JR北海道「キハ40」の更新を先送り。ローカル線の車両は変わらず

発注資金の裏付けがなく

JR北海道の国鉄型気動車「キハ40形」の更新が先送りされるようです。国の支援が2年間で400億円にとどまり、資金の裏付けが得られなかったため。北海道のローカル線では、キハ40形での旅がしばらく続きそうです。

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経年35年以上

JR北海道のローカル線輸送を担う一般気動車は、現在205両。このうち、経年31年以上のものが166両を占めます。経年35年以上の多くがキハ40形で、一部がキハ143形。経年31年がキハ54形です。

下表は、JR北海道が2017年に公表した気動車の車齢表。2017年3月末現在のもので、これに車齢を1年足せば、2018年3月末現在の車齢になります。

JR北海道一般気動車の車齢
画像:JR北海道

表を見ても分かるとおり、JR北海道のローカル線輸送は、いまだにキハ40形が主力です。同社では「老朽・劣化が著しく車両の故障・使用不能などが頻発し増加傾向」にあるとし、2016年3月26日には、使用に耐えない車両を廃車し、普通列車79本の減便をおこないました。

キハ40

資金の裏付けがない

JR北海道では、キハ40形の後継車両として、電気式気動車H100形「DECMO」を開発しています。JR東日本のGV-E400系を基本仕様とし、酷寒地対策等を施した車両です。試作車(量産先行車)2両が2018年2月に完成し、道内で確認試験が始まっています。

北海道新聞2018年8月4日付によりますと、H100形について、JR北海道では2019年度以降、数年かけて70両ほどの更新を計画していました。しかし、2018年7月27日に国が発表したJR北海道への支援内容は、今後2年間で400億円。JR北海道が求めていた2030年度までの支援は認められませんでした。

道新によりますと、車両の更新は発注から納入まで通常3年かかり、「今回の国の2年間の支援では、3年後の納入時に支払う購入資金の裏付けがなく、メーカーへの発注ができない」ため、「一般気動車の更新を当面見送る方針を固めた」ということです。

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早くて2024年度?

国の支援以外に資金手当がなされない場合、H100形の本格発注は、国の次の支援の枠組みで定められる2021年度以降になりそうです。となると、本格導入は早くても2024年度。つまり、それまでは北海道のローカル線の旅の主役は、いまと変わらずキハ40形ということになります。

旅行者のなかには、いまや貴重な国鉄形車両の代表格ともいえるキハ40形に、しばらく乗れそうなことを歓迎する人もいるでしょう。しかし、地元の利用者は新型車両を待ち望んでいるでしょうし、JR北海道としても、メンテナンスや燃費に優れる新型車両を入れたいところでしょう。

何よりも心配なのは、キハ40形の老朽化です。安全面の懸念から走行不能の車両が増えれば、さらなる普通列車の減便もありえます。

国の支援枠組みが2年しか決まらなかったことで、「単独では維持困難」とされる8線区の存廃の決定も、事実上先送りになりました。車両製造も、維持路線決定も先送りで、北海道の旅の先行きの心配のタネは尽きません。(鎌倉淳)

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