JR北海道社長「廃止は頭に全くない」。宗谷線、石北線など8線区は維持へ

根室線、富良野線なども

JR北海道の綿貫泰之社長が、宗谷線、石北線などの、いわゆる「黄線区」について、「廃止は頭に全くない」と明言しました。額面通り受け止めれば、宗谷線、石北線など8線区は、今後も維持される見通しです。

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200人以上2,000人未満

JR北海道は、2016年に「当社単独では維持することが困難な線区について」公表しました。このなかで、当時の輸送密度200未満の線区を「赤」、200以上2,000人未満の線区を「黄」と色分け。赤線区については「バス等への転換について相談を開始」するとし、黄線区については「鉄道を維持する仕組みについて相談を開始」するとしました。

赤線区に色分けされた路線は、留萌線深川~留萌間を除き、バス転換で地元と合意しています。留萌線についても、石狩沼田~留萌間の廃止は事実上合意しており、深川~石狩沼田間の扱いについての協議が続いている状況です。

一方、黄線区については、具体的な「鉄道を維持する仕組み」の構築に至っておらず、アクションプランと呼ばれる改善策を実施している段階です。そのため、今後、廃止を視野に入れた議論が始まるのではないかと危惧する声も聞こえていました。

JR北海道黄線区、赤線区
JR北海道「単独で維持することが困難な線区について」(2016年11月)より

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骨格路線は維持

JR北海道が黄線区として色分けしたのは、宗谷線名寄~稚内間、石北線新旭川~網走間、富良野線旭川~富良野間、根室線滝川~富良野間、同釧路~根室間、釧網線釧路~網走間、室蘭線沼ノ端~岩見沢間、日高線苫小牧~鵡川間の8線区です。

これらの線区について、JR北海道の綿貫泰之社長は、日本経済新聞2022年7月20日付に掲載されたインタビューで、「黄線区の廃止は頭に全くない」と明言。存続を前提にして議論をする方向性を示しました。

社長発言を額面通り受け止めれば、稚内や根室に至る「骨格路線」は、今後も維持される見通しがはっきりと示されたことになります。

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協議入り視野に

ただ、輸送密度がきわめて低い路線を営利事業として維持することは不可能で、JR北海道による「単独維持」が困難な状況に変わりはありません。同社も「鉄道を維持する仕組みについて」相談するのを止めると言っているわけでもありません。

具体的には、JR北海道は、これらの線区を含めた上下分離を求めていて、国交省の「地域モビリティの刷新に関する検討会」の提言が近くまとまるのを受けて、新たな協議に入りたい意向のようです。

JR北海道として「廃止しない方針」を明確に掲げることで、今後、地元との協議入りをしやすくする狙いがあるのかもしれません。(鎌倉淳)

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