東北ローカル線、復旧見通しの最新情報。8月豪雨被災、五能線など運転再開へ

米坂線が心配

【12/08更新】2022年8月豪雨で被害を受けた、東北地方のローカル線の復旧が進んでいます。多くの路線で運転再開のメドが立ちつつありますが、まだ見通しの立たない線区もあります。これまでの情報をまとめてみましょう。

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五能線が運転再開へ

JR東日本は、2022年8月豪雨で被災した五能線の岩館~深浦間について、12月9日始発から運行を再開することを明らかにしました。

現在、五能線は、岩館~鰺ケ沢間が不通になっています。岩館~深浦間の復旧により、不通区間は深浦~鰺ケ沢間のみとなります。深浦~鰺ケ沢間は、中村川橋梁が崩落するという大きな被害がありましたが、JR東日本は12月23日頃に運転再開をすると発表しました。

同区間の運転再開予定が示されたことで、五能線は年内に全線復旧する見通しとなりました。

五能線中村川橋梁
画像:JR東日本

秋田内陸縦貫鉄道も

秋田内陸縦貫鉄道も、8月豪雨で不通となっている鷹巣~阿仁合間について、12月12日始発より運転再開することを明らかにしました。

米内沢~前田南間で線路設備などの被害が発生していましたが、応急的な復旧工事が進んだためとしています。

これにより、秋田内陸線も全線で復旧することになります。

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磐越西線、花輪線は来春に

2022年8月豪雨では、東北地方のローカル線で被害が相次ぎました。被害の小さい区間は短期間で復旧しましたが、現在も五能線、秋田内陸縦貫鉄道のほか、磐越西線喜多方~山都間、米坂線坂町~今泉間、花輪線鹿角花輪~大館間、津軽線蟹田~三厩間で不通が続いています。

このうち、磐越西線喜多方~山都間は、崩落した濁川橋梁の補修にメドがたち、2023年春ごろに復旧工事が完了する見通しです。花輪線の鹿角花輪~大館間も、2023年4月から5月頃に復旧する見通しが明らかにされています。

つまり、五能線、磐越西線、花輪線は、時期の違いはあるものの、全線で復旧することがはっきりしています。

花輪線十和田南~末広間米代川護岸の被災状況
花輪線十和田南~末広間米代川護岸の被災状況。画像:JR東日本
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津軽線は来年度に?

依然として復旧の見通しが示されていないのが、津軽線と米坂線です。

津軽線は第一今別橋梁や枝沢橋梁が被災するなどして、蟹田~三厩間で不通となっています。復旧作業に向けた現場の環境が悪いことなどから、復旧まで少なくとも数か月を要することが明らかにされています。

降雪期前に盛土の復旧を終えるのは困難で、降雪により盛土が影響を受けることを考慮すると、年度内に復旧することはなさそうです。

ただ、復旧工事に着手する方針は明らかにされているため、2023年度中の復旧は期待できそうです。

津軽線枝沢橋梁
画像:JR東日本
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米坂線が心配

もっとも心配なのが、米坂線です。小白川橋梁の崩落など甚大な被害を受けており、今泉~坂町間で運転再開の見込みが立っていません。

管轄するJR東日本新潟支社の小川治彦支社長は、11月22日の定例会見で「被害の全容把握に至っていない」と述べ、発生から3カ月以上が経過しても被害状況の確認が終わっていないことを明らかにしています。

具体的な被害規模がわからないため、復旧時期の見通しも示されていません。復旧費用が巨額になることは避けられず、費用負担について地元自治体と協議することになる可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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