芳賀・宇都宮LRTが、部分開業を検討することになりました。工事が遅延している部分にかからない、グリーンスタジアム前での折り返し運行を視野に入れます。
市議会で表明
芳賀・宇都宮LRT(宇都宮LRT)はJR宇都宮駅東口から芳賀町にある工業団地まで14.6kmを結ぶ新線です。2023年3月の開業を目指して工事が進められていますが、一部区間で工事が遅延。予定通りの全線開業は不可能になり、数ヶ月の開業遅れが見込まれています。
この問題について、宇都宮市の佐藤栄一市長は、6月16日に開かれた市議会で「部分開業も含めて検討したい」と述べました。宇都宮市が部分開業検討を公式に表明したのは初めてです。
全線開業は数ヶ月遅れに
工事が遅延しているのは宇都宮市東部、野高谷町交差点付近です。グリーンスタジアム前~ゆいの杜西間で、南からのLRT軌道が東へ方向を転じる場所です。
LRT用の高架橋が立体交差で幹線道路をまたぐ大がかりな工事で、交通量が多いことや作業員の不足のため、作業が順調に進みませんでした。この付近の工事が完了するのは2023年の年明けになる見通しで、その後の試運転などを含めると、全線開業は数ヶ月遅れる見通しです。
グリーンスタジアム前停留場
ただ、工事遅延部分の手前にあるグリーンスタジアム前停留場は、スタジアムでの試合開催時などに始発列車を運行できるよう、折り返し設備を有しています。折り返しに使えるホームの容量に制約はあるものの、列車本数を絞れば運行は可能です。
また、宇都宮ライトレールの車両基地は、工事遅延部分より宇都宮駅寄りに位置します。車両の搬入も順調に進んでいて、6月中には全17編成が揃う見通しです。こうしたことから、当初予定の2023年3月に、宇都宮駅東口~グリーンスタジアム前間で暫定開業するための障壁は高くなさそうです。
市長は、「国土交通省、栃木県、芳賀町、宇都宮ライトレールと調整のうえ」、部分開業を検討すると述べました。どの程度の運行規模で開業できるのかを判断したうえで、生じる問題点の洗い出しなどを進めるとみられます。議会で前向きな答弁をした以上、ある程度の見通しはついているでしょうから、実現の可能性は高そうです。(鎌倉淳)