四国と九州の間にはさまざまな会社のフェリーが就航しています。全てのフェリー航路と所要時間、格安利用術などを比較しながら、2025年の最新情報でまとめてみましょう。
4社4航路
まずは、四国~九州間のフェリー航路を一覧表にしてみました。2025年6月末で松山~小倉航路が廃止になったため、現在は4社4航路となっています。
旅客運賃はオフシーズンの最低運賃、車両運賃は4m~5mの乗用車の最低運賃を示しています。いずれも時期により価格が変わります。
運航本数は1日あたりの標準的なスケジュールを示していて、路線により休航日があったり、時期や曜日により減便や増便がおこなわれることもあります。
航路 | 運航会社 | 所要時間 | 運航本数 | 旅客運賃 | 車両運賃 |
---|---|---|---|---|---|
三崎 佐賀関 |
国道九四 フェリー |
1時間10分 | 16往復 | 1,260円 | 10,400円 |
八幡浜 臼杵 |
九四オレンジ フェリー |
2時間25分 | 7往復 | 3,600円 | 15,500円 |
八幡浜 臼杵 |
宇和島運輸 フェリー |
2時間25分 | 7往復 | 3,600円 | 15,500円 |
八幡浜 別府 |
宇和島運輸 フェリー |
2時間50分 | 6往復 | 4,700円 | 17,200円 |
徳島 新門司 |
オーシャン 東九フェリー |
14時間 | 1往復 | 11,000円 | 26,070円 |
※旅客運賃は大人1人の最安クラスの最低価格を表示。クラスや季節により変動する。車両運賃は4m~5mの乗用車。
※運航本数は1日あたりの標準的な数字。路線により休航日あり。松山-小倉航路は7月より隔日運航に減便予定。
5航路が健在
四国側の発着地は徳島、松山、三崎、八幡浜の4港。九州側の発着地は新門司、小倉、別府、佐賀関、臼杵の5港です。
フェリーの往来が活発なのは三崎~佐賀関航路です。1日最大16往復が運航しています。
八幡浜~臼杵航路も頻繁運航で、利用者の人気は高いです。九四オレンジフェリーと宇和島運輸の2社体制で、両社あわせて1日14往復を運航しています。
順にご紹介していきましょう。なお、運航本数は時期や曜日により異なります。車両運賃は4m~5mの金額を表示していて、旅客1名を含みます。
三崎~佐賀関
四国と九州を結ぶ代表的なフェリーが、三崎~佐賀関間の国道九四フェリーです。佐田岬半島から佐賀関半島まで、豊予海峡を横断し、四国と九州とを最短距離で結んでいます。
国道197号の一部を構成していることから「国道九四フェリー」という名称になっているようです。地図の航路上にも「197」の表記があります。
早朝7時から深夜23時まで、ほぼ1時間間隔で運航しています。所要時間は1時間10分です。
使用船舶は1,000トン級の中型フェリーです。桟敷席と座席の一般席があり、客室等級の区分はありません。船内には売店があります。最新鋭の「涼かぜ」は、2021年の就航の新鋭船です。
旅客運賃は1,260円、車両運賃は10,400円。いずれも燃油調整金込みの価格です。
事前決済割引(6%、往復10%)、インターネット割引(3%)、往復割引(復路5%)などの割引があります。
手頃な価格で四国と九州を往来できます。
八幡浜~臼杵
愛媛県の八幡浜と大分県の臼杵を結ぶ、九四間最大の航路です。九四オレンジフェリーと宇和島運輸が、それぞれ1日6~7往復を運航しています。
所要時間は2時間25分。臼杵港は東九州自動車道の臼杵インターにも近く、南九州方面へのアクセスに優れます。
九四オレンジフェリーの使用船舶は3,000トン級の中型フェリーです。2007年就航の「おれんじ九州」と2008年就航の「おれんじ四国」の2隻体制です。2等、1等、特等の3等級の客室があり、船内設備として軽食コーナー、売店、ゲームコーナーなどがあります。
宇和島運輸の使用船舶は2,500トン級の中型フェリーです。2022年就航の2017年就航の「あけぼの丸」と2004年就航の「おおいた丸」で主に運航しています。2等、1等、特等の3等級の客室があり、船内設備として売店やゲームコーナーがあります。
値段は基本的には両社とも同額で、2等旅客運賃が3,600円。車両運賃が15,500円です(いずれも燃油調整金含む)。インターネット予約割引(5%)、往復割引(復路10%)、JAF割引(5%)などの割引があります。
八幡浜~別府
八幡浜~別府航路は宇和島運輸が、1日6往復で単独運航しています。所要時間は2時間50分で、臼杵航路よりもやや長いですが、豊予海峡を斜めに横切る効率的なルート取りが魅力です。別府インターから高速道路に入れば、北九州・西九州方面へのアクセスに優れます。深夜便は朝5時30分まで船内で休憩できます。
使用船舶は2,500mの中型フェリーです。2022年に就航した最新鋭船「れいめい丸」と2014年就航の「あかつき丸」がおもに運航しています。2等、1等、特等の3等級の客室があり、船内設備として売店やゲームコーナーがあります。
2等旅客運賃は4,700円。車両運賃は17,200円です。インターネット予約割引(5%)、往復割引(復路10%)、JAF割引(5%)などの割引があります。
徳島~新門司
オーシャン東九フェリーの運航です。東京~新門司港を結ぶ航路が徳島に立ち寄り、徳島~新門司間のみの利用が可能です。所要時間は14時間です。
使用船舶は12,000トン級の大型フェリーです。2等洋室の相部屋と、2人用・4人用個室があります。船内設備として大浴場などがあります。レストランはありませんが、自由に使える「オーシャンプラザ」というスペースがあり、メニュー豊富な自動販売機が並んでいます。
旅客運賃は2等洋室で11,000円。車両運賃は26,070円。WEB事前決済割引で乗用車2,090円引き、旅客990円引きになります。学割は約20%割引(9,020円)で、学生証の提示で適用されます。
クルマで走れば7~8時間で着くところ、1泊2日で14時間もかかりますが、船旅を楽しむつもりで利用するのもよさそうです。
四国・九州間のフェリー利用術
四国・九州間のフェリーは、豊予海峡を渡る3本の航路が主力です。手軽なのは三崎~佐賀関間でしょう。ただ、両港とも高速道路インターからは少し離れていて、半島の一般道をドライブしなければなりません。それが面倒なら、八幡浜に発着する臼杵・別府航路の二択になります。
大型フェリーで船旅を楽しみたい方は、徳島~新門司航路がおすすめです。時間がかかるので実用的とはいえませんが、1泊2日のクルージングを味わえます。
独特の雰囲気があった松山~小倉航路は、2025年6月末で、惜しくも廃止となりました。また、かつては宿毛~佐伯間のフェリーもあったのですが、2018年に運航休止となっています。
宿毛~佐伯航路は、現在も公式ウェブサイトに時刻表が掲載されていますが、運航休止前のものです。実際には運航していませんので、ご注意ください。(鎌倉淳)