沖縄本島北部に大型テーマパークがオープンします。名称は「JUNGLIA(ジャングリア)」です。沖縄鉄軌道構想の実現の追い風になるのでしょうか。
東京ディズニーランドより広い
大型テーマパーク建設が予定されているのは、沖縄県今帰仁村と名護市にまたがる「オリオン嵐山ゴルフ倶楽部」跡地。名護市の北方で、美ら海水族館のある海洋博公園の東方です。
この新テーマパーク計画に関し、運営会社のジャパンエンターテイメントと、同社の筆頭株主である刀が、名称を「JUNGLIA(ジャングリア)」にすると発表しました。2025年夏ごろの開業を目指します。
ジャングリアの面積は約60ヘクタール。東京ディズニーランドや東京ディズニーシー、USJといった大型テーマパークは50ヘクタール前後なので、それらをやや上回る規模です。
東京ディズニーランドより広い
コンセプトは「Power Vacance!!」(パワー・バカンス)」。県北部「山原(やんばる)」の自然を一望できる気球や、森林の中を恐竜から逃げ回るアトラクションなどを設置します。温泉施設(スパ)も開設する予定です。
開業後の当面の集客目標は、年間150万人から200万人。東京ディズニーランドなどの超大型テーマパークの年間入場者数は1,000万人規模なので、それと比べれば10~20%程度と控えめです。
とはいえ、2018年度のハウステンボスの入園者数が270万人、志摩スペイン村が120万人程度なので、ジャングリアが目指す200万人は、地方テーマパークとしては最大規模に近い入場者数です。
鉄道計画にも追い風
このテーマパークの開業は、沖縄鉄軌道計画の追い風にもなりそうです。
内閣府の「沖縄鉄軌道等導入課題詳細調査」(2022年度)では、「沖縄北部テーマパークによる需要増の可能性(中略)を踏まえると、鉄軌道の整備のみならずフィーダー交通の整備も含めた公共交通体系の構築が重要となる」と記しています。ジャングリアの開業によって公共交通の需要が喚起されるという見方です。
沖縄鉄軌道計画は那覇方面から名護までの計画ですが、フィーダー交通としてテーマパーク(ジャングリア)を経て、美ら海水族館のある海洋博公園に至る支線(北部支線軸)も検討されています。海洋博公園の年間入場者数は500万人を超える規模なので、那覇からジャングリアを経て海洋博公園に至る路線ができれば、観光客には便利でしょう。
現実には、沖縄鉄軌道計画は採算性で難があり、事業着手の見通しは立っていません。
とはいえ、沖縄の道路渋滞のひどさや、昨今のバス運転手不足を踏まえると、観光客の誘致には大量輸送機関が求められていることも確かでしょう。そろそろ建設に向け動き出してほしいところです。(鎌倉淳)