「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第8弾 八戸~弘前を分析する。がっぷり四つの好勝負

行ったところ覚えているわけないでしょ

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河合チームの検討

「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第8弾、続いては河合チームのルート検証です。

冒頭、後攻めの河合チームに選択の余地はなく、八戸駅09時35分発のバスで十和田湖に向かいました。最初のポイントは、六戸町の陣の位置を確認しながら、降車しなかったことでしょうか。仮に降りていたら、どうなっていたでしょうか。

▽1日目
八戸駅西口09:35→09:55六戸→徒歩1分→幸寿し(六戸町☆)→タクシー10.5km、3,460円→十和田市まちなか交通広場11:43→12:58裁判所前→徒歩0.5km→常夜燈公園(☆野辺地町)→タクシー5km、1,840円→狩場沢13:55→14:37ほたて広場(☆平内町)→徒歩2km→浅虫温泉駅前18:35→19:20青森駅前

このように、十和田から野辺地行きのバスに、太川チームより一本早く乗ることができます。その結果、太川チームの先手を取りながら、1日目に青森駅前に到着できます。仮に河合チームがこの乗り継ぎを実現した場合、追いかける太川チームは野辺地、平内、青森の陣を失うことになり、かなり苦しい展開になっていたと思われます。

つまり、1日1便の八戸~十和田湖という貴重なバスを六戸で乗り捨てる決断をし、序盤にタクシー代を惜しみなくつぎ込んで「野辺地ルート」で先手を取れば、1日目で勝負をほぼ決することができていたであろう、ということです。

ただ、今回のお題は「奥入瀬ルート」と「野辺地ルート」を、それぞれのチームがたどることが基本設定となっていました。それを「番組の前提」と捉えれば、現実問題として河合チームが奥入瀬ルートを捨てる決断をするのは、難しかった気もします。

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焼山で乗り継げたら

河合チームで気になったのは、奥入瀬の出会い橋に向かう際に見かけた青森行きバスでしょうか。このバスは、河合チームが実際に乗った青森行きより一本早いバスですが、実は、八戸駅からのバスで乗り継ぐことが可能でした。

▽1日目
八戸駅西口09:35→11:05焼山11:21→13:39青森駅

このように、八戸→十和田湖のバスは、焼山で青森行きバスと接続を取っていて、乗り継げるようになっているのです。

ただ、十和田市の陣である出合い橋に寄ってしまうと、時間的に両バスは乗り継げません。つまり、ここで陣を確保すれば、青森着が3時間20分遅れるという設定になっていたのです。言い換えれば、「奥入瀬ルート」チームの足止めをするための陣配置だったといえます。

焼山に着く前に、十和田の陣(出合い橋)を狙わなければ3時間20分先行できると知っていれば、河合チームとしては、陣を捨てて、1日目の早い時間に青森市に入ってしまう、という戦法もあり得たでしょう。

そうすれば太川チームは青森の陣を獲れないので、河合チームが断然有利になるからです。

ちなみに、焼山ですぐに乗り継いだら、以下のようにつながります。

▽1日目
八戸駅西口09:35→11:05焼山11:21→13:39青森駅→青森魚菜センター(☆青森市)→青森駅14:53→16:02つがる総合病院前16:18→16:40斜陽館前(☆五所川原市)18:40→19:08五所川原駅前→タクシー11km→鶴の舞橋(☆鶴田町)→タクシー11km、計6,380円→五所川原駅前

つがる総合病院での乗り継ぎがやや難しそうですが、実現すれば1日目に青森と五所川原、鶴田の陣を得ることができ、圧倒的に有利に立てていたでしょう。

完全な結果論ですが、河合チームが八戸駅で、焼山での青森方面へのバス乗り継ぎ時刻を確認していなかったのはもったいなかった気もします。駅の案内所は9時にオープンするので、八戸駅9時35分発のバスなら聞けたはずだからです。

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「夜間偵察」が奏功

実際ルートに戻ります。1日目の河合チームで効果的だったのは、五所川原駅に到着した後、タクシーを使い、20時ギリギリまでつがる市と鶴田町を「偵察」したことでしょう。偵察ついでに鶴田の陣を夜間に攻め落とし、土壇場で1陣を加えて1日目を終えました。

これにより、2日目の乗り継ぎの見通しが立ち、半日あまりで6陣を得るという速攻につながっていきます。「夜間偵察」が功を奏したといえそうで、献策した安藤の超ファインプレーでしょう。

実際、2日目の河合チームは、取りうる市町村を全て押さえたと表現して良さそうです。2日目に7陣を取りうる乗り継ぎは思いつきませんので、ベストを尽くしたのではないか、というほかありません。

藤崎の陣(きくち覚誠堂)を得た後、もう1陣を取れないかも検討しましたが、タクシー代を勘案すると難しく、ゴールの陣を早めに押さえに行ったのは適切な判断でしょう。

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まとめてみると

まとめてみると、今回は、太川チームにも河合チームにも勝つチャンスがありました。

太川チームには1日目に三沢往復というファインプレーがありましたし、無駄なタクシー代を使わない堅実なプレーを重ねました。

惜しまれるのは最終盤で、藤崎町ではなく平川市に向かっていれば、あと1陣を加えて勝利できていた可能性が高いことです。ルイルイ自らが述懐したように、タクシーの使い方を間違えたのが勝ちを逃した要因といえそうです。

河合チームは、1日目に勝負を賭ければ圧勝できる可能性がありました。しかし、思い切った奇襲はせず、手堅く陣を拾いながら乗り継いだ結果、1日目は2陣しか獲れず、苦しい展開となりました。

挽回のきっかけは夜間偵察で、2日目に展開した、5市町6陣を制圧する津軽平野総なめの電撃作戦は見事でした。

両チームが奇策を弄せず、手堅い戦術にファインプレーを織り交ぜた結果、がっぷり四つの好勝負となりました。対戦成績は3勝3敗2分と五分のままです。均衡破るのはどちらのチームか。次回が楽しみです。(鎌倉淳)

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