伊予鉄道「鉄道・バス大減便」が示す、地方交通の未来。坊ちゃん列車も運休へ

11月1日ダイヤ改正

伊予鉄道と伊予鉄バスが、鉄道とバスの一部路線で大幅減便に踏み切ります。理由は運転士不足。名物の「坊ちゃん列車」も運休となるだけに、衝撃が広がりました。

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坊ちゃん列車も運休

伊予鉄道と伊予鉄バスは、鉄道とバスの一部路線で11月1日にダイヤ改正をすると発表しました。改正内容は減便で、「深刻な運転士不足および2024年問題に対応するため」と理由を明らかにしています。

鉄道では郡中線(松山市~郡中港)を、土日祝の日中から夜かけて毎時4本だったところ、3本に減らします。松山市内の路面電車では、毎時6本だった松山市駅~道後温泉間を全日5本に減便します。

本町線(松山市駅前~本町六丁目)は、平日の松山市駅発13時18分以降の便を全便運休とします。同線は2020年に土休日を全面運休としていますので、11月以降に運行するのは平日の午前中(12時18分発まで)のみとなります。

また、土日祝に1日6便運行していた観光客向けの「坊っちゃん列車」も当面運休とします。

伊予鉄道坊ちゃん列車

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長距離バスも削減

バスでは、松山観光リムジンバス(道後温泉~松山観光港)について、道後温泉行きを11便から3便に削減。松山観光港行きは10便をすべて運休します。

長距離バスでは、新居浜特急線(新居浜~松山)のうち、1日4便の伊予鉄運行便を1日1便に削減。共同運行しているせとうちバス担当便は、7便が6便となります。合計では、12往復が8往復に削減されます。

また、八幡浜・三崎特急線(松山~三崎)は、1日3往復を1往復に削減。八幡浜~三崎の区間便を1日1往復設定します。

このほか、市内路線などで最終便の繰り上げなどをおこないます。

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生活路線維持を優先

ダイヤ改正の内容を見ると、運行本数の比較的多い路線を少し間引きしつつ、代替交通のある路線で思い切った削減をしています。

また、観光路線より生活路線の維持を優先しているようです。運転士不足の影響が、地域の利用者へ及ぶのを最小限に食い止めようとする配慮でしょう。

運転士不足は全国的です。したがって、伊予鉄の今回のダイヤ改正は、今後の地方交通の運行ダイヤの方向性を象徴する内容にも感じられます。

すなわち、利用者の多い生活路線を間引きながら維持し、代替交通のある区間から撤退することで地域交通を維持する、という方針です。観光路線は余力の範囲で対応する、というところでしょう。

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「鉄道回帰」を促す?

注目点は、鉄道で代替できる松山~新居浜間(新居浜特急線)や、松山~八幡浜間(八幡浜・三崎特急線の一部)を大胆に削減したことでしょうか。運転士不足の影響で、「鉄道に任せられる区間は鉄道へ」という判断にも感じられます。

長距離特急バスは、これまで地方私鉄やバス会社の経営を支え、鉄道のライバルとして君臨してきました。しかし、今後は運転士不足を背景に、各地でこうした減便を強いられそうです。となると、利用者の「鉄道回帰」を促すかもしれません。(鎌倉淳)

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