富山県は、2024年に予定している黒部ルート(欅平~黒部ダム間)の一般開放・旅行商品化に向け、ルートの名称を募集します。どんな名称がふさわしいか、考えてみましょう。
黒部ルート一般開放
欅平~黒部ダム間は、黒部川第四発電所の建設などに伴い整備された約18kmの工事用ルートで、通称「黒部ルート」と呼ばれてきました。現在も発電所の保守や工事に使われており、関係者以外は、原則として立ち入ることができません。
蓄電池機関車やインクラインといった、珍しい乗り物が使われているのが大きな特徴です。富山県と関西電力は、現在、限定された形での一般見学会を行っていて、こうした乗り物に乗り、地底に作られた発電施設や、高熱隧道などを見学できます。
富山県などは、これを2024年に一般開放・旅行商品化する準備を進めています。実現すれば、黒部峡谷と立山黒部アルペンルートを結ぶ新観光ルートとなります。開通を前に、富山県は、この区間の観光用の名称を募集すると発表しました。
2つの名称案
名称案はすでに2案用意されています。
一つは「宇奈月黒部キャニオンルート」。立山黒部アルペンルートと対比した名称で、アルペン(山岳)に対してキャニオン(峡谷)と名付けます。宇奈月を拠点として黒部ダムに至る電源開発のルートであることから「宇奈月→黒部」の順に記載します。
もう一つは「黒部宇奈月ヒストリアルート」。こちらも立山黒部アルペンルートと対比した名称ですが、「ヒストリア」(史書)を入れることで、電源開発の歴史を表現しています。こちらは、認知度向上の観点から、全国的に知名度の高い「黒部」を先に表記しました。
これ以外にも、自由記述での案も募集します。
誰でも応募可能
応募資格はなく、誰でも応募可能ですが、応募できるのは1人1点のみ。締め切りは2021年10月31日で、インターネットまたは郵便、ファクスで応募できます。
賞品も用意されています。名称が採用された人から、3組に新ルートの無料招待券(副賞:旅行券10万円分)、全応募者から抽選で、富山県産品を選べる「トヤマカード」(5,000円相当)と「黒部宇奈月カレーセット」がそれぞれ10名に当たります。
筆者が考えてみると
筆者の個人的な感想では、候補として用意された2案のなかでは、「宇奈月黒部キャニオンルート」がよさそう。「黒部宇奈月ヒストリアルート」よりしっくりします。
そのほか、例によって筆者が名称を勝手に考えてみましょう。
まず、地底を通り抜けることに注目をするなら「宇奈月黒部アンダーグラウンド」「黒部トンネルツアー」「黒部サブウェイ」あたりはいかがでしょうか。
黒部川に沿って進むことに注目すれば「黒部川ルート」もよさそう。有名な登山ルート「下の廊下」にあやかるなら、「黒部峡谷コリドーライン」はいかがでしょうか。発電施設に注目するなら「黒部宇奈月パワールート」も…、いまひとつですね。
歴史的な価値に注目するなら「黒部クラシックルート」もあり得るかも。地下と組み合わせて「黒部クラシックサブウェイ」なら雰囲気が出ます。
新ルートの一部は、黒部峡谷鉄道の「上部軌道」と呼ばれる部分です。これを活かして「黒部峡谷上部ルート」なら、位置関係がわかりやすそう。英語にアレンジして「黒部峡谷スーパールート」にすれば、外国人観光客受けするかもしれません。
勝手に本命予想
ということで、筆者が勝手に本命から大穴まで予想すると、以下のようになります。
本命 宇奈月黒部キャニオンルート
対抗 黒部宇奈月ヒストリアルート
穴馬 黒部峡谷スーパールート(筆者案)
大穴 黒部クラシックサブウェイ(筆者案)
公式2案に敬意を表して「本命」「対抗」とし、「穴馬」「大穴」に筆者案を加えておきました。なお、筆者の予想はたいてい外れます。
黒部ルートは、ほとんどがトンネルで、景観的な面白さは、正直いってあまりありません。見学できる場所があるとしても発電所くらいです。そのため、大景観を想像させる名称はどうかな、という気がします。
筆者の個人的な感想をいえば、黒部ルートの面白さは「峡谷」にはなく、「地底」にあります。昔の人が苦労して堀った山奥のトンネルを、さまざまな乗りもので突き進んで行くことが興味深いのです。一言でいえば、地底のロマンです。
そう考えると、地形や歴史に注目するよりも、誰もがはっとするような、全く新しい名称のほうがふさわしい気もします。みなさんのご応募を楽しみにしております。(鎌倉淳)
黒部ルート一般開放とは
黒部ルートの「一般開放」に関する記事はこちらをご覧ください。
→黒部ルートは「一般開放」でどう変わるか。「気軽に行ける場所」にはならないが
黒部ルートを旅行商品化という形で一般開放するもので、誰もがふらりと行ける開放とは異なります。