山形新幹線「板谷トンネル」の調査に着手。山形県が予算計上

実質的な「フル規格」に

山形県は、山形新幹線の板谷峠の新トンネルに関する調査費を9月補正予算に計上しました。ルート検討のための地権者調査などが行われます。

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最大2200万円を計上

山形県は、2021年度一般会計補正予算案を県議会に提案しました。そのなかで、山形新幹線の福島県境部のトンネル新設に関する調査費を、2200万円を限度額とする債務負担行為として盛り込みました。山形新幹線の板谷峠区間を貫く新トンネル計画が、初めて予算化されたことになります。

新トンネルは、山形新幹線(奥羽本線)庭坂~関根間に全長23.1kmのトンネルを掘る計画です。新線の総延長は庭坂~関根間24.9km。JR東日本が2015年から基礎的な調査をおこない、2017年11月29日に山形県に調査結果の概要を説明しています。

山形新幹線

実質的な「フル規格」

新トンネルの概算事業費は、在来線トンネル断面で1500億円、フル規格新幹線に対応可能なトンネル断面に掘削範囲を広げる場合、120億円程度が増額となります。

山形県は新幹線の基本計画路線の奥羽新幹線計画を推進しており、新トンネルを掘る場合、フル規格対応の断面積を求めるとみられます。当該区間は標準軌のため、トンネル内の曲線をなめらかにすれば、最高速度200km/h以上での運転が可能となり、実質的な「フル規格新幹線」になりそうです。

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2040年頃に開業?

今回の予算は、ルート検討のための地権者調査などが目的で、事業費はJR東日本と折半します。

新トンネルの工期は着手から約15年が見込まれています。現段階では事業化するか未定で、環境アセスにも入っていません。トンネルは福島・山形県境に掘るため、福島県の負担をどうするかといった問題もあります。

それでも、山形県もJR東日本も前向きなため、おそらくは着手されるのではないでしょうか。順調にすすめば、2040年頃には開業するかもしれません。(鎌倉淳)

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