札幌圏の鉄道路線が黒字に。JR北海道が2019年上半期の利用状況を公表

ローカル線は横ばい

JR北海道の札幌圏の鉄道路線の収支が営業黒字となりました。同社の経営危機が明るみになってから、初めてです。

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札幌圏で売上高6%増

JR北海道は、2019年4~9月期の区間別収支・利用状況を公表しました。それによりますと、現在営業中の23区間のうち22区間が営業赤字でした。ただ、札幌圏だけは黒字で、4億6,100万円の利益を計上しました。前年同期は4億1,800万円の赤字だったので、差し引き8億円以上も収支が改善したことになります。

札幌圏を構成するのは、函館線・小樽~岩見沢間と、千歳線・白石~苫小牧間、札沼線・桑園~北海道医療大学間です。なかでも収支改善を引っ張ったのは千歳線でした。輸送密度が前年45,585人から49,110人と9%も増加。訪日外国人客が増えたおかげで「快速エアポート」が好調だったことが貢献しました。

4~5月のゴールデンウイーク10連休も追い風となりました。2018年9月の北海道胆振東部地震による落ち込みの反動増もプラスに作用しています。結果として、札幌圏の営業収益(売上高)は前年比6%増の214億円を記録しました。

快速エアポート

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廃止方針の区間

JR北海道が廃止方針を示している4線区は、ほぼ前年並みの成績でした。根室線・富良野~新得間の輸送密度は96で、前年から5ポイント下げて100を割り込みました。収支は3億5,800万円の赤字で前年から6,200万円の悪化。災害運休中の日高線・鵡川~様似間の輸送密度は132から118に下がっています。

一方、2020年5月に廃線予定の札沼線・北海道医療大学~新十津川間は、1億2,400万円の赤字ながら、前年比1,500万円の改善。輸送密度は64から73にアップしました。留萌線も輸送密度を154から160に上げ、収支を600万円ほど改善しています。

JR北海道2019年上半期利用状況
画像:JR北海道

維持困難路線

JR北海道が「単独で維持困難」とする8線区では、日高線・苫小牧~鵡川間が輸送密度を前年の509から614へ約20%も上げたのが目立ちます。地震の反動増があったのでしょうか。

宗谷線の名寄~稚内間は輸送密度が358と前年比4%増。釧網線の東釧路~網走間は456で約9%増でした。「風っこそうや」や「くしろ湿原ノロッコ号」といった観光列車を投入した効果はそれなりにあったといえそうです。

「維持困難8線区」合計では、収入が約13億9,900円と前年比4%増となりましたが、修繕費などの費用も増えて、営業損益は700万円悪化しています。

全体的に堅調

JR北海道全体としては、営業収益が約404億円で前年比5%増。営業赤字は約218億円で、前年の約226億円から約8億円圧縮しました。

営業損益(収支)は12区間で改善しました。輸送密度も5,454と前年より6%増えています。

JR北海道全体として、利用者が増えて売り上げが伸び、赤字が減っているわけで、2019年度上半期は好成績で終えられたといえます。とくに、JR北海道の屋台骨である札幌圏の黒字化は大きな意味があります。

この勢いが冬季も続き、札幌圏で年間黒字化が達成できるか注目が集まりそう。ただ、冬季は除雪費用がかさむ上に旅行者は減るので、ハードルは低くなさそうです。(鎌倉淳)

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