2022年3月ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング。鉄道各社を総まとめ

寂しい話題が多いですが

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14位 中央西線に315系投入

315系
画像:JR東海プレスリリース

中央西線・名古屋~中津川間に315系を投入します。同区間の快速・普通列車を、終日にわたり全て8両編成に統一します。同区間は、2023年度中に全て315系となります。

315系は、JR東海としては313系以来、23年ぶりの新型通勤型電車です。それだけに、東海エリアでの注目度は非常に高いようです。

15位 H100形を根室線に投入

H100型

JR北海道は電気式気動車H100形を根室線新得~釧路間と、石北線旭川~上川間に投入します。根室線は新規投入で、石北線は追加投入です。

根室線の当該区間では、普通列車54本を全てH100形とし、新得~帯広間で平均7分、帯広~池田間で平均4分、白糠~釧路間で平均3分速達化します。

新型車両の投入は前向きな話題で喜ばしいことですが、一方でキハ40形の引退が進むことを意味します。国鉄形車両の終焉に、また一歩近づいたと受け止める人も多いでしょう。

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16位 宇都宮線・日光線にE131系投入

e131宇都宮線
画像:JR東日本プレスリリース

宇都宮線、日光線にE131系を投入し、ワンマン運転を開始します。宇都宮線・宇都宮~黒磯間で3両または6両編成で運転(一部列車は小山~宇都宮間)し、日光線・宇都宮~日光は3両編成で運転します。

これらの区間は全列車がE131系となり、現行使用している205系(いろは車両含む)は定期列車としての運転を終了します。宇都宮~黒磯間ではE231/E233系の運用もなくなり、グリーン車の営業を終了します。

17位 相模線、E131系置き換え完了

E131系相模線

相模線ではE131系への置き換えが完了します。あわせて、茅ケ崎~橋本間の全列車でワンマン運転を開始し、朝夕の横浜線直通運転を取りやめます。

E131系投入発表当時から、ワンマン化と横浜線直通中止は予測されていたことなので驚きはないものの、新車投入が合理化と表裏一体であることを改めて感じさせる内容です。

E131系の投入完了により、205系が相模線から引退します。

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18位 おおさか東線が221系に

221系

おおさか東線の普通列車がすべて 221系となります。201系を一気に置き換えます。これにともない、すべての時間帯において、おおさか東線の時刻を変更します。

JR西日本では、2023年度までの計画で225系を新製し、JR京都線・JR神戸線などへの投入を進めています。これにより捻出した221系を大和路線、おおさか東線へ転用しています。

玉突きで201系は新ダイヤでおおさか東線から撤退します。大和路線では残るようですが、それも2024年頃には姿を消すとみられます。

19位 ワンマン運転拡充

E131系

ワンマン運転が全国的に拡充します。上述した相模線、日光線、宇都宮線(宇都宮以北)のほか、首都圏では川越線・八高線の川越~八王子間でもワンマン運転を実施します。川越線・八高線ではE231系の車両変更はなく、4両編成での運転です。

総武線では、成田~佐原駅間でE131系にて運転している2往復をワンマン化します。羽越線・村上~鶴岡間では、普通列車の車両をGV-E400 系に統一しワンマン運転を開始します。

すでに一部列車でワンマン化されている小海線、篠ノ井線、大糸線、飯山線でもワンマン運転を増やします。

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20位 会津鉄道「普通電車」廃止

6050系

会津鉄道では、野岩線に乗り入れていた6050系電車の運転を終了します。特急以外の電車運行がなくなり、普通列車は全て気動車となります。

つい数年前までは、6050系が「快速」として浅草まで元気に走っていたのが、ウソのような事態です。「快速廃止」から「普通電車廃止」までがあっという間でした。新ダイヤでは普通列車の運行本数も減らしており、先行きが心配です。

関連して、野岩鉄道では、全線で17往復から10往復に削減します。ローカル線での減便は各地でみられますが、約4割に達する減便は類例がなく驚かされました。

21位 北海道と東北で9駅廃止

流山温泉駅

北海道と東北地方で、9つの駅が廃止となります。函館線は池田園、流山温泉、銚子口、石谷、本石倉の5駅。根室線(花咲線)は糸魚沢駅。宗谷線は歌内駅。北上線は平石、矢美津です。

このなかでやや特異なのは、函館線流山温泉駅でしょう。JR北海道の開発事業にあわせて2007年に開業したものの、事業の失敗とともに、わずか15年で幕を下ろします。JR北海道の近年の迷走を象徴する事例といえるかもしれません。

22位 学園都市線「ロイズタウン駅」開業

ロイズタウン駅
画像:JR北海道

JR北海道の学園都市線のあいの里公園~太美間に、「ロイズタウン駅」が開業します。あわせて、石狩太美駅を「太美駅」に、石狩当別駅を「当別駅」に改称します。

地元の製菓会社ロイズと、当別町の請願駅です。ちなみに、北海道内の在来線新駅は、2002年の流山温泉駅以来。その流山温泉駅は、ロイズタウン駅と入れ替わるように廃止となるわけです。

新駅としては、このほか、あいの風とやま鉄道の富山~東富山間に「新富山口駅」が開業します。

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23位 JR九州で駅窓口縮小

吉松駅

JR九州では、ダイヤ改正を機に吉松駅や東唐津駅など29駅を無人化します。

有人駅においても、48駅できっぷの販売窓口を廃止。駅窓口のある駅でも営業時間を縮小し、中核駅で7:00~21:00、郊外駅や主要駅では7:30~19:00とします。それ以外の駅では7:30~15:00、7:30~12:00など、営業時間をさらに絞り込みます。

西九州新幹線開業を2022年秋に控えているからか、JR九州のダイヤ改正は他社に比べ小規模になりそうです。一方で、駅の合理化については強く推進している様子がうかがえます。

24位 「ワイドビュー」の愛称廃止

ワイドビューしなの

JR東海の在来線特急列車では、これまで「ワイドビュー」という愛称を使用していましたが、ダイヤ改正以降は愛称を取り、「しなの」「ひだ」「南紀」「ふじかわ」「伊那路」となります。

「ワイドビュー」の愛称が消えるのは、2022年度から導入される新型特急車両HC85系の展望が「ワイド」でないからと思われます。HC85系は「ひだ」「南紀」にのみ投入されますが、それ以外の列車の後継車両の展望も「ワイド」でないと想定されているのでしょうか。

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25位 「快速」各地で縮小

京葉線快速

JR「快速」が各地で縮小するのも今回のダイヤ改正の特徴です。利用者減少の影響で列車本数を削減するうえで、利便性の低減を最小限に抑えるには、速達サービスを縮小するほかありません。その意味で、「快速」は今回のダイヤ改正の最大の犠牲者といえます。

すでに取り上げた常磐線の「特別快速」縮小のほか、京葉線では東京~海浜幕張駅間で「快速」の運行が縮小します。

山陽線・岡山~福山間の快速「サンライナー」は、上下15本の全列車が廃止されます。

山陰線では米子~益田間の快速「アクアライナー」3往復が全て廃止となります。鳥取~米子間の快速「とっとりライナー」も、1日4.5往復(土休日4往復)から1往復のみに削減されます。

信越線では、E653系を使用した快速「信越」の運転を取りやめます。「信越」の列車名は2021年3月改正で付けられたばかりですが、わずか1年の短命に終わります。「信越」廃止の代替として、直江津~長岡間でE129系車両を使用した「快速」を運転します。

26位 京王「準特急」廃止

京王相模原線

京王電鉄では、「準特急」を廃止して「特急」をこれまでの「準特急」の停車駅とします。事実上の特急廃止ともいえるでしょう。

京王線の「準特急廃止」は、終日にわたり最優等列車の停車駅を増やすことを意味します。今回のダイヤ改正の全国的傾向である「速達サービス縮小」を象徴する事例と捉えられるかもしれません。

27位 北越急行「超快速」減便

ほくほく線

看板列車といえば、北越急行は「超快速 スノーラビット」1往復の運行をとりやめます。運行中止は1往復なので、下り1本は残るようです。

全体で現行1日20往復を19往復にするので、普通列車には手を着けず、速達サービスのみ縮小することになります。「超快速」を利用して上越新幹線に乗り継ぐ旅行者はあまりいなかったということでしょうか。

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28位 南武線、「快速」運転時間帯拡大

南武線快速

南武線で、土休日の快速電車運転時間帯を拡大し、3往復を増便します。普通からの置き換えも含むので単純な増便ではないものの、快速サービスの拡大は今回のダイヤ改正では珍しいので取り上げておきます。

とはいえ、土休日限定の3往復増便を取り上げなければならないほど、今回のダイヤ改正で前向きなニュースが少ないということの裏返しではあるのですが。

29位 可部線4両編成が拡大

可部線の朝夕通勤通学時間帯に4両編成で運転する列車を拡大します。朝の上り2本、夕夜の下り9本が4両化されます。こちらも今回のダイヤ改正で数少ない明るい話題でしょう。

可部線は全国屈指の混雑路線になっていて、2020年度のラッシュ時の混雑率は132%と全国4位。編成増は当然といえば当然です。地元からは増発を求める声もあるようですが、単線路線でもあり簡単ではないようです。

30位 JR四国でパターンダイヤ拡大

高徳線

JR四国は、ここ数年でパターンダイヤの導入を進めていますが、新ダイヤでは高徳線徳島~板野間、鳴門線池谷~鳴門間で導入。土讃線でもダイヤ修正でパターン化を強めます。

JR四国でも減便などのトピックスはいくつかありますが、ダイヤ改正全体として目を引く内容に乏しかったように感じられます。

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まとめてみると

何度も書きましたが、今回のダイヤ改正の大きな流れは「列車本数削減」です。それを一つ一つ取り上げたらキリがありません。東武鉄道の東武動物公園以北の減便や、西武新宿線の12分間隔化なども気になりましたが、似たような話題が多すぎるので省略しています。

端的にいえば、各社とも旅客サービスの向上よりも合理化を主眼に置いたダイヤ改正なので、利用者目線で見るとあまり面白くはありません。しかし、新型コロナで通勤客も観光客も出張客も減ってしまった以上、鉄道会社としては他に方策がないのでしょう。

新型コロナウイルス感染症も、2022年こそは落ち着きが見えてくるでしょうし、今回のダイヤ改正が「当面の底」であることを願いたいところです。(鎌倉淳)

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