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関門海峡に「しまなみ以来」の巨大吊橋を建設へ。下関北九州道路、実現に向け論点整理

技術継承の狙いも

国土交通省は9月10日、下関市と北九州市を結ぶ「下関北九州道路」の整備・運用に関する論点を整理しました。関門海峡を約2.2kmの巨大吊橋で渡る「第3の関門ルート」です。2025年12月の都市計画決定に続き、事業化に向け、建設方法や事業主体、費用負担などを具体化する段階に進んでいます。

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関門海峡の「第3ルート」

下関北九州道路は、山口県下関市彦島迫町から福岡県北九州市小倉北区西港町までを結ぶ、延長約8kmの自動車専用道路です。4車線、設計速度80km/hで計画され、北九州側では北九州都市高速道路につながります。

現在、本州と九州を道路で結ぶルートには、1958年開通の関門トンネルと1973年開通の関門橋があります。下関北九州道路が完成すれば、関門海峡を渡る3本目の道路ルートとなります。

既存の2ルートは海峡の東側に近接しています。下関北九州道路は西側に建設し、事故や災害などの際の代替経路を確保します。また、下関市街地と北九州市街地を結ぶ交通を分散し、物流や地域間移動を円滑にします。

下関北九州道路
画像:下関北九州道路パンフレットより

 
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明石海峡大橋に次ぐ巨大吊橋

計画の中心となるのが、関門海峡を横断する長大吊橋です。海峡部は約2.5kmで、そのうち吊橋部分が約2.2km。道路全体では約6.8kmが橋梁構造となる計画です。

主塔と主塔の間の「主径間」は約1,500mを予定しています。完成すれば、1,991mの明石海峡大橋に次ぐ国内2番目の長さとなります。関門橋の主径間712mと比べると、倍を超える規模です。

国内で主径間1,000mを超える吊橋には、明石海峡大橋のほか、南備讃瀬戸大橋、しまなみ海道の来島海峡第二・第三大橋があります。1,000mを超える吊橋の新設は、1999年に完成した来島海峡第二大橋の1,020m、第三大橋の1,030m以来となります。

下関北九州道路
画像:環境影響評価準備書のモンタージュ写真を加工

 
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2025年12月に都市計画決定

下関北九州道路では、国と関係自治体が長年にわたりルートや構造を検討してきました。2020年12月の計画段階評価で、橋梁で海峡を渡る現在の概略ルートについて対応方針を決定しました。

その後、環境影響評価と都市計画の手続きを進め、2025年12月23日に都市計画決定を告示しました。約2.2kmの吊橋を含む道路の位置や構造の大枠が、ここで定まりました。

国土交通省は2026年1月27日、社会資本整備審議会の下に「本州・九州連携小委員会」を設置しました。3月2日の初会合以降、自治体、物流・バス業界、橋梁業界、高速道路会社などから意見を聞き、整備・運用方法を検討してきました。

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長大吊橋の技術を次世代へ

下関北九州道路には、日本で培ってきた長大吊橋の技術を次世代へつなぐ役割も期待されています。

2026年5月13日の本州・九州連携小委員会では、日本橋梁建設協会が長大吊橋をめぐる技術者の状況を説明しました。本州四国連絡橋などの建設に携わった技術者の多くが定年を迎え、経験を持つ技術者が減っていると指摘しています。

国内では2008年の豊島大橋(広島県)以降、主径間300m以上の道路吊橋が新たに完成していません。長大吊橋を設計、製作、架設し、その後も維持管理していく技術を国内で維持するため、若手技術者への継承が課題となっています。

下関北九州道路は、明石海峡大橋などで蓄積した技術を次の世代へ引き継ぐ機会にもなります。委員会の議論でも、熟練技術者の減少を背景に、吊橋技術の継承が課題の一つに挙げられました。

下関北九州道路
画像:本州・九州連携小委員会ヒアリング資料

 
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実現へ向け「論点整理」

9月10日に開かれた第6回小委員会では、それまでの議論を踏まえ、本州・九州間の道路ネットワークの整備・運用について論点整理案を示しました。下関北九州道路を事業化するため、今後詰めるべき課題を整理したものです。

下関北九州道路について大きくみると、ポイントは3つです。巨大吊橋をどのような方法で建設するのか、誰が事業を担うのか、巨額の事業費をどのように負担するのか、という点です。

吊橋については、地盤や断層、風況などを詳しく調べ、設計や施工方法を検討します。事業主体や整備手法については、民間の資金やノウハウを活用するPPP/PFIも選択肢となります。費用については、有料道路として利用者負担を基本に、一部公費負担も含めて検討します。

今後は今回の論点整理を踏まえて基本方針をまとめ、国土幹線道路部会へ報告する予定です。都市計画でルートと構造を定めたことに続き、誰がどのような仕組みで造るのかを具体化していくことになります。

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事業費は大幅増の見込み

下関北九州道路の概算事業費は、2020年時点で約2,900億~3,500億円です。ただ、この数年で、資材価格や人件費は大幅に上昇しました。

国土交通省は2026年3月、近年の資材高騰などにより、事業費が当初の試算から「大幅に増える見込み」と説明しています。最新の総事業費はまだ公表されていません。

都市計画では、2040年時点の計画交通量として、海峡を渡る区間で1日28,200台を見込んでいます。有料道路としての整備が想定されていますが、具体的な通行料金は決まっていません。

料金収入がどの程度になるのか、整備費をどこまで料金で賄えるのかといった収支見通しや償還期間も示されていません。事業費や料金設定などが具体化するにつれ、有料道路としての採算性も明らかになっていくとみられます。

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いつ着工、いつ完成?

下関北九州道路の事業化や着工の時期は決まっていません。工期や開通予定についても、国は具体的な時期を示していません。

今後は基本方針をとりまとめ、事業化に向けた検討を進めます。巨額の事業費はハードルですが、議論を見ている限り、事業着手の可能性は高そうです。全長約2.2km、主径間約1,500mの巨大吊橋を渡れる日は、いつになるのでしょうか。(鎌倉淳)

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