多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸が実現しそうです。東京都が2020年度予算案で事業着手へ向けた予算を計上します。
全体構想93km
多摩都市モノレール(多摩モノレール)は、多摩センター~上北台間約16kmを結ぶ路線です。このほか、上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間、多摩センター~八王子間などの延伸計画があり、全体構想は約93kmに及びます。
このうち上北台~箱根ケ崎間の延伸事業について、東京都が着手する見通しとなりました。2020年度予算案で、延伸の基本設計に関する調査費用として約1億円を計上します。
上北台~箱根ヶ崎間の延伸距離は7.2km、都は総事業費を約800億円と想定しています。
多摩都市モノレールの利用者は増加傾向です。2018年度の1日平均乗車人数は約14万4000人、運輸収入は約85億円と、過去最高を更新しました。好調な利用状況を背景にいよいよ延伸に踏み出すわけです。
導入空間の整備進む
今回の延伸事業化の後ろ盾となっているのが、2016年の交通政策審議会答申です。同答申では、「導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべき」と前向きな表現となりました。
答申を受け、東京都は多摩モノレール延伸を、優先的に整備していく6路線の一つとして位置づけていました。優先6路線ではJRの羽田空港アクセス線が先行していますが、多摩モノレール箱根ヶ崎延伸がそれに続くことになります。
路線名 | 区間 |
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羽田空港アクセス線 | 田町駅付近など~羽田空港 |
新空港線 | 東急蒲田~京急蒲田 |
東京8号線(有楽町線) | 豊洲~住吉 |
東京12号線(大江戸線) | 光が丘~大泉学園町 |
多摩都市モノレール | 上北台~箱根ヶ崎 |
多摩都市モノレール | 多摩センター~町田 |
箱根ヶ崎延伸が事業化される理由として、答申にも記されているように、導入空間である新青梅街道の整備見通しが付いたことが大きいといえます。優先6路線には同じ多摩モノレールの多摩センター~町田間も盛り込まれていますが、こちらは導入空間となる道路整備のメドが立っておらず、事業化の見通しは付いていません。
上北台~箱根ケ崎間の開業予定時期は未定ですが、事業着手から10年程度はかかるため、開業は早くても2030年頃になるとみられます。(鎌倉淳)