リニア、名古屋~大阪間の環境アセスを先送り。駅位置決定にも影響

2037年度開業は絶望的に

JR東海が、リニア中央新幹線の名古屋~大阪間建設工事について、環境影響評価(環境アセス)の着手を先送りします。本来なら、2023年度に着手する予定でした。これにより、詳細ルートの決定なども先送りとなり、2037年大阪開業も絶望的となりました。

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2037年度大阪開業予定

リニア中央新幹線は、当初、2027年度に品川~名古屋間が開業する予定とされていました。

名古屋~大阪間については、当初、2045年度開業予定でしたが、2016年8月に、財政投融資の活用で最大8年前倒しすることが決まっていました。

2027年度の名古屋開業後、時間を開けずに延伸工事に着手し、早ければ2037年度に開業するという予定です。

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着工の4年前

8年前倒しが決まった際、JR東海の柘植康英社長(当時)は「工事開始の4年前には環境影響評価の手続きを始める」と表明していました。2027年度着手の4年前ということで、2023年度に環境アセス手続きを開始するという見通しを示したわけです。

延伸区間の沿線にあたる三重県や奈良県は、このスケジュールを念頭に駅の候補地を選定。すでに三重県は亀山市付近の3箇所、奈良県は奈良市付近の3箇所を候補地としてJR東海に通知しています。

首相も後押し

一方で、2017年以降、大井川の水源問題をめぐるJR東海と静岡県の対立が深刻化。静岡工区で着工できない状態が続いています。

JR東海はすでに2027年度の名古屋開業という目標を取り下げていて、新たな開業時期を明確にしていません。

2022年5月28日には、岸田文雄首相が山梨県のリニア中央新幹線の試験車に試乗。名古屋~大阪間の環境アセスについて「全線開業の前倒しを図るため、2023年から着手できるよう、必要な指導・支援を行っていく」と表明しました。

大阪開業への影響を最小限にするため、国として、2023年度の環境アセス着手を後押しする姿勢を示したわけです。

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2037年開業は絶望的に

こうした状況のなか、JR東海の宇野護副社長は2023年4月11日、リニア中央新幹線静岡工区の環境保全に関する国の有識者会議終了後、名古屋~大阪の環境影響アセスに関し「本年度やることは考えていない」と明らかにしました。

宇野氏は「静岡工区の見通しがはっきりした段階で考えていく話」とも付け加えました。

JR東海として、リニア大阪延伸のスケジュールの後ろ倒しを明確にしたわけで、2037年度の大阪開業は絶望的になります。

ただ、名古屋までの2027年度の名古屋開業が見通せないなか、大阪開業の後ろ倒しが不可避であることは、すでに周知の事実です。したがって、大きな驚きはありません。

駅位置決定も先送りへ

品川~名古屋間のリニアのルートや駅位置の詳細については、「環境影響評価準備書」で明らかにされてきました。

環境アセスの着手が先送りとなれば、「準備書」の公表も先送りになります。

したがって、名古屋~大阪間の環境アセスが後ろ倒しになることで、三重県や奈良県の駅位置決定についても、先送りとなりそうです。(鎌倉淳)

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