大阪~別府航路の「フェリーさんふらわあ」にLNG燃料フェリーの新造船が登場します。客室は雑魚寝の大部屋が減り、個室化が進みます。
日本初のLNG燃料フェリー
商船三井は、液化天然ガス(LNG)を燃料とするフェリーを、大分~別府航路に2隻就航させると発表しました。LNG燃料フェリーは日本初です。
新造フェリーの船名は「さんふらわあくれない」と「さんふらわあむらさき」(いずれも仮称)。建造は三菱造船です。
1.9倍に大型化
新造フェリーの総トン数は17,300トンと、現行船「さんふらわあ あいぼり」「さんふらわあ こばると」の9,245トンに比べて約1.9倍。全長は199.9m、全幅は28mと大型化します。
内装面積は1.67倍に広がり、トラックの積載能力は現行船92台から136台に大幅増加。乗用車も97台から100台に増えます。
「スイート」は15室
旅客定員は763人と、現行船710人に比べて7%増。定員一人あたり面積は6.9平米から10.9平米へ大幅に拡大します。
客室は9等級。2018年にデビューした大阪~志布志航路の「さんふらわあ さつま・きりしま」に続き、専用バルコニー付き「スイート」を15室設定。これまでの最上級「デラックス」よりも、さらに上の等級となります。
大部屋は縮小
また、長距離フェリー初となるコネクティングルームを設置。和室と洋室を接続し、3世代で乗船する利用者への便宜を図ります。
1~2名個室「スーベリア」が、57室(定員84名)と多く設置されているのも特徴です。全等級で最大定員の客室は、相部屋の「プライベートベッド」で16室(定員256名)となりました。
一方、昔ながらの雑魚寝である「ツーリスト」は4室(定員71名)となり、現行船の7室(258名)から大幅に縮小されました。個室割合は現行船の80%から新造船90%となっています。
フェリー客室の個室化は、近年の新造船の流れです。2018年に登場したオレンジフェリー「おれんじえひめ」は、個室率100%の「完全個室フェリー」として話題になりました。
レストランは1.5倍に
共用施設としては大浴場とレストランを拡大。大浴場面積は現行船の2倍、レストランの席数は1.5倍となります。
3層吹き抜けのアトリウムやプロジェクションマッピング、ペットと一緒に過ごせる「ウィズペットルーム」「ドッグラン」なども設置します。
内装デザインは、2018年就航船「さんふらわあ さつま・きりしま」や客船「にっぽん丸」も手がけた渡辺友之氏が担当。移動手段としてのフェリーに客船(クルーズ)の要素を取り入れることで、船旅そのものを楽しむことができる「カジュアルクルーズ」の空間を創造します。
最先端の技術や設計の改善により、静粛性も向上するとのこと。就航時期は2022年末から2023年前半。快適な船旅ができそうで楽しみです。(鎌倉淳)