山形新幹線「E8系」の全詳細。2024年運転開始、福島駅アプローチ線も建設へ

最高速度300km/hに

JR東日本が、山形新幹線の改良案を正式発表しました。新形式「E8系」を投入し、福島駅改良に着手します。

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E8系の概要

山形新幹線「つばさ」の現行車両はE3系。最高速度275km/hで、東京~山形間を最短2時間26分、東京~新庄間を最短3時間11分で結んでいます。これを置き換える車両として、JR東日本は新型車両E8系を投入すると発表しました。

E8系は秋田新幹線E6系をベースとした車両ですが、先頭長をE6系の13mより短い9mに抑えています。最高速度はE6系の320km/hに及ばない300km/hになります。それでも、現行のE3系の275km/hに比べれば、25km/hの最高速度向上です。

山形新幹線E8系
画像:JR東日本プレスリリース

E8系の編成定員は普通車329名、グリーン車26名の計355名。E3系の394名(普通車371名、グリーン車23名)より減るものの、E6系の330名(普通車308名、グリーン車22名)よりは多くなっています。先頭ノーズを短めにとって速度を抑えたことで、先頭車の定員をE6系より多く確保したわけです。

フルアクティブサスペンションを採用し、普通車・グリーン車ともコンセントを全席に備えます。車内Wi-fiも装備。大型荷物スペースを全車両に設置し、スーツケースも置けるようになります。車椅子スペースは1編成あたり普通車に2席、グリーン車に1席です。

E8系
画像:JR東日本プレスリリース
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E3系のイメージカラーを引き継ぐ

デザインは奥山清行氏が代表を務めるKEN OKUYAMA DESIGNの監修のもと、川崎重工業株式会社が担当。

外観は山形新幹線の地域に根ざしたE3系のイメージを継承。車体上部がおしどりパープル、車体色は蔵王ビアンコ、帯色は紅花イエローの配色です。先頭形状はやわらかいアローラインとなっています。

内観では、グリーン車は最上川と月山をテーマとした色合いに。中央通路部は最上川の流れをモチーフとしたデザインとし、シートは月山の緑色と最上川の水面の印象を組み合わせたカラーリングとなります。

E8系グリーン車
画像:JR東日本プレスリリース

普通車は最上川と紅花をイメージした色合いです。中央通路部は最上川の流れをモチーフとした柄を通し、シートには陽に照らされる紅花色を配色しました。紅花が抽出されるプロセスをグラデーションで表現しています。

E8系普通車
画像:JR東日本プレスリリース

17編成を製造

E8系の製造数は、7両編成を17編成(119両)です。車両は2022年9月以降落成し、2026年春までに17編成すべてが置き換わる予定です。

営業運転開始は2024年春。「つばさ」号として山形新幹線および東北新幹線で運転します。到達時分短縮の効果やダイヤなどについては未定です。

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福島駅アプローチ線新設

JR東日本では、同時に、東北・山形新幹線福島駅の改良工事についても発表しました。福島駅において、在来線(奥羽本線・山形新幹線)と東北新幹線上りホームを結ぶアプローチ線を新設します。線路構造を変える大規模改良工事です。

現状の福島駅では、山形新幹線が上下線とも東北新幹線下りの14番線ホーム1本で運用しているため、上り「つばさ」が「やまびこ」との併結作業をする場合、渡り線で下りの東北新幹線本線と2回平面交差することから、運行ダイヤ作成に制約が生じています。また、降雪で遅れが生じやすい冬期間は、ダイヤ乱れの原因ともなってきました。

上りアプローチ線の建設は、このボトルネック解消を目的とします。高架区間では橋梁、盛土を新設し、地平区間では切土、路盤を新設します。電気設備(踏切・案内サイン)改良なども実施します。

福島駅アプローチ線建設
画像:JR東日本プレスリリース
福島駅上りアプローチ線建設
画像:JR東日本プレスリリース
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北海道新幹線延伸見据え

福島駅の上りアプローチ線建設は、北海道新幹線の札幌延伸を見据えた、東北新幹線の高速化を支える側面があります。

JR東日本では、新型車両「ALFA-X」を投入して、最高速度360km/hでの営業運転を目指しています。そのためには、福島駅のボトルネック解消が欠かせないため、懸案の解決に踏み出したわけです。

福島駅アプローチ線の供用開始は、2026年度末の予定。北海道新幹線札幌延伸開業予定の2030年に間に合うタイミングです。

E8系の投入と、福島駅のアプローチ線新設で、2020年代後半の山形新幹線は、大きく姿を変えそうです。(鎌倉淳)

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