「羽田エアポートライン」設立。新空港線を建設、東横線直通も

大田区と東急が出資

東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ「新空港線」について、整備主体となる第三セクターが設立されました。「羽田エアポートライン株式会社」で、大田区と東急電鉄が出資しています。

広告

大田区と東急が出資

大田区と東急電鉄は、2022年10月14日に「羽田エアポートライン株式会社」を設立したと発表しました。東急多摩川線を京急蒲田駅まで延伸する「新空港線」の整備主体となる第三セクターです。

出資比率は大田区が61%、東急電鉄が39%。今後は、羽田エアポートラインが中心となって東急矢口渡~京急蒲田間の整備計画の検討の深度化を進めていきます。

新空港線(蒲蒲線)
画像:大田区
広告

国交省答申に盛り込まれ

新空港線は、東急多摩川線矢口渡駅から、東急蒲田駅、京急蒲田駅を経て、大鳥居駅に至る新線計画です。東急・京急の両蒲田駅を結ぶことから「蒲蒲線」とも呼ばれます。

新空港線計画は、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」に盛り込まれ、「矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」とされました。

一方、大鳥居までの延伸については、「軌間が異なる路線間の接続方法等の課題」があるとされました。

広告

東急が第二種鉄道事業者に

これを受け、大田区は、矢口渡~東急蒲田~京急蒲田間を優先して整備する方針を表明。2022年6月には、東京都と大田区が整備について合意しました。国交省の都市鉄道利便増進事業の補助を利用し、国、自治体、事業者がそれぞれ3分の1ずつを負担するスキームです。自治体負担分のうち3割を東京都が、7割を大田区が負担します。

このスキームでは、大田区が出資して第三セクターを設立し、鉄道施設を保有する第三種鉄道事業者とします。それが、このほど設立された「羽田エアポートライン」です。東急は、羽田エアポートラインから鉄道施設を借りて運行する第二種鉄道事業者になる見込みです。

空港利用者以外にもメリット

10月21日に発表されたプレスリリースでは「東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転」が明記され、京急蒲田から多摩川や自由が丘を経て、渋谷、池袋、埼玉県方面へ直通列車が走る方針が明確になりました。

線路容量の厳しい東横線に、どう蒲田方面への列車を入れ込むのかという課題はあるものの、実現すれば、蒲田から渋谷・新宿に直通列車が走ることになり、空港利用者以外にもメリットがありそうです。(鎌倉淳)

広告
前の記事東急田園都市線は、なぜ3時間半も停まったか。10月20日停電の一部始終
次の記事スターフライヤー「JR九州フリーきっぷ」の研究。北九州、西九州などで特急乗り放題!