羽田空港アクセス線、列車本数「当初案の2倍超」の振り分けは? 

東山手ルートは毎時4往復

JR東日本が計画する羽田空港アクセス線の運転本数について、当初案の2倍以上になるとの見通しが報じられました。その場合、どのような運転計画になるのでしょうか。

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羽田空港から3路線

JR東日本の羽田空港アクセス線(仮称)は、東海道貨物線の一部を旅客化し、新線も建設することで、羽田空港と都心を結ぶ新路線です。

羽田空港の国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に「羽田空港新駅」(仮称)を設け、東京貨物ターミナルまで「アクセス新線」を建設。そこから田町駅への「東山手ルート」、大井町駅への「西山手ルート」、東京テレポート駅への「臨海部ルート」の3ルートを建設します。

JR羽田空港アクセス線概要図
画像:「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価調査計画書より

環境影響評価書では毎時8本

2019年5月に公表された東山手ルートの環境影響評価書によりますと、羽田空港アクセス線の運転本数は毎時8本、1日144本を予定しています。上下合わせた数字とみられますので、15分間隔での運転を想定していることになります。

これに関し、共同通信は2020年5月10日付で「JRが1時間当たり8本とする当初案の2倍超の本数を最終的に確保する見通しであることも判明した」と報じました。事実なら、毎時16本~20本程度の運転本数を想定していることになります。

毎時16本となると8往復、7.5分間隔です。毎時20本なら10往復、6分間隔となります。羽田空港アクセス線は3ルートありますので、毎時10往復程度の運転本数があってもおかしくありません。つまり、報道内容としては驚きはないのですが、どういった振り分けになるのかは気になります。これまでの発表内容や報道を基に考えてみましょう。

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乗り入れ可能性のある系統

まず、JR羽田空港アクセス線に乗り入れる可能性のある系統は、以下の通りです。

◇上野東京ライン=東京=羽田系統(東山手ルート)
◇湘南新宿ライン=新宿=羽田系統(西山手ルート)
◇埼京線=新宿=羽田系統(西山手ルート)
◇りんかい線=羽田系統(臨海部ルート)

単線区間がネック

当初開業する東山手ルートには、上野東京ラインの列車が乗り入れます。これを、環境影響評価書に書かれているとおり、片道毎時4往復、15分間隔と仮定しましょう。

東山手ルートに関しては、田町付近で単線区間があり、運行上のネックとなります。そのため毎時4往復程度が適度で、これより大幅に増やすのは難しそうです。

東山手ルートには、東北・上越線系統と常磐線系統がありますが、それぞれどの程度の運転割合になるかは発表されていません。

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西山手ルートは?

西山手ルートには、埼京線が乗り入れてくるとみられます。新宿方面への基幹ルートなるので、それなりの運転本数が必要です。となると、報道の「最終的に2倍超」というのは、西山手ルートにも東山手ルートと同等程度の本数を割り当てることを示唆しているのでしょう。つまり、東山手ルートと西山手ルートを、それぞれ毎時4往復、15分間隔で運転し、東京駅や新宿駅からの空港アクセス利便性を確保するとみられます。

西山手ルートの焦点は、中央線が乗り入れるか、という点でしょう。東京新聞2020年2月8日付は、「西山手ルートを、長野、山梨方面と結ぶ中央線に直通させる構想も新たに判明した」と報じており、JR内部では、特急「あずさ」「かいじ」の羽田空港乗り入れを検討しているようです。

中央線から埼京線に入る場合、新宿駅で平面交差が生じ、大きなネックとなります。実際、成田エクスプレスの中央線乗り入れも、早朝・深夜に限られています。羽田空港アクセス線と中央線の直通運転が実現するとしても、時間帯は限られるでしょう。それでも、特急「あずさ」「かいじ」が羽田空港アクセス線へ乗り入れれば、多摩地区や山梨県から羽田空港へのアクセスが劇的に改善します。

西山手ルートでは、湘南新宿ラインが羽田空港へ乗り入れることも可能です。ただ、りんかい線大井町駅のホーム長が15連に対応していないという制約があります。大宮方面へは東山手ルートの上野東京ラインがカバーしていることもあり、湘南新宿ラインを羽田空港に乗り入れさせる必要性は高くありません。

臨海部ルートは?

残る臨海部ルートですが、東山手、西山手に毎時8往復を振り分けた場合、総運転本数を毎時10往復と仮定すると、あと2往復しか残りません。つまり、30分間隔になってしまいます。

「毎時10往復」という前提が、「当初案の2倍強」という報道をベースにした仮定なので、実際はどうなるかわかりませんが、30分間隔ではやや少ない印象もあります。京葉線快速に新木場で接続すると勝手に想像すると、毎時3往復程度はあっても良さそうです。

JR東日本が、これまで公表した環境影響評価書は東山手ルートのみです。今後、西山手ルートと臨海部ルートの環境影響評価書が公表されれば、正確な運転本数見込みも記載されます。羽田空港アクセス線は、最終的には国際線ターミナルまでの延伸も検討されており、その概要も気になります。

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