京都市バスのダイヤ改正は「景気がいい」。東山エリアで大増便!

他エリアがうらやむ増量ダイヤ

京都市バスが、2018年3月17日にダイヤ改正を実施します。バスを10台増備して臨む新ダイヤで、観光客の増加などに対応し東山エリアや金閣寺方面の路線で増便。京都駅から京都大学への快速バスも新設し、景気のいいダイヤ改正となるようです。

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5年で利用者15%増

京都市バスでは、近年のインバウンドの影響などで、利用者が急増しています。2011年度に1日あたり31万4000人だった乗客は、2016年度に36万3000人となり、5年間で15%増を記録しました。これだけの勢いで利用者が増えている公営バス事業者は、近年の日本では珍しいのではないでしょうか。

利用者の急増に対応し、市バスも車両を増備。2011年度に764台だった車両を、今回のダイヤ改正で818台にまで増やしました。今回は10台の増備になります。

増やした車両を使っての新ダイヤは意欲的。2018年3月17日ダイヤ改正の内容は多岐にわたりますが、旅行者に関係の深い部分を中心にご紹介します。

京都市バス2018年ダイヤ改正
画像:京都市バス

100系統が大増便

大きく増便されるのは、100系統「洛バス」。京都駅から五条坂(清水寺)、祇園、岡崎公園を経て銀閣寺前までを結ぶ急行路線で、東山エリアを縦走します。観光客が集中する系統としても知られていて、近年は混雑が問題になっていました。

そのため、新ダイヤでは1日16便増やし、日中10分間隔が、7~8分間隔となります。

この路線は、循環206系統と京都駅~東山三条間で経路が重なります。そのため、両系統が交互に発着するようダイヤを調整し、京都駅から約4分間隔で、五条坂、祇園方面へのバスが出ることになります。

ちなみに、増便される100系統の営業係数は51で、京都市バス全路線で最高の高収益路線です。

100系統
画像:京都市バス

四条から清水寺方面へのアクセス強化

86系統と「楽洛東山ライン」は、これまで三条京阪、四条京阪発着だったのを、四条河原町まで路線延長します。これにより、四条界隈から清水寺方面へのアクセスが便利になります。

四条河原町から清水寺方面へは207号系統もありますが、観光客で混雑しています。86系統・楽洛東山ラインが河原町まで進出することで、207系統の混雑も緩和されそうです。86系統・楽洛東山ラインは、土休日に1日33便程度(15~30分間隔)運転されます。

86系統
画像:京都市バス

202系統八条口乗り入れ拡大

東山エリア方面の強化としては、202系統の京都駅八条口乗り入れの拡大もあります。202系統は環状系統で、本来、京都駅には立ち寄りません。それを、東山通から京都駅に向かう乗客が集中する夕方時間帯のみ、京都駅八条口経由便を増やします。祇園を土曜17時台に出る便のうち、2便を新たに八条口経由とします。

202系統
画像:京都市バス
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嵐山、金閣寺方面も改善

観光客に人気のある嵐山方面へは、京都駅から市バスと京都バスがそれぞれ運行していますが、この2社局の停留所を統合。同じ発着所から、両社局のバスが交互発着します。これにより、市バス+京都バスが10分間隔で乗れるようになります。

金閣寺方面へは、京都駅~東本願寺~二条城~金閣寺道を結ぶ「二条城・金閣寺Express」を1日8便から13便(金閣寺方面)に、1日10便を16便(京都駅方面)に大増強します。この路線は、2017年3月改正で通年運行が始まったばかりですが、人気が高いようです。

金閣寺EXPRESS
画像:京都市バス

「京大快速」も新設

今回のダイヤ改正のもう一つのポイントは、大学への通学輸送の充実。目玉は、京都駅と京都大学を結ぶ「京大快速」の新設です。京都駅前~四条烏丸~烏丸御池~京都市役所前~京大病院前~京大正門前を結びます。京大病院前のバス停は新設です。

「京大快速」は、JR、地下鉄、阪急のターミナル駅を経由し、途中停留所数も少ないため、京都大学へ通学する学生や、京大病院へ通院する患者の利便性が向上しそう。運行回数は、京大方面が1日20便、京都駅方面が1日16便です。

京大快速
画像:京都市バス

他大学のアクセス路線も増強。快速205系統では、立命館大学衣笠キャンパス内からの出発便を増やします。北3号系統(北大路~京都産大前)も増便し、6号系統(四条大宮~二条駅前~佛教大学前~玄琢)の京都駅までの延長運行も強化されます。

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終バスの繰り下げも実施

地域路線の増強も行われます。柊野方面への特37系統では1日4便の増便。七本松通りを走る52系統(立命館大学前~四条烏丸)の試験運行といった新たな路線の展開もあります。

朝ラッシュ時では、最大輸送人員を誇る205系統(環状)が、西大路通りで増便。また、四条界隈からの最終バスが速い路線を中心に、終バス時刻の繰り下げも実施されます。

今回のダイヤ改正で、京都市バスの運行距離は1日あたり87,300kmに達します。現ダイヤ比800km(0.9%)増で、車両数増にほぼ比例する運転本数増となりました。

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モビリティ・マネジメントの成果も

全国的に路線バスの利用者数が減少しているなか、京都市バスは別格ともいえる利用者増が続いています。インバウンド観光客の増加の恩恵を受けていることは間違いありませんが、定期利用者の増加も要因の一つです。

実際のところ、京都市バスでは、定期利用者の増加率が高く、2009年度に1日6万8000人だった定期利用者は、2016年度に8万7000人と26.3%も増加しています。定期外利用者の増加率19.8%(20万3000人)を上回り、とくに通勤定期は31.0%増と、顕著な増加を見せています。

背景として、京都市が自治体としてモビリティ・マネジメント(過度なクルマ利用から公共交通とクルマを適度に使い分ける交通行動の変革を促す施策)に取り組んでいることが挙げられます。地道な政策の結果が出ている側面もあるわけです。

インバウンドの恩恵にくわえ、モビリティ・マネジメントの成果が出て、京都の市バスの景気のいいダイヤは、しばらく続きそうです。(鎌倉淳)

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