JR北海道の宗谷線の13駅が、2021年3月に廃止される方向となりました。情報をまとめてみました。
各自治体が判断
JR宗谷線の沿線自治体でつくる宗谷本線活性化推進協議会は、2020年3月27日、JR北海道が廃止を求めていた29の無人駅のうち、13駅について廃止を受け入れる方針を同社に伝えました。
受け入れは各自治体の判断に基づくものです。廃止受け入れ方針が示されたのは、以下の13駅です。廃止予定は2021年3月です。
■比布町
南比布、北比布
■剣淵町
東六線、北剣淵
■士別市
下士別
■名寄市
北星
■美深町
南美深、紋穂内、恩根内、豊清水
■幌延町
安牛、上幌延
■稚内市
抜海
【追記】記事掲載後、抜海駅は存続が決まりました。
塩狩など存続
JR北海道は、宗谷線で過去5年間の1日当たりの乗車人員が3人以下の無人駅について廃止を打診していました。宗谷線の1日あたり乗車人員で利用者の少ない駅は、下図の通りです。
利用者が極端に少ない駅でも、存続が決まったケースもあります。和寒町の塩狩駅は、三浦綾子の小説「塩狩峠」の舞台として知られており、町の観光資源であるという視点で存続が決まりました。
音威子府村は、手塩川温泉、咲来、筬島の3駅をいずれも存続としました。中川町も佐久、歌内の2駅を存続、幌延町は問寒別、糠南、雄信内、南幌延、下沼を存続、豊富町は兜沼駅について存続します。
これらの駅の存続のためには、年間100万円~200万円程度の維持費について、地元自治体が負担することになります。
存続を決めた利用者の少ない駅のなかには、乗車人員が1日1名以下の駅も含まれます。それでも存続させる理由はさまざまですが、「秘境駅などとして観光資源になる」という視点のほか「少なくても利用者がいて、代替交通手段がないから」という点も大きいようです。
裏を返せば、観光資源的な価値が失われたり、ほとんど利用されなかったりすれば、将来的に廃止される可能性も残ります。(鎌倉淳)