北陸鉄道石川線は廃止も選択肢。上下分離検討、2023年度に結論

浅野川線は存続へ

北陸鉄道石川線と浅野川線について、上下分離方式を検討することになりました。ただ、石川線については、検討によってはバス転換の可能性もありそうです。

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北鉄が上下分離求める

金沢市と周辺自治体を中心とした石川中央都市圏地域公共交通協議会は、2022年11月7日に第3回会合を開き、策定中の地域公共交通計画骨子案を取りまとめました。

計画の焦点は、北陸鉄道石川線、浅野川線の2路線の扱いです。運営する北陸鉄道は、同社単独での鉄道路線の維持が困難として、設備の維持管理を自治体がおこない、同社が運行に専念する上下分離を求めてきました。

北陸鉄道石川線

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鉄道事業の赤字続く

北陸鉄道の鉄道事業は赤字が続いています。

下表は、北陸鉄道の鉄道事業収支の推移を示したものですが、2014年から2021年度までの8年間で、毎年1億円前後の営業赤字を計上。コロナ禍に見舞われた2020年度と2021年度は2億円を超える赤字となりました。

北陸鉄道鉄道事業収支
画像:「鉄道線の持続的運行に向けて」(北陸鉄道)

年間の利用者数は、2019年度まで石川線が120万人前後、浅野川線が160万~170万人前後で推移してきました。2019年度の輸送密度は石川線が1,882人キロ、浅野川線が3,749人キロです。

北陸鉄道利用者数
画像:地域公共交通計画の基本的な考え方(石川中央都市圏地域公共交通協議会)

両路線とも一定の利用者数があることから、協議会では、大量輸送機関としての鉄道は地域にとって必要であると認め、上下分離も含めて行政として対応策を検討することにしました。

ただ、石川線については輸送人員が減少しているため、バス転換やBRT化も選択肢として検討する方針を示しています。

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重要部検査は鶴来

石川線の朝ラッシュ時の利用者数は一列車250人を超え、冬季の降雪時は400人近い乗車数となっています。こうした事情から、北陸鉄道側は、石川線の旅客をバスで運びきるのは困難との見方を示しています。

また、浅野川線と石川線の車両の重要部検査は、石川線にある鶴来工場でのみ実施可能としています。そのため、同社は、両線の維持運営管理体制は一体であるとし、両線一体の上下分離を求めています。

2023年度に結論

この日の会合では、石川線をバス転換した場合の影響についての調査結果も公表されました。石川線をバス転換した場合、所要時間は現状の約30分から、最大45分程度になるとのことです。また、石川線をバス転換した場合に、バス運転士が足らなくなり、既存のバス路線で減便せざるを得なくなるいう見通しも示しています。

自治体側はパブリックコメントを実施したうえで、2023年度にも石川線の存廃の結論を出す見通しです。

現状をみるに、石川線の廃止は困難にも思えますが、予断を許さない状況です。(鎌倉淳)

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