近鉄が株主総会の質疑応答で、夢洲と奈良方面を結ぶ直通特急の開発状況を明らかにしました。大阪メトロ中央線と近鉄線の異なる給電方式に対応する可動式集電装置は、台上試験を終え、実車試験に向けた段階へ進んでいるとのことです。
このほか、「ひのとり」の伊勢志摩乗り入れや、有料座席指定サービス「すわれ~る」の利用状況についても説明がありました。
可動式集電装置は試験クリア
近鉄グループホールディングスは2026年6月19日に開催された株主総会の、おもな質疑応答を公表しました。
株主からは、夢洲から生駒駅経由で近鉄奈良線へ直通する特急列車の開発状況について質問が寄せられました。
大阪メトロ中央線は第三軌条方式で、近鉄線は架線方式です。その両方に対応する可動式集電装置について、近鉄は、「試作装置は台上試験で問題ないことを確認できた」と回答しました。
現在は、この装置を搭載するための新しい台車を設計している段階で、その後は実車による試験を実施する予定です。
夢洲直通列車は、大阪IR開業後のアクセス列車として期待されており、異なる給電方式への対応が最大の技術課題とされてきました。今回、試作装置が実用段階へ一歩近づいたことが、明らかにされた形です。

「ひのとり」の伊勢志摩乗り入れは余裕なし
株主からは、「ひのとり」を伊勢志摩方面でも運転してほしいとの要望も寄せられました。
これに対し近鉄は、「ひのとり」は大阪~名古屋間向けに開発した車両で、現在は同区間の需要が大きく、増便もあって車両運用に余裕がないと説明。
現段階では伊勢志摩方面へ充当するのは難しいとしながらも、今後の特急車両の運用で検討していく考えを示しました。
阪神直通特急にも意欲
株主からは、阪神三宮~奈良間を結ぶ快速急行に加え、奈良線特急や「ひのとり」を三宮まで乗り入れられないかとの質問も寄せられました。
近鉄は、現在も阪神三宮~伊勢志摩間で団体向け臨時特急を運行していると説明。そのうえで、定期的な特急乗り入れには阪神電鉄に特急料金制度がないことや、乗り入れ対応車両が少ないことが課題だとしました。
一方で、「相互直通運転の開始以降、『奈良と神戸は意外に近い』との声もいただいている」とし、「我々としても特急の乗り入れの拡大を希望している。阪神電鉄といろいろお話ができればよいと思う」と回答しました。将来的な特急直通に前向きな姿勢を示した形です。
「すわれ~る」は乗車率93%
2026年6月から南大阪線で始めた一般車両の有料座席指定サービス「すわれ~る」の利用状況も公表されました。
近鉄によると、6月1日から18日までの平均乗車率は約93%で、高い利用率となっています。今後は約1年間の利用実績や季節変動などを確認したうえで、サービスの展開を検討するとしています。
QR乗車券は「直ちに導入せず」
デジタル化に関する質問では、QR乗車券についても回答しました。
近鉄では企画乗車券のQR化を進めており、約280駅のうち約230駅にQR対応改札機を設置済みです。一方、普通乗車券については課題が多く、現時点では直ちにQR乗車券へ置き換える予定はないとしています。ただし、将来に向けた検討は継続するとしています。
ワンマン運転や外国人材も拡大へ
人材不足への対応についても説明がありました。
近鉄は採用エリアを全国へ拡大し、離職防止にも取り組んでいると説明。ワンマン運転については「拡大しなければ立ち行かなくなる」との認識を示し、準備を進めていることを明らかにしました。
また、外国人材についても2026年夏から受け入れる方針で準備を進めているとしています。




















