成田空港の「門限」が多少緩和されます。これは、6時~23時に制限されている成田空港の離着陸時間について、千葉県成田市が、悪天候などやむを得ない場合に限り午前0時までの延長を容認すると決めたことによります。早朝5時~6時の着陸も提案されていましたが、これは否認されました。これにより、成田空港の運用時間は6時から23時の原則は変わりませんが、場合によっては午前0時までの着陸も可能になります。
成田空港の「門限」リスクが減ることは、航空会社にとっては良いことでしょう。しかし、利用者の立場では、諸手をあげて歓迎、というわけにはいきません。ご存じの通り、成田空港は23時を過ぎると都内へ向かう公共交通機関が途絶えてしまううえに、空港施設も深夜は閉鎖されてしまうからです。
現在、成田空港を出る最後の都内への公共交通機関は23時15分第2ターミナル発の京成バスです。これを逃すと、成田空港から都内へ行くには高額のタクシーに乗るしかなくなります。それができないなら自費で空港周辺のホテルに泊まるか、そんなお金すらない場合は、空港ロビーの一カ所に集められて夜明かしをさせられます。店舗営業もされてない寂しいロビーで始発まで5時間も待たなければならないのです。
午前0時以降に都内へのバス便が設定されればいいのですが、今回の門限延長は「例外として着陸を認める」という形です。そのため、毎日23時台に到着便があるわけではありません。その状態で、午前0時過ぎのバスを設定するのは、バス会社としては二の足を踏むことになるでしょう。仮に設定したとして、そのバスは「例外着陸」がない場合はガラガラの運行になるからです。
遅延時にのみ、当該航空会社が都内までのバスを仕立てる、というのが、最も合理的な解決方法にみえます。しかし、航空会社の責務は旅客を空港から空港まで届けることですから、旅客との契約は成田空港に到着した時点で終了しています。さらに都心までバスを仕立てる責任は航空会社にはありません。ましてや、格安航空会社LCCが、そうしたサービスをするのでしょうか。
深夜23時55分になんとか着陸!よかったよかった!とはいかないような、今回の延長案。延長を認めた以上は、空港会社NAAは、旅客の扱いについてきちんと対応策を考えてほしいものです。飛行機の24時間離発着はできなくても、空港施設の24時間化は可能ですし、深夜アクセスをするバス会社に補助を出すことも可能でしょう。成田空港の深夜着陸だけでなく、深夜アクセスの懸案も解決への道筋を立ててほしいものです。