JR日高線・鵡川~様似間が2021年3月にも正式に廃止されます。2015年1月の高波被害で不通が続いて以来、約6年間の運休を経ての結末で、「さよなら乗車」の機会もない幕切れとなります。
町長会で決定
北海道の日高管内7町長は、JR北海道の日高線・鵡川~様似間116kmについて話し合う町長会議を2020年8月12日に開催し、同区間の廃止とバス転換の受け入れを正式に表明しました。
日高線・鵡川~様似間は、2015年1月の高波による土砂流出などで不通が続いています。JR北海道は、全線復旧する場合、復旧費用を86億円と見積もったうえで、復旧した場合に年間13億4000万円の維持費の負担を地元自治体に求めました。地元自治体が断ると、JRは廃止方針を表明。地元自治体では対応策を協議してきました。
協議は難航し、最終的に、浦河町を除く6町が廃止に同意。2019年11月に、多数決によりJRと廃線に向けた協議入りを決定していました。
寂しい幕切れに
JR北海道は、6月4日の臨時町長会議で、バス転換後の支援策を提示。18年間のバス運行に20億円、駅舎や鉄路など鉄道施設跡地の活用などの地域振興策に5億円の総額25億円の支援金を拠出すると伝えています。この日の会議で強い異論は出なかったようで、地元自治体は大筋でこれを受け入れる見通しとなりました。
今後は、JRと9月にも廃止・バス転換に関する協定を結び、2021年3月末で鉄道を廃止、4月からジェイアール北海道バスと道南バスによる代替バスの運行を開始する予定が固まりました。
日高線・鵡川~様似間は、災害による不通から6年あまりで正式に廃止されることになります。すでに運行していないので、「さよなら乗車」で鉄道ファンが殺到する機会もなく、廃線セレモニーで地元住民が盛り上がることもない、寂しい幕切れとなりそうです。