東京メトロ有楽町線の豊洲~住吉間(豊住線)の延伸計画について、東京都が都市計画の詳細を公表しました。約5.2kmの新線を建設し、豊洲駅ではホームを1面増設します。
豊住線5.2km
東京都は、「東京都市計画 都市高速鉄道第8号線 東京メトロ有楽町線の分岐線(豊洲~住吉間)計画及び豊洲駅改良計画」の都市計画素案を公表しました。
この路線は、有楽町線豊洲駅~半蔵門線住吉駅間5.2kmを結ぶもので、「豊住線」とも呼ばれます。都市計画変更区間は約4.9kmで、途中に3駅を新規に設置する計画です。路線は全て地下式です。
新木場方面行きホーム増設
起点となる豊洲駅から順に見ていきましょう。東京メトロ有楽町線豊洲駅は、現状で2面4線ですが、内側の2線に蓋をしてホームの一部として使用しています。豊住線建設により、内側2線を本来の用途通り線路スペースとして使うため、開業後にホームが非常に混雑することが予想されます。
そのため、恒久的な混雑対策として、新木場方面行きホームを1面増設し、3面4線とします。
これにより、有楽町線新木場方面行きは、左右両側にホームを備えることになります。実際の運用がどうなるかは不明ですが、豊住線との乗り換えをスムーズにするため、両開きの扱いとなる可能性が高そうです。
ホーム増設にあわせて、新改札口も設置。あわせて、エスカレーター・エレベーターの増設などの改良もおこないます。
枝川駅位置
豊洲駅を出発した新線は、晴海通りを経て豊洲小学校横の特別区道江257号の地下を通過します。
その後、豊洲運河を横断し、特別区道江63号の地下を通過して北上します。平久運河を横断し、江東区枝川二丁目付近に新たな駅を設置します。これが仮称「枝川駅」で、三ツ目通りをまたぐ位置のやや南寄りです。
東陽町駅位置
枝川駅を出ると、汐見運河を通過し、JR京葉線と東京メトロ車両基地の地下を横断して、東陽町駅方面に向けて北上します。車両基地への引き込み線は建設されないようです。
この区間では、特別区道江468号の地下を通過します。永代通りとの交差点付近に東陽町駅を設置し、東京メトロ東西線東陽町駅と地下で乗り換えができるようにします。
千石駅位置
東陽町駅を出ると、四ツ目通りの地下を通過し、北上します。仙台掘川を横断したのち、千石二丁目交差点付近に新たな駅を計画しています。仮称「千石駅」です。
その後、小名木川を横断し、終点となる東京メトロ半蔵門線住吉駅に至ります。住吉駅は2層式で、上下各層に豊住線用のホーム空間がすでに用意されています。
複線シールドが主体
つづいて縦断面図を見てみましょう。左が豊洲駅、右が住吉駅です。
図上のピンク色で示している区間が開削工法、灰色で示している区間がシールド工法です。駅部はいずれも開削工法で、豊洲駅から千石駅までの各駅間は複線シールド、千石駅から住吉駅間は、単線シールドとなります。
おおむね複線シールドで建設されますが、2層式の住吉駅に接続する区間では単線シールドとなります。
鉄道空白地帯を解消
豊住線の開業により、豊住~住吉間の所要時間は約9分となります。これにより、東西線の最混雑区間である木場駅から門前仲町駅間の混雑率が低下することが見込まれています。
また、江東区の鉄道空白地帯の解消にも貢献します。中間新駅を整備することにより、駅から10分以上離れた鉄道空白地帯が解消されます。
開業予定は明確ではありませんが、2030年代半ばを予定しています。図面を見る限り、民有地の地下を通る区間はわずかで、新たに取得しなければならない区分地上権は少ないようです。
そのため、用地取得に手間取る可能性は小さそうで、工事が順調にいけば、十数年後には開業しそうです。(鎌倉淳)