JR牟岐線の牟岐~海部間が2020年7月18日から代行バスによる運行となります。阿佐海岸鉄道のDMV導入工事にともなうものですが、工事完了後、阿波海南~海部間はDMV区間となり、JR牟岐線としての運行は7月17日で終了となります。
バス代行輸送
JR四国は、阿佐海岸鉄道がDMV(デュアル・モード・ビークル)を導入するのに伴い、牟岐線の牟岐~海部間で約半年間、バス代行輸送を行うと発表しました。代行輸送の期間は2020年7月18日~2021年1月31日です。
代行バスは現行の列車と同じく1日9往復運転します。阿佐海岸鉄道の阿佐東線(海部~甲浦)は、当分の間、これまでどおり鉄道で運行されますが、牟岐線バス代行にあわせてダイヤが修正されます。
室戸岬まで直通運転
DMVは線路と道路を走れる乗りものです。阿佐海岸鉄道ではDMVを導入し、阿佐東線から、道路に乗り入れて室戸岬方面まで直通運転をする計画を立てています。
DMVは片運転台のため、鉄道の始発・終着駅では車両回転設備が必要になりますが、阿佐東線の起点である海部駅は高架駅のため、設置するスペースがありません。そのため、一つ徳島寄りのJR阿波海南駅までDMV鉄道としての運転区間を広げ、同駅に車両回転設備を設けます。
今回のバス代行輸送は、その工事のためです。工事完了後の阿波海南駅は以下のようになります。
阿波海南~海部間はDMV区間に組み込まれます。JR牟岐線は阿波海南駅が終点となり、車止めが設けられます。JRの車両が海部方面には乗り入れができない構造で、DMV車両も牟岐線に乗り入れることはできません。
甲浦駅も改造
阿佐東線の終点・甲浦駅は、以下のように改造されます。駅構内に「DMVモード・インター・チェンジ」(バス・鉄道のモード変換地点)を設け、高架の先に新設するスロープで一般道路と接続します。
海部駅、宍喰駅も工事をおこない、DMV用の低いホームを新設します。DMVの運転経路は下図の通りです。
「世界初」の営業運転
阿佐海岸鉄道はすでにDMVを3台購入しています。今後のスケジュールとしては、今秋ごろに阿佐東線の海部~甲浦間も運休し工事に入り、工事完了後、2020年度内に、DMVの本格的な営業運行を始める計画です。実現すれば「世界初」となります。
総事業費は約13.9億円。もともとは利用者が極端に少ない阿佐東線の活性化策として検討されはじめたものですが、ローカル線を巨大な「乗り物アトラクション」に変えてしまうという、大がかりな地域振興プロジェクトとなりました。
期待通りの集客効果が得られるのか、目が離せない路線となりそうです。(鎌倉淳)