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「いまざとライナー」は成功するか。地下鉄今里筋線の延伸計画区間にBRT

壮大な社会実験

大阪メトロ今里筋線の延伸予定区間で試験運行されるBRT「いまざとライナー」の運行計画の詳細が明らかになりました。5年間という長期にわたる試験運行は、成功するのでしょうか。

2系統で運行

大阪市と大阪メトロは、地下鉄今里筋線の延伸予定区間でBRT(バス高速輸送システム)の社会実験を行います。2018年4月1日スタートで、このほど運賃など計画の詳細を公表しました。実験期間は約5年間で、地下鉄建設に値する需要を喚起できるかなどを確認します。

BRTの愛称は「いまざとライナー」。今里筋線南端の今里駅から延伸予定区間の湯里六丁目間を軸としたルートです。地下鉄今里~杭全~湯里六丁目~地下鉄長居を結ぶ「長居ルート」と、地下鉄今里~杭全~あべの橋を結ぶ「あべの橋ルート」の2系統で運行します。

所要時間は長居ルートが約37分、あべの橋ルートが約25分です。

いまざとライナー路線図
画像:大阪市

停留所間隔は1km

「いまざとライナー」の特徴は、停留所の間隔が約1kmと長いこと。大阪市の通常のバスは400m間隔で停留所を設置していますが、「いまざとライナー」はBRTとして地下鉄に近い所要時間を目指しており、停留所間隔を長く取っています。

とくに、あべの橋~杭全間は、約2.5kmにわたり、停留所を設けずにノンストップで運行します。

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日中10分間隔で運転

運行時間は、6時台~23時台。平日日中の運行間隔は、長居ルート20分間隔、あべの橋ルート20分間隔とします。10分ごとに運転されている大阪メトロ今里筋線の運行間隔に揃えた形で、地下鉄今里~杭全間は10分間隔、それ以外は20分間隔となります。

平日の早朝深夜や、土休日は、長居ルート30分間隔、あべの橋ルート30分間隔とします。地下鉄今里~杭全間は15分間隔となります。詳細なダイヤは2019年2月頃に発表されます。

大幅な割引運賃を設定

運賃は全区間均一で大人210円、小学生以下110円。ICカードで大阪シティバスと乗り継ぐ場合は210円割引が適用されます。つまり、シティバスとの乗り継ぎ利用の場合は、事実上の運賃通算(100%割引)となります。

ICカードで地下鉄と連続利用する場合の割引額も、160円と大きくなっています。「いまざとライナー」はBRT単独で利用されることをあまり想定していないのか、地下鉄、シティバスとの連携を前提にした割引運賃制度となっています。

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シンボル性のあるバス路線

「いまざとライナー」はBRTと称されますが、専用レーンを持つわけではないようです。ただ、デザイン化された停留所と車両を用いて、シンボル性のあるバス路線となります。

停留所は今里筋線のオレンジ色と黒をあわせた、わかりやすいデザイン。

いまざとライナー停留所
画像:大阪市

いまざとライナー停留所
画像:大阪市

運行情報などが表示されるモニターも設置されます。

運行表示モニター
画像:大阪市

運行表示モニターは、「いまざとライナー」と接続する地下鉄駅の改札口付近にも設置され、乗り継ぎ客にわかりやすく案内します。

車両は全14台で、外観はオレンジと黒のカラーリングで全車両同じですが、車内は車両ごとに異なるデザインになります。車内にも案内ディスプレイを設置します。

いまざとライナー車両
画像:大阪市

いまざとライナー車内
画像:大阪市

停留所は既存バス停との併設が多く、鉄道駅と接続する停留所では、乗り換えしやすい位置に配置されています。杭全ではJR東部市場前駅近くに「いまざとライナー」専用の停留所を新設。地下鉄今里では、国道308号の南北両側に停留所が設けられます。

「いまざとライナー」はなぜ運行するのか

「いまざとライナー」は社会実験として運行を開始します。その目的は地下鉄今里筋線延伸が延期になっている区間の需要を見極めるためです。実験の予定期間は5年程度とされています。

大阪地下鉄今里筋線の延伸計画区間は、今里~湯里六丁目の6.7kmです。今里筋の真下を南北に走る路線です。

延伸区間では、中川二丁目、大池橋、杭全、今川二丁目、中野町、湯里六丁目の6カ所の新駅が計画されています(いずれも仮称)。「いまざとライナー」の停留所は、地下鉄駅の配置におおむね対応する形になっています。

地下鉄延伸にかかる総事業費は1,363億円と見込まれています。収支予測は厳しく、2014年にまとめられた『「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について』では、採算が取れないと結論づけられました。

これに対し延伸実現を求める自民党市議団が、大阪地下鉄民営化関連議案に賛成する条件として今里筋線延伸区間でのBRTの実験実施を求めました。その結果として、「いまざとライナー」の運行が行われるわけです。

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「あべの橋ルート」と「長居ルート」

「いまざとライナー」の運行計画をみると、既存の鉄道・バスとの接続が配慮され、運行案内ディスプレイを至る所に配置するなど、利用しやすい取り組みが行われています。

ただ、「いまざとライナー」が成功し、地下鉄延伸を促すような結果になるかというと、なんともいえません。注目点があるとすれば、「あべの橋ルート」と「長居ルート」のどちらの利用者が多いか、という部分でしょうか。

地下鉄今里筋線の延伸計画区間は「長居ルート」とほぼ重なります。一方、社会実験では「あべの橋ルート」の利用者が「長居ルート」より多いという結果になる可能性もあります。その場合、あべの橋への地下鉄今里筋線延伸を求める声が上がるかもしれません。(鎌倉淳)