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長崎新幹線に「単線フル規格案」浮上。環境アセス調査先行も

6月にも方針固める

九州新幹線・長崎ルート(長崎新幹線)の新鳥栖~武雄温泉間の整備について、単線でのフル規格整備案が浮上しました。与党検討委員会では、2019年6月頃までに、方向性を固める方針です。

フリーゲージは断念

長崎新幹線は博多~長崎間を結ぶ整備新幹線です。博多~新鳥栖間は既存の九州新幹線を使い、武雄温泉~長崎間は路線を新設し、2022年度に暫定開業します。残る新鳥栖~武雄温泉間は、在来線の線路を活用し、フリーゲージトレインを走らせる構想でした。

しかし、フリーゲージトレインは開発が難航、最終的に導入断念となりました。当面は、新幹線と在来線を武雄温泉駅で乗り継ぐ「リレー方式」で開業し、新鳥栖~武雄温泉間の整備方式については棚上げとなっていました。

長崎新幹線ルート
画像:国土交通省

単線なら5,400億円

2019年3月7日に、長崎新幹線の今後の整備方針を話し合う与党検討委員会(PT)の会合が開かれました。PTでは、国土交通省が新たに「単線フル」の整備案を提示。フル規格を単線で整備した場合は5,400億円との初試算を示しました。

そのほか、人件費などを考慮した最新の建設費試算も報告されました。フル規格を複線で整備した場合は、以前の試算より200億円増の6,200億円。ミニ新幹線の場合は1,800億~2,700億円で、100億円ほどの上振れを見込みました。

博多~長崎の所要時間はフル規格が最短約51分、単線フルが同55分、ミニ新幹線は同約1時間13分とされました。単線フルは、複線フルより800億円安い代わりに、4分所要時間が延びる、ということです。

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落としどころの一つ

単線フル規格の新幹線は、基本計画路線で導入が検討されていますが、開業した前例はありません。整備新幹線で導入されれば初めてとなります。

単線整備の場合、途中で、すれ違いのための停車時間を確保する必要があり、所要時間が延びますが、4分なら許容範囲でしょう。長崎新幹線の輸送量からすれば、一部が単線であっても需要に対応できそうで、単線フルは落としどころの一つになりそうです。

ただ、5,400億円は、絶対的な金額としてはまだ高く、建設に後ろ向きな佐賀県を説得するのは難しそうです。

環境アセス調査を先行か

与党PTでは、これらの各方式について、地元の佐賀、長崎両県とJR九州から、今後、意見聴取し、6月ごろまでに方向性を固めます。6月までに結論が出れば、8月末の来年度政府予算概算要求に、着工前に必要な環境影響評価(アセスメント)の調査費を盛り込めます。

建設に佐賀県が同意しない場合でも、環境アセスの調査を先行させることは可能です。与党としては、まずは整備の方向性を決め、環境アセスへ向けた調査を進めることで外堀を埋め、新たな財源スキームを模索しつつ、佐賀県を説得しようという目論見に感じられます。

2月には鉄道建設・運輸施設整備支援機構がJR佐世保線の複線化区間を縮小する計画変更を国交省に届け出ました。複線化は、リレー方式やミニ新幹線では必要な投資ですが、フル規格では不要になります。

今回の決定に、佐賀県は当然反発しています。とはいえ、全体として、長崎新幹線は全線フル規格整備への環境を整える雰囲気が色濃くなってきました。(鎌倉淳)