えちごトキめき鉄道が「雪月花」の車両とサービス、時刻表の詳細を発表。車両も内装も企画も「新潟産」のこだわりでスゴイ!

新潟県の第三セクター・えちごトキめき鉄道が、2016年4月から運行するリゾート列車「えちごトキめきリゾート雪月花(せつげっか)」の車両と運行計画の詳細を発表しました。山と海の景色をゆったり楽しめる新製車両に乗り、フルコースの駅弁を楽しめます。料金は駅弁付きで12,500~14,000円程度になる予定です。

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ルートは「上越妙高~妙高高原~糸魚川」

「えちごトキめきリゾート雪月花」は、北陸新幹線上越妙高駅~糸魚川駅間で運行されるえちごトキめき鉄道の新型リゾート列車です。2016年4月23日から運行開始され、上越妙高駅発の午前便と、糸魚川駅発の午後便の2便が設定される予定。いずれも妙高高原まで往復して折り返すコースで、全2時間半〜3時間の行程となります。

想定時刻表は以下の通りです。

【午前発便】
上越妙高10:19→10:35二本木10:51→11:10妙高高原11:28→11:46二本木11:59→12:28直江津12:38→12:52名立13:04→13:30糸魚川

【午後発便】
糸魚川14:10→14:46直江津14:56→15:24二本木15:43→16:02妙高高原16:18→16:46上越妙高

※実際の運行ダイヤは変更される可能性があります。

雪月花画像:えちごトキめき鉄道

豊富な展望スペースのある車両

列車は2両編成の新造ディーゼル車で定員45人。1両あたり22.5人となり、リゾート列車としてもかなり定員が少なくなっています。車体は新潟の四季をモチーフに、銀朱色をベースに「雪」と「花」がちりばめられ、内装は和モダンを基調としています。

車両の前後には展望スペースを設置。天井近くまであるパノラマウインドウや足元から空まで展望できるハイデッカー仕様の個室も備えます。全体的に展望スペースが豊富に設置されている車両です。1号車は食事なし、2号車は食事付きの編成となる予定です。

雪月花画像:えちごトキめき鉄道

北陸新幹線沿線は、観光列車の激戦区

設計したのは建築家でデザイナーの川西康之氏で、自社「イチバンセン」のウェブサイトでデザインコンセプトをより詳細に明らかにしています。

それによりますと「北陸新幹線沿線では、10種類ほどの観光列車が営業・計画されており、九州に次ぐ『激戦区』になっている」としたうえで、「近隣県にはない、圧倒的にインパクトのある観光列車を作って欲しい」と依頼されたとのこと。

伝えられた条件は、ディーゼルカーの新製車両2両編成、予算、2016年春からの営業開始というスケジュールでした。また、新潟県からは、強い意向として、「スイスやカナダにある観光列車のような大きな窓を備えること」が求められました。一方、えちごトキめき鉄道からは「車内で食事サービスを提供すること」を求められたそうです。

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車両中央部に乗降口を設ける?

簡単に言えば、「景色の見やすいレストラン列車」で、最近の観光列車の流行そのものなのですが、じつは、川西氏は鉄道車両デザインの経験はありませんでした。そのため、水戸岡鋭治氏を訪れるなどして試行錯誤を重ねながら、設計を進めたそうです。

川西氏らは、設計開始当初、「狭い列車内でのサービスには限界があると考え、駅ホームと車内が一体化するように乗降口デッキを車体中央部に設置することを提案」しました。しかし、寒冷地で豪雪地帯であることから、この案は採用されず、車両端に広いデッキを設けることにしたそうです。

川西氏は、「雪月花」の利用者を、北陸新幹線のグリーン車やグランクラスに乗車する層と想定。そのため、「雪月花」の居住性も、北陸新幹線のグリーン車と同等以上と設定しました。それに基づいて座席の幅や前後の間隔を決め、座席幅550mm、柱間2,100mmとしています。これは、フランスTGVやドイツICEの1等車とほぼ同じ寸法だそうで、新幹線のN700系のグリーン車の座席幅480mmより広くなっています。

雪月花画像:えちごトキめき鉄道

「里山十帖」と「Ryuzu」も参加

新潟県の第三セクター鉄道のため、なるべく地産にこだわったのもこの車両の特徴です。製造は当然、新潟トランシス。さらに燕三条地域の金属加工品や塗装技術、越後杉、阿賀野の安田瓦などの素材が車両の随所に用いられます。

車内でのサービス企画プロデュースは、新潟県南魚沼市の温泉宿・里山十帖をプロデュースした岩佐十良氏。車内で提供する食事の監修は、新潟県十日町市出身で、ミシュランガイド東京で2013年から3年連続2つ星を取った東京・六本木のフレンチレストラン「Ryuzu」のオーナー兼シェフ、飯塚隆太氏です。

料理は「箱に入ったフルコース」と題され、地鶏や地元野菜を使ったフランス料理が3段の重箱に入り、スープやデザートも付きます。カフェ・バーでは地酒やワインも提供します。

14,000円は高いか安いか?

料金は、午前便の「雪コース」が14,000円、午後便の「月コース」が12,500円(月コース)で、これらはいずれも食事付きです。食事なしの「花コース」(ドリンク・菓子付き)コースは6,000円。4人で使えるハイデッキ個室は別料金(1室12,000円)となります。

片道14,000円となると、ちょっとお高い気もしますが、レストラン列車の嚆矢となった肥薩おれんじ鉄道の観光列車「おれんじ食堂」のランチ価格は、現在21,000円。いすみ鉄道の「レストラン・キハ」の「お箸DEイタリアン」が16,000円です。走行距離や所要時間、メニュー内容に差があるので一概にいえませんが、「雪月花」は、これらに比べると低価格です。

運行開始は2016年4月23日(土)の予定で、土日祝日を中心に通年運行されます。募集開始は2月中旬を予定していて、運行開始当初は抽選となる予定です。

最近は各地にリゾート列車が増えてきましたが、そのなかでも「雪月花」にはかなりの「気合い」を感じます。地産へのこだわりも強く、車両本体から県内で調達できるのは新潟県ならではでしょう。運行開始が楽しみです。(鎌倉淳)

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