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木次線、輸送密度23の衝撃。「奥出雲おろち号」終了で利用者激減

再構築協議の水準に

JR木次線の2024年度の輸送密度が「23」と公表されました。前年度の「72」から3分の1に激減しています。「奥出雲おろち」号の運行終了の影響ですが、地元住民がほとんど利用していないことが、改めて浮き彫りになりました。

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2024年度の輸送密度を公表

JR西日本は、自社管内の各路線について、2024年度の輸送密度(1日1kmあたり利用者数)を公表しました。

2023年度から大きく数値を減らしたのが木次線で、宍道~出雲横田間が212、出雲横田~備後落合間が23となりました。2023年度はそれぞれ255、72でしたので、43~49人の利用者減少となっています。

とくに、出雲横田~備後落合間は、割合で言えば68%の大幅減少です。前年度に比べ利用者が3分の1になってしまいました。

奥出雲おろち号

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「奥出雲おろち号」の廃止で

減少の理由は、観光列車「奥出雲おろち号」の廃止です。「奥出雲おろち号」は、木次~備後落合間の木次線全線を走る観光列車ですが、車両の老朽化により、2023年11月23日を以て運行を終了しています。

代替として観光列車「あめつち」が、2024年4月から木次線に乗り入れていますが、運行区間は出雲横田までで、運行日数も限られています。

こうした事情により、1日平均で40~50人程度の利用者が減少し、とくに出雲横田~備後落合間の利用者減が激しくなったようです。

「23」という輸送密度は、日常的に利用する地元住民がほとんどいないことを示しています。鉄道ファンには人気のある路線ですが、訪問するのにも不便な区間なので、観光列車がなくなると、利用は限られるということでしょう。

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再構築協議の水準に

備後落合周辺では、芸備線の利用者数も少なく、2024年度の輸送密度は、備中神代~東城間が81、東城~備後落合間が19、備後落合~備後庄原間が76となっています。芸備線は備中神代~備後庄原間で、再構築協議会で「あり方」が議論されています。

木次線出雲横田~備後落合間の23という数字は、これらの区間に匹敵する少なさです。この水準の輸送密度が続くのであれば、今後、協議の対象になってもおかしくはありません。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。