JR西日本の城端線と氷見線の第三セクター化が事実上決まりました。JRから分離され、あいの風とやま鉄道が継承します。
城端線・氷見線再構築検討会
城端線と氷見線は、富山県西部を走るJR西日本のローカル線です。JRと地元自治体が「城端線・氷見線再構築検討会」を設置し、新型車両の導入やあいの風とやま鉄道(あい鉄)との直通化などを検討してきました。
7月に開かれた第1回検討会で、あいの風とやま鉄道への運行主体変更を求めることとなり、9月に開かれた第2回会合に同社の日吉敏幸社長が出席。引き受けに前向きな意見を示すとともに、引き受けのための「5条件」を提示しました。
これを受けた第3回検討会が2023年10月23日夜に開かれ、自治体側が「5条件」への対応案を提示。
日吉社長は「さまざまな条件について理解してもらえたと考えている」と述べ、引き受けを了承する姿勢を示しました。これにより、城端線・氷見線のあい鉄移管が事実上決まりました。
引き受け5条件
あいの風とやま鉄道が提示して、自治体とJRが対応を約束した5条件は以下の通りです(原文)。
(1)現路線とは区分経理した上で、現路線の経営に支障が出ないよう、城端線・氷見線の赤字補てんの保証を行うこと
(2)運転士や施設、電気、車両など技術系の要員を確保するため、JR 西日本の社員が一定期間、当社に出向していただくこと
(3)経営移管前に、JR 西日本において、レール、まくら木、分岐器、道床などの本格的な再整備を行っていただくこと
(4)指令や駅運転のための設備整備、券売機の整備も経営移管前に行う必要があり、当社がその整備を行う場合は必要な財源を確保していただくこと
(5)仮に両線の直通化を行う場合、連動信号の再整備など高度な知識・技能が必要となり、当社は技術的にも人員的にも能力不足であることから、JR 西日本の全面的な支援が不可欠であること
新型車両など導入へ
今後は、城端線と氷見線の再構築について、鉄道事業再構築実施計画を策定し、国に補助金などの支援を求めることになります。
今年度に導入された新たな制度では、地域公共交通の再構築事業は社会資本整備総合交付金の対象となるため、最大50%の国庫補助を受けられます。この補助の適用を受け、新型車両の導入や鉄道施設整備などをおこなう見通しです。
手続きや施設整備には相応の時間がかかるとみられ、具体的な経営移管時期は未定です。ただ、そう遠くない将来に、城端線と氷見線がJRから分離され、あいの風とやま鉄道の路線として再出発することが確実になりました。(鎌倉淳)