つくばエクスプレス「土浦延伸」が有力に。茨城空港は選ばれず

3月に正式決定へ

つくばエクスプレスの茨城県内の延伸先として、土浦が有力となりました。茨城県のTX県内延伸に関する第三者委員会で原案が示されました。

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県がたたき台を提示

茨城県では、同県の総合計画で、2050年ごろをメドにつくばエクスプレスを県内に延伸する方針を示しています。

延伸先の候補は水戸、茨城空港、土浦、筑波山の4つ。これを一案に絞り込むため、2022年度に「TX県内延伸に関する第三者委員会」を設置して検討をしています。2023年2月までに3回程度の議論を実施し、その結果を茨城県知事へ提言する予定です。

茨城県では、延伸先を判断する基準として、採算や費用対効果といった実現可能性のほか、「東京圏からの新たな人の流れの創出」「つくばと水戸の二大都市圏の交流拡大」「自動車からの転換に向けた公共交通のサービスレベルの向上」「延伸を起爆剤とした本県未来の更なる飛躍」の4つを挙げています。

1月16日には、委員会の第2回会合が開かれ、各社報道によりますと、県から提言のたたき台として土浦方面への延伸案が示されたということです。

つくばエクスプレス

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3月下旬に正式決定

つくば~土浦間にはバス路線があり、平日・休日ともに7~8万人の流動量があります。また、つくば駅から土浦駅までは直線距離で10km足らずであり、4案のなかでは、最短距離での常磐線接続が可能です。

つくば~土浦間の一部道路ではピーク時以外にも渋滞が発生しており、鉄道延伸による住民の利便性向上が期待できます。こうしたことから、土浦延伸をたたき台として示したということです。

委員会では、県の案を基に検討し、2月9日に予定されている最後の会合で延伸先を1つに絞り込んだ提言書をとりまとめる予定です。その後、県民のパブリックコメントを募集し、3月下旬に延伸先を正式に決定します。

つくばエクスプレス延伸先候補
画像:茨城県
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茨城空港は?

つくばエクスプレスの土浦延伸が実現すれば、県都・水戸からつくばまで、一度の乗り換えで鉄道のみで移動することができるようになります。つくば~土浦間の流動も多いことから、短距離の延伸で大きな効果が得られるのは確かで、延伸先としては妥当でしょう。

旅行者としては、茨城空港への鉄道アクセスを期待したいところですが、空港利用者数はコロナ前でも年間78万人にとどまっています。1日2100人程度にすぎず、鉄道アクセスを必要とする数ではありません。

途中に里山も

土浦延伸に決まったとしても、経路などは未定で、今後の検討になります。途中に宍塚という古墳群を含む里山があり、ここを通る場合は環境問題などで議論が起こる可能性があるでしょう。

土浦駅への接着方法も気になります。周辺は市街化されていることもあり、ルート取りにはさまざまな検討が必要になりそうです。

完成目標は「2050年ごろ」ですが、いまのところは構想段階で、本当に実現するかは定かではありません。

鉄道延伸を実現するには、交通政策審議会の答申に盛り込まれることが事実上の要件になっていますが、次の答申は2031年頃です。そこに盛り込まれて、すぐに着手したとして、2050年はギリギリのスケジュールでしょう。

つくばエクスプレスは東京駅延伸計画もありますので、その兼ね合いも含め、実現可能性を探ることになりそうです。(鎌倉淳)

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