかどうかはともかく、天気予報も地図も知恵袋も占いもスポーツナビも見られなくなります。ツイッターでシェアされたYahoo!ニュースも見られないわけで、煩わしさを感じる人は多そうです。
類似サイトは大丈夫か
類似サービスの行方も心配です。Yahoo! JAPAN以外にもニュースサイトやアプリはありますが、トップ企業のヤフーが「遮断」という思い切った策に出るとなれば、今後追随する会社も出てくるかもしれません。わずかなアクセスのために大きなリスクを負うくらいなら、遮断した方がいいのでは、と考えてしまうサービス運営者は多いでしょう。
海外でのネット遮断といえば、中国でグーグル関連にアクセスできないのは有名な話です。そのため、中国ではYahoo! メールやYahoo! ニュースは重要な情報収集手段です。
ところが、今度はヨーロッパでそのヤフーが使えなくなるわけで、海外旅行者には面倒な話です。こんな「情報遮断」が、これ以上広まらなければいいのですが。(鎌倉淳)