JTBが4割減、阪急交通社が9割減。旅行会社、3月の取扱額が激減

海外旅行が大幅落ち込み

観光庁が主要旅行業者48社の旅行取扱状況を発表しました。2020年3月の旅行取扱額は、新型コロナウイルスの感染症の影響を受け、各社とも大幅な減少となっています。ただ、減少率は会社により異なります。

広告

前年比7割減

観光庁が発表した主要旅行業者48社の旅行取扱状況によりますと、2020年3月の総取扱額は、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や旅行中止の影響を受け、前年同月比28.6%(71.4%減)の1200億3565万円となりました。

内訳は、国内旅行が36.3%の916億2967万円、海外旅行が15.3%の225億8921万円、外国人旅行が28.6%の58億1673万円です。いずれも大幅な前年比マイナスとなり、とくに海外旅行の取扱額の落ち込みが目立ちました。

主要旅行会社の3月単月の取扱額は以下の通りです。観光庁発表のデータを基にしていますが、HISは同社IRより引用しています。

主要旅行会社取扱額(2020年3月)
会社名 取扱額(百万円) 前年同月比(%)
JTB 57,533 37.3
KNT 13,459 31.4
HIS 12,894 27.2
日本旅行 9,679 23.6
JALパック 5,092 29.4
ANAセールス 4,905 28.8
エアトリ 3,650 31.9
東武トップツアーズ 2,571 27.2
ビッグホリデー 2,476 26.4
阪急交通社 2,322 7.2
名鉄観光サービス 1,811 25.7
JR東海ツアーズ 1,767 20.7
びゅうトラベルサービス 1,388 27.7
農協観光 1,014 18.4
全社合計 120,035 28.6

※観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」、HISホームページより。一部会社は正式な会社名表記と異なります。

広告

JTBは国内が堅調

減少率は、各社により幅があります。大手旅行会社の前年同月比ではJTBが 37.3%(62.7%減)、KNT-CT(近畿日本ツーリストなど)が31.4%(68.6%減)、HISが27.2%(72.8%減)、日本旅行が23.6%(76.4%減)、阪急交通社が7.2%(92.8%減)となっています。JTBが比較的持ちこたえた一方で、阪急交通社は大きく減らしました。

全体の傾向として海外旅行の落ち込みが大きく、各社とも前年比10%台以下の会社が多くなっています。一方、国内旅行は比較的堅調で、とくにJTBは前年比49.5%と、この時期にしては好成績でした。

旅行の出発、空港

阪急旅行は海外旅行が激減

阪急交通社の落ち込みが大きいですが、同社は3月に海外ツアーをほぼ扱わなかったようです。海外旅行に限ると前年同月比1.1%と、限りなくゼロに近づいたのが響きました。同社は国内旅行よりも海外旅行の取扱の比重が大きいだけに、全体として前年比92.8%減という壊滅的な数字になっています。

海外旅行が主力のHISは、前年比27.2%(72.8%減)に踏みとどまっています。海外旅行に限ると27.0%で、業界平均の15.3%よりはだいぶ高くなっています。

4月はより深刻に

JR系列で、新幹線のツアーを主体に扱っている会社では、びゅうトラベルサービスが27.7%、JR東海ツアーズが20.7%となりました。業界平均に比べると落ち込みが大きくなっています。両社とも海外旅行の比重が小さいのですが、この時期、新幹線のツアーも振るわなかったことががうかがえます。

航空会社系列のJALパックは29.4%、ANAセールスは28.8%で、大きな差はありません。JALパックのほうが海外旅行の比重が高いのですが、同社は海外旅行で19.1%と比較的踏ん張りました。ANAは海外旅行が13.6%と平均以下でした。どちらの会社も海外旅行の落ち込みを、国内ツアーで支えたのは同じです。

2020年の3月は、新型コロナ感染症が国内に急速に拡大した時期ですが、上旬はまだそれほど危機感が深刻になっていませんでした。各国で渡航制限が始まり海外旅行が困難になったのは中旬以降で、国内旅行も3月下旬の3連休は賑わいました。

旅行業各社が店舗を全面休業にしたのは、4月の緊急事態宣言発出以降です。そのため、4月以降の数字はより深刻になっているはずで、気になるところです。

広告