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JR北海道2017年度の輸送密度と収支状況。富良野線が大きく改善

花咲線、釧網線は利用者減少

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JR北海道が2017年度の区間別輸送密度と収支状況を発表しました。フリーパスの計上方法の見直しになどにより、富良野線など外国人観光客の多い路線の数字が改善しています。

全区間が営業赤字

JR北海道は経営危機が表面化した2014年度から、区間別輸送密度や収支状況を公表しています。2017年度分は、2018年11月9日に公表されました。新幹線を含めたJR北海道の全路線を27区間に分けたものです。

道内27線区の全区間が営業赤字で、約半数の13線区で赤字幅が拡大しています。全線区が営業赤字となるのは、線区別収支の公表を始めた2014年度から4年連続です。

まずは、その数字を輸送密度順にランキングしてみましょう。黒字路線が一つもないので、営業損益は「営業損失」としてマイナス表記を省略しました。( )内は前年度です。

JR北海道輸送密度ランキング2017年度版
路線名 区間 輸送密度 営業損失
札沼線 医療大学~新十津川 57(66) 314(367)
石勝線 新夕張~夕張 69(83) 207(166)
根室線 富良野~新得 92(106) 705(888)
日高線 鵡川~様似 119(125) 760(886)
留萌線 深川~留萌 157(228) 732(671)
根室線 釧路~根室 264(435) 1,110(1,038)
宗谷線 名寄~稚内 352(362) 2,733(2,672)
釧網線 東釧路~網走 374(432) 1,497(1,497)
根室線 滝川~富良野 428(384) 1,270(1,275)
室蘭線 沼ノ端~岩見沢 439(484) 1,233(1,267)
日高線 苫小牧~鵡川 449(463) 426(440)
函館線 長万部~小樽 652(646) 2,420(2,324)
石北線 上川~網走 821(880) 3,261(3,039)
石北線 新旭川~上川 1,188(1,229) 982(861)
宗谷線 旭川~名寄 1,452(1,477) 2,831(2,204)
根室線 帯広~釧路 1,587(1,728) 4,242(3,869)
富良野線 富良野~旭川 1,597(1,487) 998(1,018)
石勝・根室線 南千歳~帯広 3,567(3,204) 3,310(3,407)
函館線 函館~長万部 3,712(4,134) 6,217(5,586)
北海道新幹線 新青森~新函館北斗 4,510(5,638) 9,877(5,406)
室蘭線 長万部~東室蘭 4,858(5,279) 1,599(1,315)
室蘭線 室蘭~苫小牧 6,850(7,067) 2,371(2,830)
函館線 岩見沢~旭川 8,660(8,912) 3,547(3,960)
札沼線 桑園~医療大学 17,862(17,643) 2,492(5,467)
函館線 札幌~岩見沢 43,575(43,464)
千歳・室蘭線 白石~苫小牧 46,076(44,852)
函館線 小樽~札幌 46,793(46,060)
全線 5,122(5,201) 55,134(52,576)
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石勝・根室線の利用者が戻る

全線区平均の輸送密度は5,122。赤字総額は約551億円です。前年度に比べて約25億円膨らみました。全体的に、輸送密度は低くなり、赤字は増えています。

数値の改善が目立ったのは、石勝・根室線南千歳~帯広間。輸送密度3,567と、前年度3,204に比べて約1割の伸びです。2016年夏の台風災害で長期間運休した列車の運転が再開したことなどにより、利用者が戻ってきました。

札幌圏は、営業損失が前年度に比べて半分以下に減っています。札幌と新千歳空港を結ぶ「快速エアポート」が利用好調だったほか、733形電車の減価償却費が減ったことによるものです。

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フリーパスの計上方法を見直し

今期から、外国人向けの「北海道レールパス」や大人の休日倶楽部会員向けの「大人の休日倶楽部パス」の収入の計上方法が変更されました。

これまではJRが想定していたモデルルートを利用したと仮定して線区別の収入に計上していましたが、今回、利用状況を調査し、各線区への計上方法を見直しました。これらフリーパスの発売数が増加し、収入に与える影響が大きくなってきたためです。

富良野線が伸びる

北海道新聞2018年11月10日付によりますと、利用状況調査により、「札幌、小樽、富良野など道央圏での利用が多く、道東方面の利用が少ないことが判明した」とのこと。

これらを反映した結果、札幌圏の輸送密度が底上げされたほか、富良野線の輸送密度が前年度「1,487」から「1,597」に、根室線滝川~富良野間が同「384」から「428」に改善しました。

結果として、富良野線の輸送密度は、根室線帯広~釧路間「1,587」を上回りました。富良野線の輸送密度はJR北海道全体でも中位以上に位置しており、赤字額も10億円以下です。

特急が主力の路線と、普通列車しか走らない富良野線を同列には比較できないものの、存続には追い風でしょう。

沿線にニセコを抱える函館線長万部~小樽間も「646」から「652」に微増。ここにもインバウンドの影響を感じます。ただし、この区間は、北海道新幹線開業後は、第三セクターに移管されることが決まっています。

富良野線ノロッコ号
画像:JR北海道ウェブサイト

花咲線、釧網線は悪化

一方、根室線釧路~根室間(花咲線)の輸送密度は前年度「435」が「264」に、釧網線東釧路~網走間は同「432」が「374」と落ち込みました。このエリアは新千歳空港から離れていますし、鉄道で観光地めぐりをするには不便なので、フリーパスの所持者がJRの想定していたモデルルート通りには利用していなかったのでしょう。

それにしても、フリーきっぷの計上方法を見直すことで、これだけ大きな数字の変動があるというのも驚かされます。

ちなみに、廃止が決まっている石勝線夕張支線の輸送密度は、前年度の「83」から「69」に減少。札沼線医療大学~新十津川間も「66」から「57」に減少しました。廃線ブームによる利用者増が反映されるのは、2018年度の数字になるのかもしれません。

留萌線の深川~留萌間も前年度「228」から「157」に大きく数字を落としました。留萌線に関しては、国土交通省が2018年7月に明らかにした支援対象からも漏れており、危機はより深まっていると感じられます。

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北海道新幹線はローカル線並み

北海道新幹線は約44億円の営業赤字を計上しています。輸送密度も「4,510」で、開業前の津軽海峡線「3,706」(2015年度)に近づいてきてしまいました。

北海道新幹線は札幌開業で真価が発揮されるので、現段階での評価にあまり意味はないと思います。とはいえ、新幹線の輸送密度がローカル線並みというのは気になります。

在来線の赤字額が大きかったのは、函館線函館~長万部の約62億円。次いで、根室線帯広~釧路間の約42億円、函館線岩見沢~旭川の約35億円などとなっています。

今期から、新型特急車両の減価償却費についても、使用している線区にできる限り計上するように変更したという事情もあり、新型車両の特急が走るような、長距離列車の多い区間の赤字額が大きくなっています。

JR北海道は、2019年3月期業績予想を「過去最悪」と予測しています。JR北海道単体で520億円の営業赤字、連結で175億円の最終赤字の見通しです。個別線区の輸送密度や収支状況を見ても、全体を見ても、苦しい状況が続きそうです。(鎌倉淳)


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