神戸・王子公園はこう変わる! 動物園をリニューアル、遊園地は廃止へ

アメフトの聖地も

神戸市の王子公園の再整備方針が明らかになりました。王子動物園をリニューアルし、遊園地は廃止。アメリカンフットボールに適した球技場を作り、大学を誘致します。

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動物園とスポーツ施設

王子公園は神戸市灘区にある市営公園で、中心市街地三宮から約3km、阪急電鉄王子公園駅前という好立地にあります。総面積は19.4ha(19万4000平米)で、上野恩賜公園(53.8ha)の4割弱です。

戦前には松蔭女子学院や神戸高等商業学校(現:神戸大学)などがありましたが、いずれも六甲台近辺に移転。跡地は戦後、王子公園となりました。1950年に神戸博を開催後、諏訪山動物園を継承する形で王子動物園が開園。1956年の国体開催にあわせてスポーツ施設が整備されました。

この結果、現在の王子動物園には、主に神戸市立王子動物園と同スポーツセンターの施設が立地しています。しかし、開園から70年を経て、全体が老朽化していることから、神戸市は再整備をする方針を示していました。

その再整備方針の内容が、このほど明らかになりました。「王子公園再整備基本方針(素案)」から、王子公園がどのような形に変わるのか見てみましょう。

王子公園の現況

まずは、王子公園の現況です。公園中央に王子動物園(8.1ha)が広がり、周囲にスポーツ施設が点在しています。大きなスポーツ施設は王子スタジアム(2.6ha)、テニスコート(1.1ha)、体育館(1.0ha)、プール(1.0ha)などです。

王子公園の現況
画像:神戸市「王子公園再整備基本方針(素案)」より

施設の現状の課題としては、老朽化のほか、公園内にベンチや健康遊具などが不足していてくつろげる空間が少ないこと、動物園の展示方法が陳腐化していることなどがあげられています。

また、王子公園は阪急王子公園駅前という優れた立地ですが、駅に近いオープンスペースの大部分が駐車場で占められていて、立地特性を活かせていません。陸上トラックは日本陸上競技連盟の公認を除外されていますし、プールは屋外施設なので利用期間が限られ、スペースを有効活用しているといえません。

再整備方針案では、こうした課題への対処として、王子動物園のリニューアルやスポーツ施設の再編・機能強化を図り、駅前の立地特性を活かしながら集客力や魅力を高めるとしています。

また、新たに大学を誘致することで、阪神間を代表する学術・文化の拠点を形成することを目指し、周辺一帯の活性化とブランド力の向上も推進していくということです。

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再整備の具体的内容

方針案では、再整備コンセプトとして、「グローバル貢献都市を先導する学術・文化・スポーツ拠点の形成」を掲げました。

具体的には、王子動物園を、交通至便な立地特性を活かした「都市型動物園」へリニューアルします。動物園の面積は約7haとなり、現状よりやや狭くなりますが、飼育エリアは現状と同規模を維持します。

動物園の奥をスポーツゾーンとして、新スタジアムなどを整備します。新スタジアムは「関西アメリカンフットボールの聖地」と位置づけます。スポーツゾーンの面積は全体で5haとなり、現状よりだいぶ狭くなります。

動物園と王子公園駅との間はエントランスゾーン(1ha)とします。芝生広場などを設けて、居心地が良くくつろげる空間を整えます。

王子公園駅の正面は大学ゾーンとし、「神戸の国際性や多様性を高める特色のある大学」を誘致します。大学ゾーンの面積は4haで、神戸大学楠キャンパス(4.8ha)よりやや狭い程度。早稲田大学戸山キャンパス(3.2ha)よりやや広い程度です。

そのほか、防災面の機能強化として、新スタジアムやエントランスゾーンなどを災害時の物資の集積や救援活動などの拠点として活用します。公園中心部には、1haの立体駐車場を設けます。

王子動物園再整備
画像:神戸市「王子公園再整備基本方針(素案)」より

廃止する施設

再整備後に存続する施設は、体育館、弓道場、神戸登山研修所、相撲場、旧ハンター住宅、神戸文学館、原田児童館です。

廃止する施設は、プール、テニスコート、補助競技場、陸上トラック(現スタジアム内)、わんぱく広場、遊園地(現動物園内)です。

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動物園はどう変わるか

以上が王子公園の再整備基本方針(素案)の概要です。注目点は立場により異なると思いますが、当サイトは旅行サイトなので旅行者の視点でみると、動物園のリニューアルが気になります。

基本方針で掲げる「都市型動物園」としての再整備が、どのような内容を指すのかはよくわかりません。ただ、課題として「動物園の展示方法の陳腐化」を挙げていることから、行動展示や生態的展示を取り入れていくのでしょう。

近隣の事例として、大阪・天王寺動物園のリニューアルを参考にしていると想像されます。天王寺動物園のリニューアルでは、飼育種数を絞る一方で、それぞれの種に豊かな飼育環境を整備し、動物の行動展示や生態的展示に力を入れました。行動展示と生態的展示は近年の日本の動物園の流れでもあり、王子動物園のリニューアルの主軸になりそうです。

動物園内の遊園地の廃止も気になるところです。低価格で楽しめる公営遊園地とあって、子育て世代には支持されている施設なだけに、廃止には反対の声も上がっています。

関西アメフトの聖地

新スタジアムを「関西アメリカンフットボールの聖地」と定義づけたのもポイントでしょうか。

現状の王子公園には関西学生アメリカンフットボールリーグ連盟のオフィスもあり、王子スタジアムは関西アメフトのメインスタジアムです。そうしたこともあって、「アメフトの聖地」と位置づけたのでしょう。

スタジアム内の陸上トラックについて撤去方針を示したこととあわせて、新スタジアムの性格を特徴づけそうです。

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どんな大学が来る?

大学誘致に関しては当サイトの守備範囲外ですが、再整備の最大の注目点といえるかもしれません。神戸市中心部に若者を呼び込み活性化させるための施策で、王子公園駅の真正面という一等地だけに、興味を示す大学は多そうです。

面積からみて、設置できる学部は1つか2つくらいでしょう。「国際性や多様性を高める」大学を求めているので、有力私立大学の国際系の学部が移転してくるのでしょうか。「アメフトの聖地」とあわせると、関西学院大学が名乗りをあげると面白そうですが、もちろん筆者の妄想に過ぎません。

神戸市では、2022年度以降に、王子動物園や新スタジアム、エントランスの基本計画をまとめるとともに、キャンパス開設を希望する大学を公募します。

異論も

新たな王子公園は、敷地の2割を大学用地に供する一方で、スポーツ施設と低年齢向け施設を縮小する形になります。今後、市民からの意見を公募しますが、遊園地や市民プールに親しみのある世代などから異論も出そうです。

70年来のリニューアルですし、これまで以上に市民に親しまれる施設になることを期待したいところです。(鎌倉淳)

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