JR東海ツアーズの回復際立つ。旅行会社の取扱高、6月は92%減

HISは厳しい状況続く

旅行会社の取扱高の6月速報がまとまりました。対前年同月比92%以上の減少で、5月よりは改善したものの、依然として非常に厳しい状況が続いています。

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観光庁が発表

観光庁が発表した2020年6月の旅行業者の旅行取扱状況速報によりますと、国内主要旅行会社の総取扱額は約287億8600万円で、前年同月比7.1%(92.9%減)となりました。4月の4.5%(95.5%減)、5月の2.4%(97.6%減)より改善したものの、引き続き非常に厳しい状況が続いています。

6月の内訳は、国内旅行総取扱額が対前年同月比12.1%(87.9%減)、海外旅行が1.2%(98.8%減)。外国人旅行(訪日旅行)が1.0%(99.0%減)です。

いずれの数字も5月よりは改善していますが、海外旅行と外国人旅行は依然としてゼロに近い数字が続いています。一方で、国内旅行は前年比10%を超えており、国内では人の動きが出てきたことをうかがわせます。2020年6月の旅行会社は、国内旅行主体でなんとか営業を続けていたといえそうです。

東海道新幹線

主要旅行会社の対前年度比

主要旅行会社の対前年比の具体的な数字は以下の通りです。

主要旅行会社取扱高の対前年同月比・2020年
会社名 4月 5月 6月
JTB 5.6% 3.6% 10.3%
HIS 1.2% 2.0% 1.4%
KNT-CT 2.8% 1.3% 4.1%
日本旅行 4.0% 1.8% 9.0%
阪急交通社 0.0% 0.1% 1.0%
ジャルパック 3.9% 1.7% 9.0%
ANAセールス 4.7% 2.7% 10.5%
東武トップツアーズ 7.2% 2.1% 4.2%
JR東海ツアーズ 2.7% 1.3% 19.4%
名鉄観光 13.4% 5.5% 9.5%
農協観光 5.7% 2.9% 6.4%
ビッグホリデー 2.7% 0.6% 2.6%
日新航空サービス 4.8% 1.7% 3.6%
びゅうトラベルサービス 2.7% 0.9% 3.3%
読売旅行 1.2% 0.5% 1.9%

出典:観光庁(HISの4、5月のみ同社月次情報)

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JR東海ツアーの回復際立つ

新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言は2020年5月25日に終了しました。6月に入り、多くの旅行会社が営業を再開したものの、旅行商品の販売状況は芳しくありません。

そのなかで際立った回復を見せたのがJR東海ツアーズ。前年同月比19.4%はダントツです。同社は東海道新幹線を使ったツアーに強みを持つため、出張などビジネス需要の回復が後押ししたのでしょうか。

そのほか、JTB、日本旅行、ジャルパック、ANAセールス、名鉄観光が9%を超えて健闘しました。一方で、KNT-CTや阪急交通社、東武トップツアーズなどは回復が今ひとつです。

回復の度合いは必ずしも企業規模に比例していません。はっきりとはわかりませんが、個人客や学校関係に強い会社の回復が弱く、企業関係に強い会社はそれなりに回復している印象を受けます。

海外旅行が主力のHISは厳しい状況が続きます。同社は6月から観光庁統計に復帰したので、同月のみ観光庁データを載せましたが、同社月次情報では1.0%と、観光庁統計より低い数字となっています。5月より6月の数字が悪いのはHISだけで、同社も国内旅行にシフトしているようですが、6月の時点ではまだ成果が現れていないようです。

航空業並みに

他業界の最大手企業と比べてみると、JR東日本の6月の鉄道営業収入は対前年度比53.3%。ANAの6月の国内線旅客数は17.6%、国際線は3.8%です。

旅行業最大手のJTBは国内旅行17.1%、海外旅行1.0%ですので、JR東日本よりは厳しく、ANAとほぼ同等でしょうか。5月はANAよりも厳しかったので、6月の旅行業の業績は航空業に追いついてきたといえるかもしれません。もちろん、それでも深刻な状況に変わりありません。

7月には「Go To トラベル キャンペーン」が開始されました。批判はあっても「Go To トラベル キャンペーン」が旅行業界に大きな恩恵を与えるのは間違いないでしょう。ただ、新型コロナウイルス感染症が全国に広まるなか、旅行業界の先行きは見通せません。

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