JR北海道が「電気式気動車」を投入することになりました。JR東日本が開発中の車両とほぼ同じものを、JR北海道にも導入する形になります。キハ40の置き換え用で、2019年度以降に量産を開始します。
「5年間の計画」に沿った内容
JR北海道は、2015年3月に、「安全投資と修繕に関する5年間の計画」を発表し、そのなかで、2017年度からのローカル線用新型気動車開発を盛り込みました。今回の新型気動車の開発発表は、そのロードマップに沿った内容です。
JR北海道の発表によりますと、この新型気動車は、主にローカル線で運行している経年32~37年のキハ40形の老朽取替用として新製されます。試作車(量産先行車)を製作し、走行試験等による二冬期の検証を行ったうえで、2019年度以降、量産車の製作を予定しています。
JR東日本車両と基本仕様は同じ
この新製車両は、 JR東日本が現在開発中の電気式気動車と基本仕様は同じだそうです。電気式気動車とは、ディーゼルエンジンで発電し、それによって得られた電力によりモーターで走行する車両です。
JR東日本は、この新型気動車を合計63両を新造し、2017-2019年度に新潟地区に投入し、次いで2020年度に秋田地区に投入します。JR北海道も、ほぼ同時期の2017年に試作車を投入し、2019年度から量産投入します。最終的な車両数は明らかにされていませんが、現行のキハ40は140両あるそうで、これよりは少なくなる見込みとのことです。北海道新聞によりますと、更新は約10年で終える計画とのことで、キハ40は2029年度頃には姿を消しそうです。
JR北海道の新型気動車は、前後に運転席を設けて1両で運転可能な車両とします。当然のことですが、ワンマン用設備が設けられます。冷房装置を設置し、車いすスペースや車いす対応トイレ等のバリアフリー設備も充実させるとのことです。
現時点でわかっている内容でJR東日本と違う点があるとすれば、2両編成が作られない、ということくらいでしょうか。今回は「JR東日本との共同開発」の形をとるようなので、耐寒仕様を別にすれば、ほぼ同じ車両になりそうです。
もう独自開発はしないのか?
新型気動車の投入は楽しみですが、JR北海道のローカル車両がJR東日本と同じようなものになってしまうことは、ちょっと残念です。JR北海道は、独自車両の新型特急気動車キハ285系の開発を2014年に中止し、北海道新幹線ではJR東日本のE5系をほぼそのまま流用してH5系としています。そしてローカル線でもJR東日本と共同開発したものを大量投入するわけです。JR北海道の車両が、どんどんJR東日本と同じものになっていきそうです。
現行のキハ40も国鉄時代の車両なので、JR東日本と同じといえば同じなのですが、分割民営化から30年経ってもJR東日本と同じ車両では少し寂しいです。現在のJR北海道に余力がないのは理解できますが、もう車両の新たな独自開発はしないのでしょうか?
旅行者の勝手な要望ですが、せめて内装くらいは、JR北海道の独自色をどんと出してほしいものです。