留萌線の存続厳しく。JR北海道が代替案提示、留萌市長は「次の一手を打つ場面」

廃線も視野に

JR北海道の留萌線の存続が厳しい状況になってきました。JR北海道が鉄道廃止後の代替案を示し、留萌市長が鉄道廃止を視野に入れた認識を示しています。

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輸送密度145

留萌線は深川~留萌間を結ぶ50.1kmの路線です。2018年度の輸送密度は145にとどまり、年間で6億4000万円の営業損失を出しています。経営難のJR北海道はバス転換を求めており、国や北海道も廃線を容認しています。

JR北海道は、廃線後の代替案を地元自治体に提示。代替バスの車両購入など初期投資を補助し、バスの新規路線の設定や既存路線の増便を支援することを明らかにしました。通勤定期は廃線から1年間、通学定期は生徒の在学期間中、バスとの差額を補償します。

バスが運行しない早朝や夜間には事前予約制のデマンドタクシーを用意。深川駅前広場へのバス乗り入れも検討します。廃線後の駅舎や線路については、地域振興のため活用できるようにします。

一方でJR北海道は、留萌線を存続させる場合、沿線4市町で総額年9億円の負担金が必要という試算も示しています。さらに、今後20年間でトンネルや橋などの鉄道設備の更新費用が約30億円必要と見積もります。

留萌線

「助成の可能性はゼロに近い」

留萌市の中西俊司市長は、11月24日に開かれた市政懇談会でJRの支援内容を説明し、「次の一手を打つ場面に来ている」と廃止を視野に入れたまちづくりの必要性を示しました。留萌市では、鉄道廃止後に駅周辺を再整備して、公共施設やバスターミナルを作る計画があります。

北海道新聞11月26日付によりますと、中西市長は報道陣に対し、留萌線の負担金について「国や道からの助成の可能性はゼロに近い」との認識を示したうえで、「国、道、JRが負担しない限りは、市が負担して運営はできない」と述べました。市長のこうした発言から、留萌市は、すでに廃線を視野にいれて動き出しているように感じられます。

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定期券は月100枚以下

留萌線11駅(深川駅除く)の過去5年平均の駅別乗車人員で、1日3人以上の利用があるのは、秩父別(48.4人)、石狩沼田(74.0人)、留萌(64.6人)の3駅のみです。

なかでも、留萌駅は定期外利用者が多く、留萌駅発着の月間定期券発売枚数は平均6.7枚にとどまります(3か月定期は3枚、6か月定期は6枚として集計)。

この数字を見る限り、留萌線を日常利用する留萌市民はきわめて限られていて、廃線の影響は小さいとみられます。これが、留萌市長の「認識」に繋がっているのかもしれません。

一方で、石狩沼田駅発着では月平均52.9枚、秩父別駅発着では36.7枚の定期券を発売しています。沼田、秩父別両町は留萌市に比べれば定期的な鉄道利用者が多いことを示します。とはいえ、その数はふた桁で、バス数台で運びきれる人数です。

そのほか、定期券利用者がいるのは、真布(0.8枚)、恵比島(1.8枚)のみです。留萌線全駅あわせての定期券発売枚数は月99.1枚で、100枚に届きません。

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外堀は埋まりつつ

沿線4市町による「JR留萌本線沿線自治体会議」は、2019年6月の会合で、「留萌本線の存続の可能性を探るため、協調して、国や北海道に対応していく」ことで合意しています。ただ、その後、議論は進展しておらず、「存続の可能性」を見出せていません。

JR北海道が廃止を求めた5路線のうち、石勝線夕張支線は廃止済み、札沼線・北海道医療大学~新十津川間と日高線・鵡川~様似間は廃止の方針が固まっています。根室線・富良野~新得間は一部区間で不通が続いていて、運転再開の目途は立ちません。こうした状況で、留萌線の外堀は埋まりつつあります。

バス路線も縮小で

一方で、最近、道内各地で路線バスの運転縮小が報じられています。とくに日高線沿線を走る「高速ひだか号」の廃止決定は、衝撃的に受け止められました。

路線バス縮小の理由は、赤字と運転手不足です。赤字は補助が可能ですが、運転手不足は手の打ちようがない側面もあり、将来的な路線バス維持の困難さが顕在化してきたといえます。

一般に鉄道廃止の代替策は、路線バスの運転手確保にまで目配りされていません。「鉄道を廃止してもバスがあれば」と安易にいえなくなってきた状況が、鉄道廃止後の代替交通の未来像にカゲを落とします。

「JR留萌本線沿線自治体会議」の次の会合は、2019年12月中旬に開かれる方向です。JRの提案を受け、地元4市町がどう対応をするのか、動きが慌ただしくなりそうです。

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