北陸新幹線・敦賀~新大阪間の環境アセスメントの方法書が公表されました。具体的な駅構造などが記されていますが、ルート案は幅を持たせたままです。
140kmに5駅を設置
鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は、2019年11月26日、北陸新幹線敦賀~新大阪間延伸の環境影響評価方法書を公表しました。環境アセスメント手続きの一環で、環境影響の調査・予測・評価を行う方法を記載しています。
北陸新幹線延伸の環境アセスでは、2019年5月31日に計画段階環境配慮書を公表しており、それに続くものです。
延伸計画の規模は敦賀~新大阪間の約140km。最高設計速度260km/hとし、最小曲線半径4,000m、最急勾配は15‰とします。設置する駅は5つで、敦賀駅、東小浜駅付近、京都駅、松井山手駅付近、新大阪駅です。全ての駅で在来線と接続する予定です。
概略ルートは下図の朱線内で、5月の配慮書と変わりありません。具体的なルート案を単一に絞り込んでおらず、4~12km程度の幅を持った帯で示しています。幅を持ったルート帯を示すことで、複数案と見なしています。
福井県内の路線概要
延伸区間の起点となるのは、建設中の北陸新幹線敦賀駅。敦賀市内を主に高架橋で通過し、美浜町、若狭町は主に山岳トンネルで通過します。
小浜市内は主として高架橋で通過し、北川を渡った後、小浜線東小浜駅付近に駅を設置します。小浜市以南は、主に山岳トンネルで通過し、京都府境に向かいます。
敦賀市、小浜市においては、市街地化が進展している地域はできる限り回避します。また、三方五湖や周辺の国定公園(若狭湾国定公園、越前加賀国定公園)も回避します。
小浜市の駅については、小浜線との乗り継ぎを考慮した位置で、対向式2面2線、幅約20mを想定しています。
京都府内の路線概要
福井県境から京都駅へ至るルートは、京都丹波高原国定公園第1種特別地域及び第2種特別地域、琵琶湖国定公園第2種特別地域を回避したルートとし、主としてトンネルで通過します。
京都駅付近は、京都市中心市街地は回避し、可能な限り道路など公共用地の下の活用を考慮します。必要に応じて大深度地下の活用を検討します。
京都駅から大阪府境へ至るルートは、 伏見酒造エリアを回避した区域を選定し、なるべく直線となるように考慮しつつ、松井山手付近を経て、大阪府境に至るルートとします。
京都駅は現京都駅付近の地下に設置し、対向式2面2線で、幅約25mを想定します。松井山手付近の駅は、学研都市線との乗り継ぎを考慮した位置に高架で設置します。対向式2面2線で、幅約20mの想定です。
大阪府内の路線概要
大阪府内はトンネル構造です。大阪市周辺の都市トンネルは、可能な限り道路など公共用地の下の活用を考慮し、必要に応じて大深度地下の活用を検討します。淀川は、トンネルで通過します。
金剛生駒紀泉国定公園の第3種特別地域等を通過する可能性があり、その場合には環境保全措置について検討を行います。
新大阪駅については、現新大阪駅付近の地下に設置します。島式2面4線で計画しており、幅は約45mを想定しています。
不確定要素多く
ルートの詳細が決定していないため、現時点では不確定要素が多くなっています。明らかになったことは、地上を走る区間が敦賀~小浜間と京都府内の一部だけで、それ以外のほとんどの区間がトンネル構造になる、ということでしょうか。
トンネルは山岳トンネルが幅約10m、都市トンネルが幅約10~13mを想定しています(いずれも複線断面の場合)。
途中待避駅はなし
最大の注目点は京都市内のルートですが、現時点でははっきりしません。
京都市中心市街地は回避し、幅10~13mの都市トンネルを通し、幅約25mの駅を京都駅付近に開削工法で設け、伏見酒造エリアを回避するという、なかなか難しい条件となっています。
また、京都駅を含め、途中駅は全て2面2線の想定なので、敦賀~新大阪駅間で待避可能駅は設けられないことになります。(鎌倉淳)