(4/4)「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」第15弾、鉄道チームが勝利する方法を検討してみましょう。
下館駅に向かっていたら
鉄道チームは、1日目に30kmを歩いて疲労しており、2日目にハードミッションをこなすのは非現実的です。では、現実的に、鉄道チームがバスチームより早くゴールする方法はなかったのでしょうか。
一つの可能性として、JR水戸線の下館駅へ向かうルートが考えられます。筑波山神社から下館駅は意外と近く、約18.5kmです。土浦駅は約24.5kmなので、約6kmも違います。タクシー代は概算で6,050円です。
▽2日目
筑波山(青木屋)07:30→タクシー18.5km、6,050円→07:55下館駅08:00→08:39友部駅08:49→09:21神立駅→タクシー6km、2,090円+徒歩2.4km→10:45かいつか(☆1,000円)12:00→徒歩2.4km+タクシー6km、2,090円→神立駅12:54→13:35水戸駅13:45→14:57鹿島神宮駅→タクシー1.8km→15:05西の一之鳥居
下館駅を経由した場合、土浦駅に比べるとラッシュ渋滞は少なく、スムーズに駅に着けると仮定します。すると、概算ですが、タクシー代が実際ルートの7,940円よりも2,000円くらい安くなり、神立駅の到着時刻はほぼ同じです。
第3チェックポイントからの復路でタクシーを余分に使えるので、神立駅発12時54分発に間に合います。鹿島神宮駅からのタクシー代を残せていれば、ゴールに15時すぎに到着可能で、僅差でバスチームに勝利できる可能性があります。
ただ、筑波山~下館駅間の所要時間をぎりぎりに見積もっていますし、前述したように、鹿島神宮駅から順調にタクシーに乗れたとしても僅差です。したがって、この乗り継ぎも、「勝てる可能性があった」という範囲にとどまります。
第3CPへ直行したら
では、筑波山からタクシーで土浦方面に向かったのはいいとして、土浦駅に向かったことは正しかったのでしょうか。
気になる点として、土浦駅から神立駅まで一駅だけ常磐線に乗り、第3チェックポイントを目指すのは、地図を見ると大回りである、ということです。つまり、常磐線に乗る意味は小さかったようにも思えます。
仮に、筑波山からタクシーで直接第3チェックポイントを目指していたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
筑波山(青木屋)07:30→タクシー+徒歩34.4km→09:30かいつか(☆1,000円)10:30→徒歩+タクシー、8.6km→神立駅11:54→12:35水戸駅12:44→14:17鹿島神宮駅→徒歩1.8km→14:35西の鳥居
筑波山の時点で、鉄道チームはタクシー代として11,000円を持っています。第3チェックポイントまでは約34kmあり、距離運賃のみの概算で11,180円です。時間運賃を考慮すればタクシーだけでは届かないので、多少は歩くことになりますが、2時間あれば9時30分のかいつかオープンには間に合いそうです。
第3チェックポイントで先着ボーナス1,000円を獲得しますので、それを投じてタクシーと徒歩で神立駅に急いで戻れば、11時54分発の列車に何とか間に合いそうです。すると、鹿島神宮駅に14時17分に着き、ゴールは14時35分ごろ。15時10分ゴールのバスチームに文句なく勝利できます。
タクシーを序盤から使ったら
「第3CP直行案」は、一つの解でしょう。ただ、34kmをタクシーと徒歩でつなぐとなると、交通事情に左右される側面が大きくなり、実現性において不安があります。
もっと安定的に、鉄道チームが文句なく完勝できる方法はなかったのでしょうか。
カギとなるのは、「ボーナス」です。今回は、先着の1,000円ボーナスが3箇所。ハードミッションボーナスが3,000円。あわせて最大6,000円のボーナスを得られるチャンスがありました。6,000円あればタクシーに15kmは乗れますので、乗り継ぎを劇的に変えることができます。
ハードミッションボーナスは、スタート時では明らかにされていなかったのですが、先着ボーナスだけでも当て込んで、序盤からタクシー代を惜しみなく投じる、という戦法もあり得たでしょう。その場合は、どういう乗り継ぎになるでしょうか。
▽1日目
佐野駅11:57→12:12栃木駅→タクシー6.4km、2,600円→12:30いちごの里(☆1,000円)13:30→タクシー6.5km、2,700円→13:45小山駅14:06→14:28下館駅14:35→14:56下妻駅→タクシー16km、5,240円→15:30筑波山神社(☆1,000円)→宮脇駅15:40→15:48筑波山頂→ハート岩(3,000円)→17:30筑波山神社→徒歩+タクシー3,000円分、16km→下妻駅20:14→20:44水海道駅20:49→21:18取手駅21:37→22:02土浦駅
▽2日目
土浦駅07:00→07:04神立駅→徒歩8.6km→09:30かいつか(☆1,000円)10:30→徒歩+タクシー2,000円、計8.6km→神立駅11:54→12:35水戸駅12:44→14:17鹿島神宮駅→徒歩1.8km→14:40西の鳥居
序盤からタクシー代をつぎ込めば、1日目の15時半頃には筑波山神社に到着できます。日没まで時間があるので、ハードミッションを選択することもできるでしょう。
鉄道チームはケーブルカーに乗ることができますので、歩かずとも山上に着けます。そこから登山道を降りていけば、比較的ラクにハート岩に到達できそうです。
筑波山ケーブルカーの平日の運行時間帯は09時20分~16時40分なので、実際ルートで使うことはできませんでしたが、筑波山麓に15時半ごろに到着していれば利用可能だったわけです。
獲得した3,000円を使って筑波山神社から下妻駅の途中までタクシーで戻ったとして、下妻駅を20時ごろに出る列車に間に合いそうです。その場合、土浦駅に22時ごろに到着できます。
2日目には第3チェックポイントをオープンの9時30分からこなし、また1,000円をゲット。この資金をはたいて神立駅まで戻れば、11時54分発の列車に乗車可能で、14時40分ごろにはゴールできていたでしょう。
このとき、バスチームは先着ボーナスを得られないので、ゴールは早くても15時30分ごろ。鉄道チームの完勝となります。
イージーミッションなら
ただ、夕暮れ時間帯に登山道に入っていくのには、躊躇するかもしれません。その場合は、筑波山神社でイージーミッションをこなして終わらせることもできます。
▽1日目
佐野駅11:57→12:12栃木駅→タクシー6.4km、2,600円→12:30いちごの里(☆1,000円)13:30→タクシー6.5km、2,700円→13:45小山駅14:06→14:28下館駅14:35→14:56下妻駅→タクシー16km、5,240円→15:30筑波山神社(☆1,000)→青木屋(入浴)17:00→徒歩16km→下妻駅22:00→23:04取手駅23:09→23:35土浦駅
ボーナス3,000円を得られないので、筑波山神社から下妻駅までの16kmを全て歩くことになりますが、1日目に土浦駅にたどり着ける点では同じです。2日目は、上記ハードミッションと同じなので、太川チームに勝利できます。
筑波山のボーナス3,000円は、スタート時に告知されていませんでしたので考慮外とみなし、3箇所の先着ボーナスだけをあてこんで先を急いでも、やっぱり鉄道チームが勝利できるのです。
まとめると、鉄道チームは序盤からタクシーを使いまくれば、ハードミッションをこなさずとも1日目に土浦まで到達可能で、バスチームに差を付けて勝利することができた、ということです。
バスチームの場合
対抗して、バスチームも序盤からタクシーを使いまくったらどうなるのか、も検証しておかなければなりません。
以下のようになります。
▽1日目
佐野厄除大師11:04→11:14イオンモール佐野新都市→タクシー15km、5,600円→11:40いちごの里(☆1,000円)12:40→タクシー6.5km、2,700円→12:55小山駅13:15→13:26スズヤス前→徒歩3.8km→結城駅北口15:10→15:31筑西遊湯館→タクシー7.5km、2,450円→下館駅16:55→17:45筑波山口→徒歩2.7km→筑波山神社(☆1,000円)
1日目でおおむね1万円を使い切りますが、1日目終了時点の実績は実際ルートと同じです。タクシー残金は実際ルートよりも少ないので、序盤からタクシーを濫用する意味はありません。2日目はタクシー代が不足するので、ゴール時刻は実際ルートよりも遅くなるでしょう。
ただ、先に検証したように、イオンモール佐野新都市から道の駅みかも間のみ、タクシーを使えば、1日目で資金をほぼ満額残して終えることができます。
となると、初手でタクシー代をつぎ込むことは、バスチームにおいても一定の有効性があった、といえるかもしれません。これについては、後で最適解のルートとして紹介します。
最終乗り継ぎ
ややこしくなってきたので、ここで両チームの最終乗り継ぎをおさらいしてみましょう。
【バスチーム】
〔A〕筑波銀行麻生支店前13:46→14:30延方駅→徒歩→15:10西の一之鳥居
〔B〕筑波銀行麻生支店前14:31→15:26大船津→徒歩→15:35西の一之鳥居
〔D〕筑波銀行麻生支店前15:46→16:30延方駅→徒歩→17:10西の一之鳥居
〔D〕筑波銀行麻生支店前16:01→16:56大船津→徒歩→17:05西の一之鳥居
【鉄道チーム】
〔A+〕神立駅11:54→12:35水戸駅12:44→14:17鹿島神宮駅→徒歩→14:40西の一之鳥居
〔A〕神立駅12:54→13:35水戸駅13:45→14:57鹿島神宮駅→徒歩→15:20西の一之鳥居
〔C〕神立駅13:54→14:35水戸駅14:51→16:09鹿島神宮駅→徒歩→16:30西の一之鳥居
〔D〕神立駅14:22→15:01水戸駅15:34→17:01鹿島神宮駅→徒歩→17:20西の一之鳥居
〔F〕神立駅15:32→16:20水戸駅16:32→17:54鹿島神宮駅→徒歩→18:15西の一之鳥居
同じアルファベットが互角です。A、Dはバスの到着時刻が早いですが、バスは遅延しやすいですし、鉄道チームがタクシー代を残していれば逆転できる範囲なので、互角としています。また、バスチームのAは、延方駅からタクシーを使えれば、鉄道チームのA+とほぼ同着が可能です。
最速解でゴールしたバスチームに対し、鉄道チームもギリギリで逃した神立駅12時54分発に乗れていれば、互角の勝負だった、という結論になります。
バスチームの最適解
最後に、両チームの最適解を検討してみます。
今回はボーナスの影響でタクシー代が変動することもあり複雑ですが、バスチームの場合は、佐野新都市からの初手でタクシーを使い、道の駅みかもに向かう乗り継ぎが優れていたように思えます。
▽1日目
佐野厄除大師11:04→11:14イオンモール佐野新都市→タクシー2.4km→11:35道の駅みかも11:43→12:35とりせん大平店→徒歩3.3km→いちごの里(☆1,000円)14:41→15:00小山駅西口/東口15:15→15:26スズヤス前→徒歩3.8km→16:30結城駅北口16:35→16:56筑西遊湯館17:06→17:55下妻駅18:03→18:30北条三差路18:43→19:00筑波山口→徒歩2.7km→筑波山神社(☆)
▽2日目
筑波山神社入口08:08→08:18筑波山口08:35→09:25土浦駅10:40→11:24大和田→徒歩0.1km→かいつか(☆)12:35→タクシー22.9km→13:20筑波銀行麻生支店前13:46→14:30延方駅→タクシー3.5km→14:40西の一之鳥居
筑波山ではイージーミッションをこなすので、ボーナスはありません。それでも1日目にタクシー代を節約しているため、第3チェックポイントからゴールまで、バスとタクシーで歩かずに乗り継げます。
最終乗り継ぎは実際ルートと同じですが、延方駅前にタクシーがいるという前提で、ゴール時刻は14時40分くらいでしょう。トータルの歩行距離は5~6kmで、2日目はほとんど歩きません。
鉄道チームの最適解
いっぽう、鉄道チームの最適解としては、タクシー代を序盤から惜しみなくつぎ込んで、イージーミッションで済ますルートでしょうか。ハードミッションは、体力を消耗し時間がかかる割に3,000円しか得られないので、イージーミッションを手早く済ませて、平地を歩いた方がラクと考えます。
▽1日目
佐野駅11:57→12:12栃木駅→タクシー6.4km→12:30いちごの里(☆1,000円)13:30→タクシー6.5km→13:45小山駅14:06→14:28下館駅14:35→14:56下妻駅→タクシー16km→15:30筑波山神社(☆1,000円)→青木屋(入浴)17:00→徒歩16km→下妻駅22:00→23:04取手駅23:09→23:35土浦駅
▽2日目
土浦駅07:00→07:04神立駅→徒歩8.6km→09:30かいつか(☆1,000円)10:30→徒歩+タクシー→神立駅11:54→12:35水戸駅12:44→14:17鹿島神宮駅→徒歩1.8km→14:40西の鳥居
このように、鉄道チームも14時40分頃のゴールです。つまり、鉄道チームもバスチームも、最適解をたどった場合は、ゴール時刻がほぼ同じになりそうです。
最適解同士の戦いの場合、第1チェックポイントでバスチームが1,000円を得られませんが、第3チェックポイントから筑波銀行麻生支店の間で徒歩を増やせばリカバーは可能です。
最適解同士がほぼ同着であるならば、今回のルート設定は、チームによる有利不利の差がほとんどなかった、という結論に達します。
序盤でタクシーを使えるか
いうまでもありませんが、「最適解」なるものは机上論です。現実には、両チームとも最適解をたどるのは難しかったでしょう。序盤からタクシー代を使いまくるというのは、理屈としてはあり得ても、実践するには勇気が要ります。
それを踏まえてのことですが、最適解を探ることで、勝敗の分かれ目が見えてくるのも確かです。今回は、ボーナスという変動要因を意識しながら、序盤に適切なポイントでタクシー代を投じられるかが、大きなポイントだった、ということです。
タクシーを呼んでも来ない件
また、鬼軍曹が2度に渡り、タクシーをうまく呼べなかったのも示唆的です。新型コロナ禍後、地方でのタクシー運転手が激減し、とくに朝夕は呼んでも来てもらえないという話を、あちこちで耳にするようになりました。
今回、タクシーが来なかったのは、たんなる偶然でも不運でもなく、こうした地方のリアルな実状を反映しているに過ぎないのかもしれません。
「少し歩いてタクシーを呼ぶ」という、鬼軍曹得意の戦法が通用しにくくなっている、という社会情勢が生じているわけです。
タクシー代を温存しても、大事な局面で切り札にならない可能性があることを意味しており、「タクシーは乗れるときに乗る」というのが、これからの戦略になるかもしれません。
先手必勝
ということで、今回は「先んずれば制す」「先手必勝」という、オーソドックスな戦法が効果を発揮した回でした。
「先着ボーナス」制度は、タクシー代を温存しすぎると後手を踏んで厳しくなるという仕組みで、温存しがちな鬼軍曹には、やや厳しいルールだったかもしれません。
これで、バスチームが8勝7敗と、ひとつ勝ち越しました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)