JR特急は奈良県に定着するか。「まほろば」が新大阪~奈良間で運転、定期化視野

新大阪~奈良間で臨時特急「まほろば」が運転されます。奈良県内にJR特急列車が走るのは9年ぶりです。将来の定期化はあり得るのでしょうか。

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おおさか東線経由

JR西日本は、新大阪~奈良間に臨時列車の特急「まほろば」を運行すると発表しました。287系3両編成を使用し、2019年11月から12月にかけて土休日に計13日間運行します。

運行経路は、おおさか東線・大和路線です。おおさか東線は2019年3月16日に全通した新線で、山陽新幹線と接続する新大阪駅と奈良駅を連絡します。

新大阪~奈良間には1日4往復の直通快速が設定されていますが、これにくわえ、JR西日本では奈良への誘客策として、秋の行楽シーズンに臨時特急を設定するわけです。

奈良駅

特急「まほろば」の概要

臨時特急「まほろば」の時刻表と運転日など、運行概要は以下の通りです。

■運転日(2019年)
11月:2日~4日、9日、10日、16日、17日、23日、24日、30日
12月:1日、7日、8日

■時刻表
新大阪 10:03→奈良10:53
奈良16:56→新大阪17:47
(ノンストップ)

■車両
287系3両編成(定員:178席)

■座席設定
1・2号車指定席(114席)、3号車自由席(64席)

■料金
新大阪~奈良駅間の通常期の指定席特急料金は1,730円(10月消費税改訂後の価格)。別途乗車券が必要です。

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山陽・九州地区からの誘客目的

臨時特急「まほろば」は山陽、九州地区から奈良へのアクセス向上を目的とした列車です。そのため、山陽新幹線の各駅から使いやすい時間帯の設定となりました。新大阪発の列車は博多7:10発の「のぞみ6号」の接続を受け、奈良発の列車は博多20:33着の「のぞみ45号」に接続します。

特急料金はA特急料金を適用。新大阪~奈良間は50.6kmで、ギリギリ「100キロまで」の料金区分となります。そのため1,730円という特急料金になっていて、大阪近郊の短距離特急としては、距離に比して割高感があります。

ただ、この列車は新幹線からの乗継利用を前提としています。新幹線との乗り継ぎ割引が適用されれば、指定席が半額の860円で利用できます。

287系
写真は287系6両編成

9年ぶり設定

臨時特急「まほろば」が運転されるのは、今回が初めてではありません。2010年4月から6月にも、新大阪~奈良間で設定されました。

このときは平城遷都1300年記念事業にあわせて開催された「奈良デスティネーションキャンペーン」にともなう運転で、梅田貨物線、大阪環状線、大和路線経由でした。381系6両を使用し、天王寺、王寺、法隆寺に停車しました。

今回の特急「まほろば」は、経由路線を変えて、9年ぶりに同区間に設定されることになります。287系3両での運転で、途中ノンストップというのが特徴的です。王寺や法隆寺といった、停まれば観光客に便利な駅も通過します。

短編成で途中駅通過という乗客ターゲットを絞った設定で、試験的な列車と感じられます。

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将来の定期化を視野

JR西日本では、2022年度の北陸新幹線敦賀開業により、「サンダーバード」や「しらさぎ」で使用されている特急車両に余剰が生じます。そうした事情もあり、新たな特急設定先を検討しているとみられ、新大阪~奈良間も、その候補の一つでしょう。

実際、毎日新聞2019年8月22日付によりますと、JR西日本大阪支社の宮本芳明副支社長は、「まほろば」について「好調なら今後も臨時運行や定時運行につなげたい」と話しており、将来の定期化も視野に入れていることを明らかにしています。

「あすか」以来

奈良県内を走行する国鉄・JRの定期特急列車は、名古屋~東和歌山(現・和歌山)間を運転していた「あすか」が最後です。「あすか」は、2年半だけ走った短命列車で、1965年3月に登場し1967年10月に廃止されています。それ以来、半世紀以上にわたり、奈良県に定期列車の国鉄・JR特急は走っていません。

仮に「まほろば」が定期化すれば、国鉄・JRとしては50余年ぶりの「奈良県を走る定期特急」となります。実現するのか、注目したいところです。(鎌倉淳)

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