留萌線廃止が正式決定。石狩沼田~留萌間は2023年、深川~石狩沼田は2026年に

段階的廃止

JR留萌線の廃止が正式に決定しました。石狩沼田~留萌間を2023年3月に、深川~石狩沼田間を2026年3月に、それぞれ段階的に廃止します。

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JR案を地元が受け入れ

留萌線は深川~留萌間50.1kmを結ぶJR北海道のローカル線です。2016年に同社が「単独では維持困難な線区」として位置づけ、廃止を求めてきました。沿線4市町のうち留萌市は、2020年に市内区間の廃線に同意しています。

2022年7月21日には、JR北海道が、石狩沼田~留萌間を先行して廃止した後、3年後に深川~石狩沼田間を廃止するという二段階廃止案を提示しました。

そして、8月30日に、JR北海道の綿貫泰之が留萌市を訪れ、沿線自治体首長と会談。自治体側はJR北海道の提案を受け入れ、段階的廃止が決まりました。

留萌線

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2026年3月末に完全廃止

これにより、留萌線は石狩沼田~留萌間を2023年3月末を以て廃止し、深川~石狩沼田間を2026年3月末を以て廃止することが正式に決まりました。

廃止までの深川~石狩沼田間の運行費用と、石狩沼田駅折り返し運転のための設備の整備費用はJRが全額負担します。また、JRは、鉄道廃止から最大で18年間分、代替交通への支援をおこないます。さらに、JRから各自治体に対し、7000万円のまちづくり支援も実施します。

今後は、バス転換についてのJRの支援策や、鉄道施設や用地の処理などについて協議を続けていきます。

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特定地方交通線では生き残る

留萌線は1910年に留萌まで開通し、1921年に増毛まで延伸開業したという歴史ある路線です。

輸送密度は、国鉄時代の1975年度で2,245人。「輸送密度4,000人未満」という特定地方交通線に該当する数字でしたが、「乗客ひとりあたりの平均乗車距離が30kmを超え、かつ輸送密度が1,000人以上」という除外規定に該当し、廃止を免れました。

1980年度に1,582人、1985年度に654人、1989年度に433人と、1980年代に輸送密度が激減。その後も漸減傾向が続き、2020年度と2021年度は90人にまで落ち込みました。2020年度に深川留萌道が全通するなど、並行する道路整備も進み、留萌線が地元に果たす役割は小さくなっていました。

2016年には留萌~増毛間を廃止。2023年に石狩沼田~留萌間、2026年に深川~石狩沼田間を廃止することにより、開通110余年を経て、留萌線はその歴史に幕を閉じることになります。

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廃止議論は一段落

JR北海道は、2016年に同社の輸送密度200人未満の5線区についてバス転換の方針を示しました。留萌線の廃止決定により、5線区全ての廃止が決まったことになります。このほか、北海道新幹線の並行在来線に該当する函館線・長万部~小樽間の廃止も決まっていて、同函館~長万部間は協議中です。

JR北海道は、残る線区について存続する意向を示していて、同社の鉄路の廃止議論は一段落となりそうです。

8線区でアクションプラン

ただ、JR北海道は、輸送密度2000人未満の8線区についても、「単独では維持困難」として、自治体や国に費用負担を求めています。当該区間では、収支改善を図るための「アクションプラン」を実施中で、線区の活性化のため、利用促進や経費削減に取り組んでいます。

JR北海道は、2023年度中に「アクションプラン」の成果について「総括的な検証」を行い、事業の抜本的な改善方法について検討をおこなう予定です。その内容は未定ですが、上下分離といった公的負担による路線維持の仕組みが提案されそうです。(鎌倉淳)

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