LCCは本当に安いのか? ジェットスター、エアアジアとスカイマークの価格を研究 。早朝便は宣伝道具?

いよいよ本日、ジェットスター・ジャパンが日本国内線を就航させました。本格的LCCは日本ではピーチ航空に次いで2社目。8月にはエアアジア・ジャパンも参入し、3社揃い踏みとなります。「元祖格安航空会社」ともいえるスカイマークも含めた4社が、日本の空で激安競争を繰り広げています。

就航に先立ち、各社はキャンペーン運賃を次々と繰り出しました。ピーチ航空は250円、ジェットスター・ジャパンが1円、エアアジア・ジャパンが5円のチケットを販売しました。その後も、何かにつけて格安キャンペーンを実施しています。

では、日本の空はそんなに安くなったのでしょうか。

一例として、競争の激しい成田~札幌線の8月第1週の運賃を見てみますと、ジェットスター・ジャパンが16990円、エアアジア・ジャパンが13080円からです。いっぽう、スカイマークは12800円からの席がまだあります。こうしてみると、新規参入のLCCが必ずしも最安値というわけではありません。なお、ジェットスター・ジャパンは「最低価格保証」をしていますが、実際の手続きは「有料」のコールセンターに電話をする必要があり、購入するより面倒で実効性はよくわかりません。そのため、最低価格保証は、この際考慮しません。

続いて9月第2週の運賃を見ると、ジェットスター・ジャパンは4490円~、エアアジア・ジャパンは4580円~とかなり安くなります。ただ、この4000円台の運賃、利用できるのは平日の午前6時台か7時台の早朝便が多く、都内からのアクセスには難があります。利用しやすい時間帯の便ですと値段は倍以上しますが、それでも全便が1万円を切る日も少なくありません。週末に関しては、最安値で7990円(ジェットスター)、6880円(エアアジア)となり、時間帯の良い便は1万円を超えてきます。いっぽう、スカイマークは、9月の成田発は1万円均一の普通運賃を設定しています。

JAL、ANAといったレガシーキャリアの場合、9月便は早期割引運賃で1万6000円~1万8000円が主体です。間近に購入できる運賃ですと2万5000円程度。LCCはやはり格安といえます。

とはいえ、LCC各社が順調かといえばそうでもなさそう。空席状況を見るに付け、平日は集客に苦労している様子です。とくに、成田を午前6時台、7時台に出る便は、都内からの足が悪いので、旅客は少なそう。これは関空をベースにしているピーチ航空でも同様で、関西を6時40分に出発する長崎便は搭乗率が悪いようです。

こうした「使いにくい便」は、頻繁にキャンペーン運賃の対象になります。ジェットスター・ジャパンは、7月3日の就航にあわせて「半額キャンペーン」を打ちましたが、実際に検索してみると、対象になっているのはほとんどが早朝便でした。旅客の少ない便を逆手にとって「格安運賃の宣伝ツール」に利用しているようにもみえます。このあたりは商売上手といえそうです。

ただ、利用者の立場ですと、こうした「宣伝文句」に惑わされないことが大事でしょう。8月の運賃を見ればわかりますが、必ずしもLCCが安いとは限りません。

空港の立地もよく考慮しましょう。ジェットスター・ジャパンもエアアジア・ジャパンも東京の拠点は成田。スカイマークも格安便の設定をしているのは成田が主体です。羽田に比べて立地の不便さは否めませんし、空港までの交通費もそのぶんかかります。航空券を買うときは、利便性と価格とすべてを考慮してから購入した方がよさそうです。

広告
前の記事東京駅から成田空港への格安バスが登場。その名も「東京シャトル」は中途半端な値段設定でやや残念。
次の記事成田空港のLCC早朝深夜便向けに、京成電鉄が8月限定でアクセス特急の臨時運転。桜木町~大宮が当夜着可能に。