黒部峡谷鉄道の未公開区間「上部軌道」に乗れる! 「黒部ルート見学会」は2014年が最後の低倍率か?

黒部峡谷鉄道といえば、富山県の宇奈月~欅平間を運行する日本を代表する山岳鉄道です。その終点の欅平から、さらに線路が伸びていることをご存知の方は多いでしょう。これを「上部軌道」といいます。欅平から上流の黒部ダムに至る輸送設備で、関西電力が発電施設の保守・管理用として使用している未公開区間です。欅平から黒部ダムに至る経路全体を「黒部ルート」といいます。

黒部ルートは、5つの輸送機関で成り立っています。工事用トロッコ列車、竪坑エレベーター、バッテリートロッコ列車、インクライン、黒部トンネル内専用バスです。これらを乗り継げば、欅平から黒部ダムへ到達することができます。総延長は約18kmです。

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1996年から限定公開

この黒部ルートはかつては完全非公開でしたが、1996年から「黒部ルート見学会」という形で公募による限定公開をしています。2014年度は、6月11日から11月4日までの約5か月間に計34回の見学会が設定され、参加者の募集がすでに開始されています。上りにあたる「欅平出発コース」と、下りにあたる「黒部ダム出発コース」がそれぞれ設定され、各回の定員は30人。つまり、2040人が総定員です。参加するにははがきで応募し、抽選に当たらなけれなりません。

黒部ルート

受け付け締め切りは実施日の約6週間前で、一部日程ではすでに締め切られています。応募が締め切られた6月11日~23日の計5回の応募の平均倍率をみると、「欅平出発コース」が3.54倍、「黒部ダム出発コース」が2.64倍です。昨年の最初の5回は欅平出発が2.78倍、黒部ダム出発3.22倍ですから、今年は欅平出発の倍率が高く、黒部ダム出発の倍率が低くなりました。

ちなみに、昨年1年間を通じての平均倍率は欅平出発が4.3倍、黒部ダム出発が4.0倍で、両者に大きな差はありません。もっとも、以前から黒部ルートは欅平から登りつめていく「上り」のほうが人気が高く、昨年がやや珍しい数字だったといえます。今年は「欅平出発」の人気が復活したようなので、とにかく一度は乗りたい!という人は、「黒部ダム出発」に申し込んだほうが当たる確率は高そうです。

2015年は「北陸新幹線開業人気」で倍率が上がる?

見学コースは、「欅平出発コース」の場合、欅平駅9:20集合→黒部川第四発電所→黒部ダム12:40頃到着・解散です。「黒部ダム出発コース」は、黒部ダム10:45集合→黒部川第四発電所→欅平駅14:10頃到着・解散です。欅平出発コースを紹介しますと、黒部峡谷鉄道・欅平駅から工事用トロッコ列車で500m進み、竪坑エレベーターで200m上昇。続いてバッテリートロッコ列車(6.5km)に乗り、志合谷、折尾谷、阿曽原、仙人谷を通過し、黒部川第四発電所に至ります。ここで発電所内部を見学し、インクライン(地下式ケーブルカー:815m)、黒部トンネル内専用バス(10.2km)を乗り継いで黒部ダムへ到着します。

黒部ダム出発コースはこの逆順で、いずれのコースも所要時間は約3時間30分です。

欅平出発コースは黒部峡谷鉄道の終点・欅平駅の2階食堂に9時20分集合です。欅平に宿はありません。宇奈月温泉に泊まった場合、宇奈月駅から欅平駅までは黒部峡谷鉄道で1時間20分かかるため、宇奈月駅を7 時台の列車に乗る必要があります。富山に泊まった場合、始発の富山地方鉄道に乗ればなんとか間に合います。

黒部ダム出発コースはトロリーバスの黒部ダム駅駅長室前に10時45分集合です。この場合、富山を7時ごろの電車に乗れば間に合います。いずれにしろ、東京や大阪から日帰りで訪れることはできず、富山県内か信濃大町周辺に泊まる必要があります。

北陸新幹線開業前の「黒部ルート見学会」は今年が最後です。2015年は「北陸新幹線開業人気」で、黒部ルート見学会の倍率も上がることが予想されます。現在の3~4倍程度の倍率の場合、はがきを何度か出していれば当選は難しくありません。しかし、これが5倍、10倍となると当たりにくくなります。

北陸新幹線開業前の2014年は、いわば低倍率の「最後の大チャンス」。まだ乗っていない人は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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