沖縄こどもの国は「日本一ユニークな動物園」になれるか。【動物園レビュー】

日本最南端の動物園として知られる沖縄子どもの国。現在、長期にわたる大リニューアルを実施中です。目指すところは「日本一ユニークな動物園」。どんな姿になるのでしょうか。

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2027年までに大リニューアル

沖縄子どもの国は、沖縄本島中部に位置するテーマパークです。もともとは遊園地併設でしたが、遊園地は1999年に閉園。現在は動物園を中心とした子ども向けの公的施設として運営されています。

基本的には地元民向けのローカルな施設でしたが、最近は、外国人客を中心とした観光客も増えてきました。そこで、沖縄市では2016年に施設を大幅拡張のうえリニューアルする計画を発表。「日本一ユニークな動物園」を合い言葉に、「ジャングルゾーン」など特徴のある展示ゾーンを設けます。

近隣の土地を買収し、敷地は現在の16ヘクタールから29ヘクタールに拡張。2027年まで約10年をかけて、主要施設を整備するという長期計画です。

沖縄こどもの国

沖縄在来種が目白押し

まずは、現状の沖縄こどもの国を見てみましょう。

メインゲートから入園し、ヤシの木通りを抜けると、動物園エリアが始まります。最初に現れる琉球列島舎では、カンムリワシがお出迎え。石垣島、西表島といった八重山諸島に分布するワシです。

沖縄こどもの国カンムリワシ

やはり、この動物園の見どころは、沖縄在来種でしょう。

リュウキュウイノシシ。

沖縄こどもの国リュウキュウイノシシ

奄美大島から石垣島にかけて分布。本州のイノシシよりも小柄ですが、生態的には同じだそうです。

こちらはチャーン。沖縄のニワトリです。

沖縄こどもの国チャーン

中国大陸原産で、琉球王朝時代に持ち込まれたとのこと。なんというか、身振りのいいニワトリです。

サル山にいるのはヤクシマザル。

沖縄こどもの国ヤクシマザル

本州の動物園のサル山は、たいていニホンザルなので、ヤクシマザルには南方の動物園らしさを感じます。

沖縄の馬と言えば、ヨナグニバ。日本在来馬8種のうちの一つです。比較的小柄です。

沖縄こどもの国ヨナグニバ

沖縄の動物と言えば、イリオモテヤマネコも見たいところ。しかし、沖縄こどもの国を含め、日本でイリオモテヤマネコとを飼育展示している施設はありません。

その代わり、というわけではないでしょうが、ツシマヤマネコがいます。見づらいですが、写真右上に丸まっています。

沖縄こどもの国ツシマヤマネコ

絶滅が危惧される希少種です。ちなみに、日本において野生猫は、ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコしかいないそうです。

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世界の動物も

このように、動物の展示は、沖縄に身近な動物が多いです。ただ、それだけではなく、世界の動物もちゃんといます。

キリン。

沖縄こどもの国キリン

ダチョウ。

沖縄こどもの国ダチョウ

巧く撮影できませんでしたが、ホワイトライオンもいます。ホワイトライオンは、この動物園の目玉的存在で、最近生まれた子は「セラム」と名付けられたそうです。

沖縄こどもの国ホワイトライオン

子ゾウもいます。

沖縄こどもの国ゾウ

なぜか、ゾウにも乗れます。こういう動物園は珍しいかも。

沖縄こどもの国ゾウ

ケヅメリクガメ。アフリカ産の立派な亀さんでした。

沖縄こどもの国ケヅクリガメ

グリーンイグアナもいます。これも中南米産です。

沖縄こどもの国グリーンイグアナ

サイシュウバ。文字通り済州島の馬です。

沖縄こどもの国サイシュウバ

韓国の天然記念物に指定されています。もともとはモンゴル馬が祖先だそうです。

遊園地の名残も

最後に、ミニSLの「テキサス号」。

沖縄こどもの国テキサス号

沖縄こどもの国は、かつては県内唯一の遊園地も併設していました。経営難で1999年に閉園しましたが、「テキサス号」は、その名残でしょうか。このほか、メリーゴーランドがあったりします。

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6つの展示ゾーンに再編

現在の沖縄こどもの国は、昔ながらの地域型動物園の面影を残しながら、新時代の施設が少しずつ増えている、という印象です。

沖縄の地域性を大事にした展示をしつつ、ライオン、ゾウ、キリンといった、定番の人気動物もきちんと配置しています。

今後は、動物園全体を再構成し、「ワンダーパークゾーン」「日本の自然ゾーン」「ジャングルゾーン」「草原の動物ゾーン」「水辺の動物ゾーン」「誕生の池ゾーン」の6つの展示ゾーンに再編成する予定です。

沖縄こどもの国6つのゾーン
画像:沖縄こどもの国施設整備基本計画策定業務
報告書

まんなかの「ジャングルゾーン」「水辺の動物ゾーン」より下が、おおむね拡張区域です。かなり大きく広がることがわかります。

リニューアルに際し、ベンガルトラやジャガー、オランウータン、ゴリラ、シマウマ、サイ、チーター、カピバラなどの動物の導入も検討しています。とくに、「草原の動物ゾーン」では、サバンナを代表する種が複数導入されそうです。

6ゾーンが全て完成したら、沖縄在来種と世界の代表種が楽しめる、「ユニークな動物園」になりそう。美ら海水族館と並ぶ、沖縄の新たな観光名所として存在感を放つ日が来そうで、楽しみです。(鎌倉淳)

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