アクアパーク品川は「イルカショー」が一枚看板。華やかな演出に一見の価値【水族館レビュー】

水族館は「おまけ」?

アクアパーク品川は、品川プリンスホテル内にある水族館です。品川駅徒歩圏の立地にありながら、広いイルカスタジアムを擁し、華やかなイルカショーで名を馳せています。

広告

2005年にオープン

アクアパーク品川は、2005年にオープンした、比較的新しい水族館です。当初は「エプソン 品川アクアスタジアム」という名称でしたが、2015年のリニューアル時に「エプソン アクアパーク品川」となりました。2016年にエプソンとのネーミングライツ契約が終了してからは、シンプルに「アクアパーク品川」となっています。

運営は株式会社八景島です。つまり、アクアパーク品川は八景島シーパラダイスの系列の水族館です。八景島はプリンスホテル系なので、どちらが「親」なのかはよくわかりませんが。

アクアパーク品川

直感型テーマパーク

アクアパーク品川は、いわゆる普通の「水族館」とは趣を異にします。「直感的テーマパーク」をキャッチフレーズにしており、デジタル技術を用いた展示が特徴です。

エントランスから入ってみると、まずはタッチパネル水槽といったデジタル的な展示があり、さらに「ポート・オブ・パイレーツ」という大型乗り物アトラクションが続きます。

カフェバーの横をかすめて、「ジェリーフィッシュランブル」というクラゲのデザイン展示が現れます。おしゃれではありますが、本格的な水族館という印象はありません。

アクアパーク品川くらげ

広告

生きた魚を見に来ても……

2階に上がると、水槽展示が増えていきます。館内が薄暗く、写真映えしないのが残念。

アクアパーク品川

アクアパーク品川の目玉のひとつ、マンタが泳ぐ海中トンネルと続きます。

アクアパーク品川海中トンネル

そして「アクアジャングル」という熱帯雨林をテーマにした展示、さらにアシカ、ペンギンと続きますが、水族館的展示はこれだけです。

アクアパーク品川アシカ

はっきり言って、「生きた水棲生物を見に来る」という目的でアクアパーク品川に来ても、満足は得られないでしょう。

広告

質の高いイルカショー

アクアパーク品川の神髄は、この後にある「ザ スタジアム」で行われるドルフィンパフォーマンスにあります。夜間も含めて1日7回もショーが行われており、イルカさんお疲れ様、という感じ。日中はおおむね1時間半ごとにドルフィンショーが開催されています。

スタジアムは広く、イルカは縦横に泳ぎ、都内にいることを忘れさせてくれます。ショーが始まると、水の落ちる演出とイルカの動きが素晴らしく、目を奪われます。

都心でこの規模のイルカショーを行っているだけでも驚きますが、ショーの質の高さも国内有数ではないか、と感心しました。

アクアパーク品川イルカショー

本気で水をかける

イルカが容赦なく水を掛けてくるのも名物です。こうしたイルカショーでは、「前列は水がかかることがあります」などとアナウンスがあっても、大抵はたいしたことないのですが、アクアパーク品川はちがいます。イルカがひれを動かし、本気で水をかけてきます。

お客さんも先刻承知で、3列目くらいまでは、ほとんどの人が有料のレインコートを着て見物しています。トレーナーがバケツで完客席に水をかけたりすることもあるそうです。

実際、2列目まではびしょびしょ、3列目も水がかかっていました。筆者は4列目だったので、全く大丈夫。このあたりの計算もきちんとしています。

広告

「イルカショー」を見る施設

ということで、アクアパーク品川は、イルカショーが一枚看板です。それ以外の水族館展示は、見る価値がないとはいいませんが、いかんせん展示数が貧弱です。人気のある魚を手堅く集めているとは思いますが……、たとえばメガネモチノウオとか。

でも、水族館的展示だけなら、おとな2,200円の入場料の価値に見合うものではありません。

アクアパーク品川メガネモチノウオ

実際のところ、ここは水族館にイルカショーが付随しているのではなく、イルカショーこそが一枚看板で、水族館が「おまけ」であるように見受けられます。

ならば、「水族館に行く」のではなく、「イルカショーを見に行く」つもりで訪れるのがいいでしょう。それが、アクアパーク品川の、正しい楽しみ方ではないでしょうか。(鎌倉淳)

広告