横須賀・新門司フェリーの時刻表と客室仕様。個室・寝台のみで大部屋なし

新造船「はまゆう」が進水式

横須賀・新門司間を結ぶ東京九州フェリーの時刻表が公表されました。新造船「はまゆう」は個室と寝台のみの客室仕様で、約21時間の旅を快適に過ごせそうです。

広告

横須賀・北九州を21時間

SHKグループの東京九州フェリーは、2021年7月に横須賀(新港)~北九州(新門司港)間にフェリー航路を開設します。その時刻表が発表されました。

横須賀新港~新門司間の時刻表は以下の通りです。

■横須賀・北九州航路時刻表
横須賀発 23:45 新門司着 21:00(翌日)
新門司発 24:00 横須賀着 20:45(当日)
※日曜日を除く週6便運航。

横須賀発便の所要時間は21時間15分、新門司発便は20時間45分です。首都圏と九州を約21時間で結ぶわけで、現在30時間以上かかっているオーシャン九州フェリー(東京~徳島~北九州)に比べると、圧倒的な速さです。

深夜出発の夜着というのは、トラック輸送を優先したダイヤです。ただ、一般の旅行者にとっても、仕事が終わった後に乗船するのには便利な時間帯で、下船後も日付が変わる前に宿や自宅に着けそうです。一方、家族連れなどにはちょっと使いづらい時刻表です。

広告

速力28ノットの高速船

運航するのは、三菱重工建造の新造船2隻です。速力28ノットの高速フェリーで、首都圏・九州間を24時間以内に結ぶことを実現しました。

このうち1隻の命名進水式が2020年8月7日に行われました。横須賀市の市花にちなみ「はまゆう」と命名されています。花言葉“どこか遠くへ”の通り、関東と九州の架け橋として、新たな需要を開拓するという意味も込められました。

はまゆう
画像:東京九州フェリー

「はまゆう」の主要諸元は以下の通りです。

■東京九州フェリー「はまゆう」主要諸元
全長:222.5m
総トン数:約15,400トン
主機:8,540kw×4基
速力:28.3kt(航海速力)
積載台数:トラック約154台/乗用車約30台(車両甲板は2層構造)
旅客定員:268名
・デラックス2名×2室=4名
・ステート和洋室4名×18室=72名
・ステート(ウィズペット)2名×2室=4名
・ツーリストS(1名個室寝台)62名
・ツーリストA(傾斜階段式2段寝台)96名
・ドライバー室(1名個室寝台)30名

デラックスには専用テラスが設けられ、和洋室は家族が利用しやすい仕様です。ウィズペットルームはペットを同伴できる部屋です。ツーリストクラスは全て寝台で、プライベート空間が確保されています。

大部屋はなく、昔ながらの「2等客室で雑魚寝」の賑やかな旅はできませんが、フェリーの個室化・寝台化は最近の流れです。

充実の船内設備

船内設備も充実しています。3層吹き抜けのエントランスとシースルーエレベーターを設け、豪華な船旅気分を演出。レストランやバーベキューコーナーもあり、海を眺めながら食事ができます。

最上階には露天風呂があり、太平洋の風を肌で感じながら入浴が可能。プラネタリウムや映画を観賞することができるシアターまで備え付けられています。

広告

港のアクセス

東京九州フェリーの横須賀側の発着地点は横須賀新港です。京浜急行横須賀中央駅から1km程度の位置にあり、徒歩10分程度なので、クルマのない旅行者にも便利です。自動車利用の場合も、横浜横須賀道路につながる本町山中有料道路の出入口から近く、アクセスしやすい立地と言えます。

北九州側の発着地点は新門司港は、門司駅からバスで約20分です。横須賀と違い、鉄道駅から徒歩アクセスは困難です。ただ、新門司発着便は、フェリー各社がJR門司駅や小倉駅に無料連絡バスを運行していますので、新航路も同様になるとみられます。

運賃は?

運賃は未発表です。他の航路を参考にしてみると、横須賀~新門司航路と距離、所要時間が似ているのが、敦賀~苫小牧東航路(948km・約20時間)。東京九州フェリーと同系列の新日本海フェリーの運航です。

敦賀~苫小牧航路の最低運賃(ツーリストA)は、通常期が10,700円。これと同価格帯にするのなら、横須賀~北九州航路も最低価格が1万円程度~になりそうです。

車両航送運賃(3m未満)は、敦賀~苫小牧東航路で通常期30,600円。これと同価格帯なら、横須賀~北九州航路も3万円程度~になりそうです。

ただ、現在唯一の首都圏・九州航路を運航するオーシャン東九フェリーでは、東京~北九州の2等旅客運賃が16,570円、航送運賃が24,790円です。横須賀~北九州航路がこの価格を参考にして値付けするなら、片道運賃が15,000円程度になる可能性はあります。

他の交通機関と比較すると、高速バスの「はかた号」が12,200円~、新幹線(東京~小倉・自由席)が23,390円です。格安航空会社LCCのジェットスターの成田~福岡間は、5,190円~です。

就航は2021年7月の予定。首都圏と九州の旅を一変させる豪華フェリーの誕生が楽しみです。

広告
前の記事JR四国が牟岐線・阿波海南~海部間の鉄道事業を廃止。DMVへ移管
次の記事日高線鵡川~様似間、2021年3月にも正式廃止へ。「さよなら乗車」の機会なく